ミステリ読書録

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三浦しをん/「ふむふむ おしえて、お仕事!」/新潮社刊

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三浦しをんさんの「ふむふむ おしえて、お仕事!」。

なんだかまた、面白い人に会ったぞ! 技と熱(パッション)を持って働く16人の女性たち。著者
初の人物探訪記。

「物語」を宿さぬ人はいない。聞いてみたい、それも仕事のことを。靴職人、ビール職人、漫画
アシスタント、フィギュア企画開発、現場監督、活版技師、染織家……小説とエッセイ、そして
妄想とツッコミの名手が、時におたく心を揺さぶられ、時にやみがたい物欲と戦い、「ふむふむ」
と相槌を打ち、共感に震えた四年にわたるインタビュー集(紹介文抜粋)。


三浦しをんさんの新作。小説ではなく、しをんさんが、興味を惹かれた職業に就いている女性に
会いに行き、インタビューした記録をまとめたインタビュー集です。本当に、いろんなお仕事が
取り上げられていて、私も全く未知の世界ばかりだったので、とても興味深く読みました。
みなさん、信念と誇りを持って自分の仕事に就いてらっしゃって、読んでいるこちらも姿勢を
正したくなるような気持ちになりました。聞き手のしをんさんが、相手の職業についてほとんど
知識がない状態でインタビューしているので、しをんさんが『ふむふむ』と感じる部分は同じ
ように『ふむふむ』と新鮮な気持ちで読むことが出来ました。みなさん、女性なのにバイタリティー
があって、男性にも引けを取らない活躍をしている方ばかり。でも、しっかり仕事をしているのに、
ほとんどの方が既婚で、子供がいらっしゃる方が多いのにも驚きます。子育てもきちんとしつつ、
仕事に邁進する。なんだか、かっこいいなぁ、とただただ憧れの念を抱いてしまうのでした。
私なんか、仕事と子育てなんて、とてもじゃないけど、両立出来そうもないのになぁ。仕事
だけでも、いっぱいいっぱいですもん^^;まぁ、合間に本とか読んじゃうから、一人暮らしの
くせに家事がおろそかになるんだろうけど・・・^^;

漫画家のアシスタントさんとか、フィギュアの企画開発さんとか、おたく系が喜びそうな職業の方
のインタビューだと、いつもより更にテンションが上がっているところが、しをんさんらしくて
ちょっと可笑しかったです。でも、漫画家のアシスタントは私も憧れます。好きな漫画家さんと
寝食を共に出来るなんて!といっても、締め切り前の漫画家さんの悲惨さは良く話に聞くので、
憧れ止まりにしておくのがいいのかな(苦笑)。あと、いろんな漫画家さんのところを掛け持ち
する人気アシスタントさんがいるっていうのは知らなかったです。アシスタントさんって、一人の
漫画家さんを決めて弟子入りみたいにするもんだと思ってました(まぁ、そういう場合も多いの
だろうけど)。

あと、サントリーの武蔵野工場で働く女性の回があるのですが、武蔵野工場は地元なので何度も
行ったことがあります。今はやってるかわからないのですが、昔は年に一度、サントリーのお祭り
の日があって、敷地内にいろんな出店が出たり、ジュースやビールが飲み放題だったり、工場見学
が出来たり、というイベントがあって、毎年行ってました。ビール好きにはたまらない一日だったと
思うんですが、途中から不況の煽りか、飲み放題に制限がかかるようになったんじゃなかったかな。
途中から行かなくなってしまったので、うろ覚えなんですが^^;まぁ、どっちみち私はビール
嫌いなので、お茶とかジュース飲んでましたけど(苦笑)。

あと、私が個人的に興味深く読んだのは、フラワーデザイナーの方と動物園の飼育係の方の回かな。
フラワーデザイナーは、フラワーアレンジメントやっているので興味を惹かれましたし、動物園の
飼育係は、担当が私の大好きなペンギンちゃんたちだったので。和歌山のアドベンチャーワールド
愛らしいペンギンいっぱい観てきたばかりだし。ただ、どちらも、自分には出来ないなぁと思い
ましたけど(まぁ、それを言ったらここに載っている職業全部なんですが^^;)。

とにかく、読んでいて一番感じたのは、『働く女性はかっこいい』ということ。どんなお仕事にも
プロフェッショナルな人がいるんだなぁ、としみじみ思わされる一冊だったのでした。