ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

「神様のカルテ」

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<あらすじ>
自然あふれる長野・松本の本庄病院で、内科医として働く栗原一止(櫻井翔)。24時間365日体制で
医師不足の問題を抱える病院で、前向きな職員たちと共に診療をこなす一止にとって、最愛の妻・
榛名(宮崎あおい)らと語らうことが日々の楽しみだった。そんなある日、一止はある患者と
出会い、人生の岐路に立つこととなり……(あらすじ抜粋)。


私自身は全く観る気はなかったのですが(なんせ、原作読んでないもので^^;)、嵐大好きの
姪っ子(しかし、彼女がファンなのはニノと相葉ちゃんなのだが)が観たいというので、急遽観に
行くことになりました。地元の映画館なので、午前中に席取りに行ったら、ラッキーなことに
プレミアスクリーンでの上映、その上、ペアシートもまだ取れるというので、そうしてもらい
ました。姪っ子と二人でペアシートっていうのも、なんとも色気がありませんけれど(苦笑)。
でも、同じ値段で格段に座り心地が違うので、ほんとにラッキーでした。横着してギリギリに
行ってたら、満席でその回は普通の席すら取れなかったところでした。

全体的なストーリーは感動的で良かったと思うのですが、いかんせん、これもこの間観た
ジブリ映画同様、いろんな説明端折り過ぎて、ちょっと人物関係とか舞台背景とか、かなり
わかりづらいところがありました。特に、主人公とその妻が暮らす古い旅館を改築した『御嶽荘』
の他の住人との関係とか。もうちょっとそれぞれの身の上のことについての描写があっても
良かったんじゃないのかなぁ。まぁ、核となるストーリーは加賀まりこ演じる末期ガン患者との
やり取りの部分でしょうから、それ以外の部分は極力削ぎ落したのでしょうけれど。宮崎あおい
演じる妻との関係も、もうちょっと掘り下げて欲しかった。せめて、どういう風に出会って結婚
に至ったのか、くらいの説明はあっても良かったと思う。ただ二人が夫婦だという事実のみしか
提示されていないから、なぜ二人が未だに敬語で話してるのかとかもよくわからなかったし。
宮崎あおいがなぜ写真を撮っているのかとかもよくわからない。カメラは趣味なのか仕事なのか。
取材旅行にやたらに行ってるから、趣味ではないんでしょうけど・・・。それぞれの演技は
良かったと思うのですが。櫻井くんは、嵐というトップアイドルとしてのオーラをきれいに
消し去って、冴えなくて気弱で終始悩みが顔に浮き出てる情けない青年役を見事に演じてるし、
宮崎あおいも、悩める夫を支える献身的で健気な妻を演じきってますしね。脇役の演技もそれぞれ
良かったと思います。その中でも、柄本明の存在感はやっぱりすごかったです。個人的には、
原田泰造の役どころが好きでした。泰造、ちゃんと演技してんじゃん!みたいな、妙に上から
目線で見てしまいました(笑)。それだけに、彼が画家としてなぜ挫折してしまったのか、とか
そういうところも知りたかったところです。まぁ、そんなそこまで入れてたら二時間に収まり
きらなくなっちゃうから仕方ないのでしょうけど。

櫻井くん演じる栗原は、ずっと医者としてどうするべきかという部分で迷って悩んでいるところが
あって、その自信なさそうな様子が、観ている側としてはちょっとイライラというか、歯がゆい
気持ちになりました。とても優しくてお人よしな性格なのは好感持てるのですが、私がもし患者の
立場だったら、こんな自信なさそうな暗い顔して診療する医者には診てもらいたくないなぁ、と思い
ました。悩むことはいいんです。医者だって人間なんですから。悩んで足掻いて、当たり前だと
思います。でも、それを診察してる患者に見せてしまうのは、患者と医者という立場を考えたら、
絶対しちゃいけないことだと思うんですよね・・・。患者さんも不安になってしまうと思うから。
自分の病気はどうなんだろうと怯える患者なら、医者の表情にも敏感な筈ですし。医局の高名な
医者から目をかけられるほどに有望という設定なのですが、どうも、そういう感じに見えなかった
です^^;

加賀まりこ演じる安曇とのエピソードには、切なすぎて思わず涙ぐんでしまいました。余命僅か
と診断されて、絶望の中であんな風に医者や看護師たちから優しく接してもらえたら、やっぱり
救われた気持ちになると思います。みんなで屋上で遠くの景色を眺めるシーンが良かったです。
最後に綺麗な景色を目に焼付けられて、きっと彼女は幸せに逝けた筈ですよね・・・。


気になるのは、原作にどれくらい忠実なのかというところ。いっぱい端折ってそうなので、
原作読んで確認したいところがいくつもあります(苦笑)。まだまだ図書館の予約は三桁台
だと思うので、気長にいつか開架で見かけたら読んでみたいと思います(間違いなく、その頃
には映画の内容を忘れてしまってると思うけれど^^;)。

あと、最後に特筆すべきは、辻井伸行さんの音楽の素晴らしさ。長野の美しい景色と、辻井
さんのピアノの美しい音色がピタリとはまっていて、とても良かったです。辻井さんの
ピアノ、いつか生で聴いてみたいなぁ・・・。


まぁ、引っかかる点はいくつもあったんですが、トータルでは、切なくも温かい気持ちになれる
感動作で良かったと思います。
ちなみに、姪っ子に感想を聞いたら、面白かったけど、よくわからなかった、みたいな曖昧な
感想でした(苦笑)。小5の女の子には、まだ命の儚さとか言われても、ピンと来ないんで
しょうね^^;