ミステリ読書録

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喜国雅彦/「本棚探偵の生還」/双葉社刊

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喜国雅彦さんの「本棚探偵の生還」。

七年ぶりに生還した本棚探偵は、さらにパワーアップ。マニアでなくても楽しめる古本エッセイ
第三弾(紹介文抜粋)。


あの本棚探偵がやーっっと帰って来てくれました!!いやー、この日をどれだけ待ち望んでいた
ことか。滝から生還してくれて(笑)、ほんと良かったよぉ(感涙)。ほんとに大好きなシリーズなので、
書店で、この本が平積みになっているのを発見した時の喜びといったら。ちょっとした一人お祭り
状態になりました(笑)。即座に図書館にリクエスト。三人待ちの末、ようやっと回って来て
くれました。しかも今回は二冊組の豪華版!!嫌が上でもテンション上がるってもんです(笑)。
別冊の『バスカヴィルへの旅』もとっても楽しい古本旅行記で大満足でした。

もう、のっけから大爆笑。第三弾のタイトルに『生還』を使うか『帰還』を使うかでここまで
拘るのは喜国さんだけじゃないでしょうか(苦笑)。『星の王子様』のタイトルが、各出版社
の間でそんな風に物議をかもしていたとは知りませんでした。それにしても、喜国さんがつけた
『星の王子様』のタイトル・・・『ちっさなプリンスどん』って!!(爆)お腹よじれるかと
思いました。ひー。誰も元ネタが『星の王子様』ってわかんないよ!もう、このセンスが最高
ですね。

今回も濃ゆ~~~い、古本ネタが満載で、時に感心し、時に置いてけぼりになりながらも(^^;)、
楽しく読めました。喜国さんの古本蒐集にかける情熱には、本当に呆れ・・・いやいや、頭が下がり
ます。喜国家の本棚を本当に見学に行きたいです。ここまで長年蒐集し続けているのだから、
壮観でしょうね~。しかも、喜国さんは『美しく収納する』ことに命をかけている訳ですから、
さぞかし壮麗な眺めなんだろと思うともう。そんな美しい本棚を眺めてるだけでご飯三杯くらい
いけるんじゃないかっていう(笑)。
まぁ、私は喜国さんのように本を蒐集する人間ではないので、貴重な稀覯本の価値とかはさっぱり
わからないのですが^^;でも、探し求めていた本と出会えた時の天にも昇るような嬉しい気持ちは
十分理解出来るので、共感出来るところも多いです。本好きなら、みんな楽しめるエッセイ集じゃ
ないかな。

今回もやりすぎ古本蒐集企画に大いに笑わせてもらいました。古本を買いながらマラソンをする
ラソンならぬ『マラ本(ホン)』もすごかった。重い本を背負ってマラソンって・・・マラソン
だけでも十分辛い気がするんですがーー^^;ポケミスラソンの時は、ただ買うだけで、
ラソンの名は単なる飾りだったけど、今回はしっかりマラソン部分も実行してるのだから驚きです。
どこまで行くんだ、喜国さんーー^^;

でも、別冊の方に出て来た『電車読書』は私もやってみたいなぁ。他人と一緒ってのは集中出来
なそうだけど・・・^^;グループで行動してるのに、電車に乗った瞬間全員が無言で本を読み
出す光景って異様だろうな^^;しかも銀河鉄道コスプレ・・・完全に意味不明です(笑)。
でも、マラ本にしても電車読書にしても、こういうくだらなそうなことを真剣にやっちゃう所が
素晴らしいですね。本好きの鑑です(笑)。喜国さんのマネは到底できませんが(^^;)、
読んでる分には本当に楽しい。もっともっとやりすぎ企画を考えて欲しいと思っちゃいますね(笑)。

もう一つ別冊の頭に出て来た英国の古本村『ヘイ・オン・ワイ』もめちゃくちゃ行ってみたく
なりました。
全部が洋書なんだから買う気にはなれないだろうけど^^;でも、村全体が古本で埋め尽くされて
いるような、古書の村なんて、歩いてるだけでもワクワクしそう。世界中から本好きが集まるって
いうのもいいですね。お国が違っても、すれ違う人がみんな本好きなんて、それだけでも嬉しく
なっちゃいます。喜国さんがこの旅で何度も参考にした若竹七海さんとご主人による『英国ミステリ
道中ひざくりげ』もすごく読んでみたくなりました。

あと、お風呂で読める『フロンティア文庫』もすごく気になりました。この間記事を書いた
有川さんと森見さんのコラボ本は、お風呂仕様でなくてちょっとガッカリしたのですが、
こちらは本当にお風呂で読めるように加工された本だそうで。私、昔は良くお風呂で本を
読んで長湯してたんですよ。でも、どんなに気をつけても、微妙に濡れちゃって紙がよれ
ちゃったりするんですよね^^;最近は図書館本なのでやってませんけど。お風呂仕様の
こういう本があるなら、欲しいなぁって思っちゃいました。まぁ、専用本棚は要りませんけど(笑)。


ああ、取り上げたい題材はまだまだあったんだけど・・・きりがないのでこの辺で。とにかく、
著者の古本蒐集とミステリにかける情熱と執念がこれでもか、というくらいに行間から溢れていて、
本好きにはたまらないエッセイ集です。今回も、抱腹絶倒、大いに楽しませて頂きました。
奥様の国樹由香さんとのエピソードも微笑ましかったです。50を過ぎても、まだまだラブラブ
なところが素敵です。喜国さんのような趣味を持つには、よっぽど理解のある相方じゃないと
無理ですよね^^;理解ある奥様で良かったですねぇ、喜国さん。

第四弾の予告も嬉しかった。予告の『本棚探偵 最後の挨拶』は、あんまり待たせずに出して
下さいねぇ。