綾辻さんゆかりの後輩作家さんを京都に招いて、それぞれの作品や創作活動に
ついて語り明かすミステリ対談集。2014年の第一回詠坂さんから2019年
の道尾さんの最終回まで、約5年間をかけて雑誌に連載されたものに、単行本
スペシャル対談として、辻村(深月)さんの回を加えて構成されています。
未読の作家さんの回も、ファンの作家さんの回も、どれもが楽しかったです。
それぞれの作家さんのデビューに綾辻さんが少なからず関わっていることもあり、
どの作家さんも綾辻さんのことをとにかくリスペクトしているのがひしひしと
伝わって来ました。そりゃ、そうだよね。ミステリ作家として、綾辻行人といえば、
もう生ける伝説と云っても過言じゃないくらいの大御所なんですもの。今のミステリ
ブームを作ってくれた張本人の一人でもある訳ですし。私自身、もう何度もこの
ブログでも言及してきたけれど、綾辻さん(と有栖川さん)がいたから、本格
ミステリにはまったし、読書にはまったし、読書ブログも書くようになった訳で。
私にとっての恩人でもあるんですよね。だから、本当に特別な作家さんの一人です。
今回対談しているのは、詠坂雄二さん、宮内悠介さん、初野晴さん、一(にのまえ)
肇さん、葉真中顕さん、前川裕さん、白井智之さん、織守きょうやさん、道尾秀介
さん、辻村深月さんの10人。うち、宮内さん、一さん、前川さん、白井さん、
織守さんは未読の作家さん。でも、綾辻さんとの対談を読んでいて、どの作家さん
の作品も読んでみたいと思いました。特に、一さんと白井さんの作品は絶対読み
たい!と思いました。道尾さんは今や直木賞も受賞して大人気作家さんですが、
私は実はデビュー作から追いかけています。そのきっかけが、デビュー作
『背の眼』に、綾辻さん推薦の帯がついていたから。その当時、割と綾辻さん推薦
の作家はハズレがないと思って、綾辻行人推薦の文字がある本は、無条件で手に
取ることが多かったんですよね(最近はあんまり追いかけられてないけど^^;)。
だから、道尾さんと出会えたのも綾辻さんのおかげだったりします。辻村さんの
場合は、綾辻さんは関係ないきっかけで読み始めたのだけれど、辻村さんの綾辻さん
リスペクトはもう熟知しているので、今回の対談もすごく楽しかったです。
綾辻さんの、後輩作家さんへの目線が本当に優しくて、どの対談読んでもほっこり
しました。でも、対談の締めくくりに、必ずその作家さんへ『本格の呪い』をかける
ところが綾辻さんらしいなぁとくすりとしました。私も、やっぱり根底に本格の
意識がある作品が一番好きだから、この呪いは、是非とも各作家さんに効いて機能
して欲しい、と思いました。
ちょっと悲しかったのが、道尾さんの『いけない』の話をしている時に、オチが
絵になっている作品の先行作として、ちらっとソブケン(蘇部健一)の話題になった
時、綾辻さんがその作品についてかなり濁して語っていて、多分あまり認めて
ないんだろうなぁというのが伺えたこと。『木乃伊男』私は面白かったけどな・・・
(遠い目)。
タイトルほど、シークレットのお話をしている感じはなかったけど、どの対談も
面白く読みました。やっぱり綾辻さんは生きるレジェンドだと思うな。これからも
お元気で作品を書き続けて、有望な本格ミステリ作家を生み出し続けて頂きたい
ものです。