ミステリ読書録

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北山猛邦/「猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数」/講談社ノベルス刊

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北山猛邦さんの「猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数」。

大学の探偵助手学部に通う君橋(クンクン)と月々(マモル)の気分はどん底だった。名門ゼミ
入り審査に落ち、悪ふざけで希望を出した知名度ゼロの猫柳ゼミ行きが決まったから。そう、
指導教官は功績不明かつ頼りなさげな女探偵・猫柳十一弦。彼女の下では立派な探偵助手に
なれないのか(涙)? だが名門ゼミとの合同研修が決まり、人生大逆転めざし孤島の館へ。
その合宿中、奇怪な殺人事件が発生する!(あらすじ抜粋)


北山さんには、事件現場にお弁当持参で行っちゃう史上最高に気弱で消極的な探偵・音野順
というキャラクターがいるのですが。今回の探偵役は、言ってみれば女版・音野。引っ込み思案で、
おどおどしていて、人付き合いが苦手で気弱な性格の25歳、独身女性・猫柳十一弦。彼女は、
その若さにして名探偵の称号を持ち、大東亜帝国大学・探偵助手学部の教授。そんな彼女のゼミ
に入った探偵助手志望の君橋と月々が、名門の雪ノ下ゼミと合同合宿に出かけた孤島の館で
不可解な連続殺人事件に遭遇するクローズドサークルミステリーです。

設定には結構無理があるというか、ツッコミ所もあるんですが、猫柳ゼミの三人のキャラと
関係が良かったので、楽しく読めました。特に、探偵役の猫柳のキャラが斬新です。まぁ、
斬新っていっても、北山さんが作った音野のキャラとかなりダブるところもあるんですが^^;
北山さんって、気弱な探偵が好きなんですかね。ただ、音野は事件に消極的だけど、猫柳は
解決に積極的なところは音野よりもポジティブなのかな。庇護欲を掻き立てられるという意味
では、甲乙つけがたい感じではありますけどね^^;猫柳さんはとにかく、自らを犠牲にして、
身体を張って殺人事件を防ごうとするので、一つ事件が起きる度に、どんどん小さい身体に
傷が増えて行く^^;もう、痛々しいのなんのって。最後はほんとに満身創痍って状態で、
生きてるのが不思議な位に^^;;肩にボウガンの矢が刺さったままで、動き回れること
自体も驚きですが、正常な探偵的思考能力が働くところにも驚かされます^^;もういいから、
安静にしててーー!!って叫びたくなりました^^;身体ボロボロで、えぐえぐ泣きながら
推理してる姿は、クンクン(君橋のあだ名)じゃなくても、キュンキュンしちゃいますって。
頑張れ、猫柳ーー!とついつい応援してあげたくなってしまいました(笑)。カバー折り返しの
作者の言葉に、まんまと乗せられちゃうこと請け合いです。

ミステリとしては、ちょっと無理矢理感がなきにしもあらずではありましたが、○○の見立て
殺人とは、面食らわされました。これはちょっと、他では読んだことないんじゃないかな。正直、
こじつけっぽい印象は拭えなかったですけどね。ただまぁ、前代未聞の見立て殺人って意味では、
目新しさはあったんじゃないかな。

ラストシーンの猫柳とクンクンのやり取りが良かったなー。なんとなく、二人の仲ってそういう
方向に向かうのかな?と思わなくもなかっただけに、この展開にはニヤニヤしちゃいました。
ちょっと拗ねた感じの猫柳に萌え~~でした(いつものオヤジ病が^^;)。

それにしても、探偵助手学部なんてあったら面白そうだなぁ。いろんな探偵助手になる為の
講義も面白そうだし(暗号学とか、記録整理学とか)。ミステリー好きにはたまらない講義
内容っぽいぞ(笑)。
でも、探偵助手学部があるってことは、探偵学部もあるのかなー。まぁ、私には探偵よりも
探偵助手の方が無難な気がするけどね(ミステリー好きのくせにほとんど推理出来ない人間
なんで^^;;)。


なかなかキャラクターが立っていて楽しく読めました。続編書いて欲しいなー。
しかし、女の子に十一弦ってつける親ってどうなんだろう^^;由来を聞いてみたいです。
子供の頃いじめられてそうだよな・・・(もしかして、それが原因で引っ込み思案になって
しまったのかも・・・^^;)。