ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

相沢沙呼/「マツリカ・マジョルカ」/角川書店刊

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相沢沙呼さんの「マツリカ・マジョルカ」。

柴山祐希、高校1年生。冴えない学園生活が、彼女――マツリカと出会い一変した。「柴犬」と
呼ばれパシリ扱いされる憤りと男子的モヤモヤした感情の狭間で揺れながら学園の謎を解明する。
ビタースイートなミステリ!(紹介文抜粋)


大好きなサンドリヨンシリーズの相沢さんの新作。可愛らしい表紙とタイトルで、読むのを
とっても楽しみにしていました。期待に違わぬ可愛らしい作品で、サンドリヨンシリーズ
同様、こちらも大変気に入りました。こちらの方がよりキャラ萌えでラノベっぽい作風でしたが^^;
今回のヒロインであるマツリカさんは、サンドリヨンシリーズのヒロイン・初よりもさらに輪を
かけてクールビューティーでミステリアス。彼女の言動に振り回される主人公・柴山君は、彼女は
おろか、友達もいない、教室ではいつも一人ぼっちの孤独な少年。自分に自信がなく、人と触れ合う
ことが苦手な、とても引っ込み思案な男の子です。そんな彼が、あるきっかけでクールな美少女
マツリカさんと知り合い、彼女から下僕のような扱いを受けながらも、ミステリアスで賢い彼女に
少しづつ心惹かれて行く青春ミステリーです。

一作ごとのミステリー度はさほど高くはないのですが、ラスト一作の仕掛けはなかなか。祐希
の姉に関しては何かあるゾと思ってはいたのですが、こういうことだったのか~といろんなことが
腑に落ちました。

ただ、肝心のマツリカさんに関しては最後まで全くの謎のまま。彼女がなぜあんなに祐希に
対して高飛車なのか、なぜあんな所で生活しているのか、なぜ都市伝説を調べているのか、
なぜあんなに生に無頓着なのか、彼女のすべてが謎。続編を見越して敢えて明かされないまま
なのか、その辺も謎なのですが。祐希とのこれからの関係も気になることだし、これはもう、
続編出してもらうしかないって感じですけど。このままじゃ、気になって、気になって^^;

祐希はいろんなことがダメダメな男の子だけど、彼が必死になって誰かの為にがんばろうとする
姿は健気で、頑張れ頑張れって応援してあげたくなりました。マツリカさんに酷い仕打ちを受けて
も、めげずに彼女に従う姿は、まさにしっぽを振って飼い主に擦り寄って行く柴犬そのものって
感じ(笑)。ついつい、よしよしってしてあげたくなっちゃいました(苦笑)。どうも、彼は
庇護欲をそそるタイプだな(笑)。そして、もちろんM体質(笑)。マツリカさんはきっと、
内心彼のことが可愛くてしょうがないって感じなんじゃないのかなぁ。ただ、恋愛感情が入って
いるのかはわからないですけど^^;;
ラストの話で、マツリカさんが賭けに(わざと)負けて、祐希の願いを聞く二人のシーンは、
こっちがドキドキしちゃいました(笑)。


まぁ、全体的にラノベ調でしたが、キャラが立っているので、楽しく読めました。やっぱり、
祐希とマツリカさんが学校向かいの廃墟ビルで一緒にいるシーンが好きだったな。祐希が、
年頃の男の子そのまんまっていうか、ちょいちょい下心丸見えになるところが可笑しかった
です(笑)。

続編読みたいな~。マツリカさんの正体と、本心が知りたいです(本名も)。きっと、読んだ人は
みんなそう思うんじゃないのかな。