ミステリ読書録

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西澤保彦/「幻想即興曲」/中央公論新社刊

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西澤保彦さんの「幻想即興曲」。

ピアノ教師の野田美奈子が、夫の刺殺容疑で逮捕された。しかし、小学生の古結麻里は、事件当時に
別の場所でピアノを弾く美奈子を目撃していたのだ。成長した麻里は事件をモデルとした小説を書き
上げるが…。事件から40年後にその原稿を受け取った編集者の姉・響季智香子(28)は、新進
ピアニストの妹・永依子(25)とともに真相を推理する。あのとき「幻想即興曲」を弾いていた
のは誰だったのか。真犯人は?時空を超えて仕掛ける本格トリック。美しき姉妹探偵シリーズ、
開幕(紹介文抜粋)。


西澤さんの最新刊。過去におきたピアノ教師の夫殺害事件を軸にした音楽ミステリ・・・といっても、
それほど音楽が全面に出てる訳でもないですけど^^;ただ、ショパンの幻想即興曲が謎解きの
大きなポイントになっているのは間違いないので、そう言ってしまっても差し支えはないのかな、と。
謎解きをする姉妹の片割れは一応ピアニストですしね。
のっけから、西澤さんの作品のお約束的なシーンが軽く出てくるので、おいおい大丈夫か?と
思いましたが、中身はいつもよりはかなりその手のシーンは控えめ。当然の如くに○ズ関係は
出てきますけど、その手の濃密なシーンがなかったのはせめてもの救いかな^^;






※以下、真相のネタバレがあります。未読の方はご注意ください。













夫殺害容疑で逮捕されたピアノ教師の事件の真相は、なかなかに考えられていてなるほど、と
思わされました。ただ、動機がね~・・・いくら何でも、そういう相手に対して、そこまでの
殺意を覚えるものかなぁ、とも思うんですけど・・・。復讐したくなる気持ちまでは理解出来る
けれども、相手が相手だけに、殺害しようとまで思いつめるってのは、ね。しかも、夫婦揃って。
相手を殺したからって、彼女が元の状態に戻る訳じゃない訳ですから。まぁ、ただ二人で心中
しただけじゃ、気持ちが晴れなかったんでしょうけども・・・いい大人二人で出した結論が
それかと思うと、ちょっとねぇ。もちろん、いたずら心で元凶を作った人物に対しては私
だって怒りを覚えますけどね。
作中作自体に仕掛けがあったという部分には瞠目。細かい所にもちゃんと伏線が仕込んで
あったとわかって感心しました。
















なかなか面白かったのですが、やっぱり○ズ部分が余計だったような・・・^^;冒頭の
姉妹のシーンも、無理矢理その手の雰囲気を差し込んでる感がなきにしもあらずで。普通に
仲の良い姉妹って描写にとどめておけばいいのに、なんでそこまでいちゃいちゃさせる必要が
あるのかしら、とちょっと引いてしまいました^^;;
まぁ、西澤ファンなら、この部分なくして西澤作品は成立しない位に思ってないといけないので
しょうけどね^^;