ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

どもです。巷は明日から夏休みだそうで。
かくいうワタクシめも、実は明日行ったら夏休みだったりしますが(笑)。
とはいえ、夏休みはほぼ全日お引越し準備で終わってしまいそうです・・・。
日帰り温泉くらいは行けるかなぁ。
あ、あと、今週末の日曜は毎年恒例の例の地元の花火大会があるので、それは楽しみかな。
みなさま、夏休みはどのように過ごされるのでしょうか。
水の事故や車の事故にはくれぐれもお気をつけ下さいね。


さて、今回は三冊読了。今週はなかなかのペースじゃないでしょうか。忙しいと
ついつい本に走って現実逃避したくなる今日このごろ・・・。



では、一冊づつ簡単に感想を。


湊かなえ/「望郷」(文藝春秋
瀬戸内海の白綱島を舞台にした短篇集。舞台は一緒ですが、登場人物が毎回変わります。
予約に乗り遅れた為、大幅に遅れての読了となりましたが、読んだ直後に直木賞候補に
上がっていたことが判明。思いがけずタイムリーに読んだことになりました。結果は
残念ながら受賞を逃されましたが。それにしても、なぜか今年は瀬戸内海の孤島を舞台に
した作品を読む機会が多い。つい最近読んだ辻村さんの作品もそうだったし。島ブーム
なんですかねぇ。
島生活の閉塞感や故郷に対する複雑な思いなど、それぞれの作品で全く違ったテイスト
ながら、よく伝わって来ました。親子の愛情や確執を描いた作品が多かったですね。
何作か既読の作品もありましたが、どれもなかなか良かったと思います。相変わらず
人間の嫌な部分もあけすけに描く作品もありましたが、胸が切なくなる温かみのあるお話も
多かったです。直木賞には一歩届かなかったけれども、何度か候補に上がれば受賞に手が
届くのもそう遠くないのでは。個人的にはラストの『光の航路』が好きだったかな。
気になったのは『海の星』でおっさんが見せた魔法が何だったのか。わかる人にはわかるの
かもしれないですが・・・単純に○なのかな??


坂木司/「坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー」(光文社)
作家さんのリクエストアンソロジーシリーズ、読み残しの一冊。和菓子をテーマにしたって
ところが、いかにも坂木さんらしいですよね。
とにかく、何が良かったって、坂木さんの『和菓子のアン』の続編が読めたこと!テーマが
和菓子ってこともあって、ちょっぴり期待していたものの、ほんとにアンちゃんが出て来た時は
心の中で『よっしゃ!』ってガッツポーズしちゃいましたよ(笑)。あとがき読む限り、今後の
続編への伏線っぽい感がするので、ぜひぜひ年月を空けずに書いて欲しいものです。
他の作家さんの作品もそれぞれに面白かったですね。和菓子がテーマと言っても、甘いだけでは
なく、時にほろ苦かったりしょっぱかったりと、内容はバラエティに富んでいます。個人的に
坂木さん以外で好きだったのは柴田よしきさんの『融雪』北村薫さんの『しりとり』畠中恵
さんの『甘き織姫』かな。恒川さんのもらしくて良かったけど、和菓子がテーマって考えると
どうかなって感じ。小川一水さんのだけはお話自体にちょっとピンと来なかったな。和菓子って
くくりにしちゃったせいでなのか、設定が上滑りしちゃってる印象でした。
このリクエストアンソロジーシリーズはとても良い企画だと思うので、他の作家さんバージョン
でもいろいろ読んでみたいですね。


似鳥鶏/「昨日まで不思議の校舎」(創元推理文庫
葉山くん(伊神さん??)シリーズ第五弾。知らない間に出ていてビックリしました。割と早い
段階で図書館入荷してくれたから良かったです。
今回は市立高校七不思議がテーマ。超自然現象研究会が発行した会誌に、市立高校に伝わる
七不思議の記事が載った直後に、校内で次々とその七不思議の中の怪異に見立てた事件が起き、
葉山君が調査に乗り出すというもの。ちょこちょこホラーテイストが混じってるんで、後半は
一人で読んでてちょっとぞぞーっとしました。まさか、最後に葉山君が過去に関わった壁男事件が
絡んで来るとは。確かに、あの事件って謎が残ったままだったよなーと、読んでて思い出したの
ですが。ここにきてあの事件と繋がるとは、ちょっと驚きでした。
三つの七不思議に纏わる出来事の真相は、少々都合良すぎかなぁと言う気がしなくもなかった
ですが、作中でもその辺りは触れられているので・・・何か得体の知れない『力』が加わって
いたのでしょうねぇ・・・ひぇぇ(ToT)。
しかし、今回何より度肝を抜かれたのは、葉山君のあの発言ですよ!!もう、これは読んだ方
なら全員が頷いて下さると思いますけれども。そうか、そうだったのか、君って奴は!いやもう、
今まで葉山君サイドの気持ちってのはさっぱりわからなかったので、ここにきて急転直下の発言
に目が点でしたよ・・・。伊神さんの妹がもうちょっとかき回すのかなぁと思ったのだけれど、
意外に引っ張らなかったですね。今回出番なかったですし。ここまで素直に認められちゃうとねぇ。
いやー、もー、俄然次回作が楽しみになりましたね。そっち方面の進展はあるのかないのか。
ミステリそっちのけで、そっちの方が気になるわ(苦笑)。しかし、相変わらず伊神さんの
洞察力はすごいですね。葉山君がぐるぐるぐるぐる悩んで解けない問題を、いともあっさり
解決しちゃうんだから。ダークスーツの19歳ってのもどうかと思うんですけどね・・・。
葉山君が、伊神さんの部屋に行って甲斐甲斐しく食事を作る姿に萌えました(笑)。伊神さんは
何も言わずに食べてたけど、内心では絶対激しく喜んでいたのじゃないだろうか。葉山君の
家事能力の高さには脱帽です。見習いたいと思います・・・(しーん)。





というわけで、以上の三冊でした。湊さんは直木賞残念でしたけど、個人的には恩田さんの
落選の方が残念だったなぁ。そろそろ獲らせてあげて欲しいのに・・・。けど、まぁ、確かに
あの鹿ボール作品で受賞ってないよなぁ、どう考えても^^;;受賞した桜木さんの作品も
なかなか面白そうですけれど。職場の人が買うって言ってるので、また回してもらえるかも。
『海賊と呼ばれた男』下巻の方も予約本の合間に読みたいのですけれどね。上巻の内容
忘れて来ちゃったよ^^;;