ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

東川篤哉/「私の嫌いな探偵」/光文社刊

イメージ 1


うら若き美貌のビルオーナー、二宮朱美。二十代半ばにして、ビルの最上階に住まい、家賃収入で
優雅に日々を送っている…はずが、なぜか、気がつけば奇妙なトラブルに振り回されてばかり。
それもこれも、階下に入居している「鵜飼杜夫探偵事務所」がいけないのだ!今日もまた、
探偵事務所を根底から揺るがす大事件が巻き起こる(紹介文抜粋)。


烏賊川市シリーズ短篇集。いつもの如くにゆるゆるミステリです。今回は朱美さんの出番が
比較的多かったかな。というか、完全に流平君のポジションを乗っ取っていたような・・・^^;
流平君の存在が薄い、薄い。一応探偵助手の筈なのに、ここまでないがしろにされると、ほんと
気の毒になります^^;もうちょっと活躍の場を作ってあげて欲しいです・・・。
鵜飼自身の扱いもお世辞にもいいとは言い難いですけどね(苦笑)。バカにされてるとしか
思えないようなオチの作品もあるし、肝心の謎解きを他人に任せるお話まである始末。
『はやく名探偵になりたい』という希望が叶う日が来るのは、まだまだ先のようです(苦笑)。
ま、バカバカしいオチもこのシリーズの魅力のひとつ。なんだかんだで、今回も楽しく
読ませて頂きました。



以下、各作品の感想。

『死に至る全力疾走の謎』
これは、どっかのアンソロジーで既読。男が壁に向かって全力疾走した理由には脱力しつつも、
一応きちんと説明がつくのでなんとなく納得。まぁ、現実的とは間違っても言いませんけども^^;
鵜飼同様、朱美ちゃん特製『牡蠣フライサンド』は私も御免被りたいです・・・。

『探偵が撮ってしまった画』
これ、トリック自体はミステリ界で相当使い古され過ぎて、カビが生えてるくらいのオーソ
ドックスなものなんですが、そのトリックの発見方法が非常にユニーク。○○○○☓☓とはね
・・・(○はカタカナ、☓は漢字が入ります)。
こんなの、普通の人は絶対気づかないと思うけどね・・・。この発想が東川さんらしくて
笑ってしまいました(苦笑)。このシリーズらしい作品かも。

『烏賊神家の一族の殺人』
シチュエーションは一番本格ミステリ風。烏賊神神社とか、逆さまの祠・烏賊さまの祠とか、
若干横溝風テイストが入っていたりししてるんだけど、どっか人をバカにしたような設定
なのがこのシリーズならでは。設定だけでは一番楽しめたかな。ただトリックがね~・・・^^;
設定読んだだけで推理出来ちゃう位そのまんまだった^^;ダイイングメッセージの解釈も、
絶対普通の人には伝わらないだろう、と思うものでしたし^^;そもそも、死に瀕した人間が、そ
んなこと考えつくかなぁ・・・。ま、ダイイングメッセージって、どれもそういう疑問がつきまとう
ものですけどもね。全体的に、ミステリ部分にはもう一捻り欲しかったかなーと思いました。
今回謎解きを担ったマイカちゃん、なかなかの強烈なキャラです。『~あるマイカの口癖は、
鵜飼や朱美だけじゃなく、読んでるこっちもイラッとしました・・・。

『死者は溜め息を漏らさない』
死人の口から出た光の正体というか、それを口に入れた理由には唖然・・・。そ、そんな人間
いる!?いくら何でも、もっと違う方法考えるでしょう・・・。私には絶対絶対ぜーーーーっっ
たい無理ですっっ。想像しただけで気持ち悪くなりました。うげーーーーー(><)。
でも、鵜飼の事件の収拾のつけ方は粋でしたね。意外といいとこあるのね。

『二〇四号室は燃えているか?』
うーーーん。こんな手の込んだ○○を実行する人なんているかなぁ・・・。なんか、トリック
自体は、金田一少年とかに出て来そうな感じ。
依頼人が鵜飼に依頼した理由に苦笑・・・。鵜飼さん可哀想すぎ。でも、最後に評価が覆って
良かったね。



短篇は短篇で軽く読めて面白いのですが、やっぱりこのシリーズは長編がいいですね。
二作短篇が出たから、今度は長編でガッツリ本格要素が入ってるやつをお願いします。
あと、流平君の出番をもうちょっと増やして上げて下さい(笑)。