ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

東川篤哉「探偵さえいなければ」/秋川滝美「幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動」

どうも、お久しぶりでございます。ワタクシ、今日まで夏休みでして、昨日まで
石垣島へ旅行に行っておりました。旅行中はほぼ雨も降らず(何度かスコールは
降ったようですが、外にいる時ではなかったので特に影響はなし)、終日強い日差しと
暑さにへろへろになりつつ、楽しい時間を過ごして来ました。と、帰る少し前になって
石垣島に台風が近づいていることを知り、なんというタイミングの良さ!と驚きました。
石垣島は二度目なのですが、今回の目的は本島よりも離島ターミナルから高速船に
乗って行く離島の方。一日でも旅行日程がずれていたら、離島への船にも乗れなかった
かもしれず。帰りの飛行機だって飛ばなかった可能性もあり。ああ、運が良かったなぁと
ほっと胸をなでおろしたのでした(ちなみに、今日いくつかの離島行きの船は終日全便
欠航になっているもよう・・・)。
そういえば、以前に石垣島に行った時も、台風と入れ違いに帰って来たのよね。
台風から避けられているのか!?^^;
旅行の様子は、時間があれば記事にしたいと思っておりますが・・・どうなるかな^^;
今回は食に特化した旅行だったから、食レポ記もたくさん書きたいのだけどなぁ。


今回は二冊ご紹介(旅行前に読んだ二冊。旅行中と今日であと二冊読了しておりますが)。


東川篤哉「探偵さえいなければ」(光文社)
烏賊川市シリーズ最新作。安定のゆるさと面白さ。面白い着眼点のミステリ
部分も相変わらず。やっぱり、東川さんはこのシリーズが一番好きだなぁ。
しかし、一作ごとに存在感が薄れて行く流平君、今回さらに出番が少なく
なってしまっていたような・・・。そこそこ出番があったのは、三作目の
『とある密室の始まりと終わり』だけだものねぇ。でも、今回出番が少なかった
のは流平君だけではありません。肝心の鵜飼探偵さえもが、全く出番がないお話が
二作も!!んん?シリーズの存在意義がどこにあるのかわからなくなってきたゾ^^;じゃ、
鵜飼さんが出てこなかったら、誰が事件を解決するの!?との疑問が生じるでしょうが、
二作のうち一作は朱実さん、もう一作は、シリーズお馴染みの砂川警部と志木刑事のコンビが
解決するんですねぇ。もう、烏賊川市内で起きる事件なら、何でもアリのシリーズになって
来ているような(苦笑)。でもでも、やっぱり私は、このシリーズは鵜飼&流平コンビが
活躍する形の方が好きなんですよねぇ。
その形式のお話が、先に挙げた『とある密室~』です。これ、シリーズの中でも、今までに
ないくらい、猟奇的な事件でしたね。東川さん、一体どうしちゃったの!?って思いました。
でも、バラバラ死体事件で、死体発見のシーンとか、かなりエグい状況なんですが、なぜか
そこまで悲惨な感じにならないところがこのシリーズらしい。しかし、犯人が事件現場に
施したトンデモない工作には唖然。いくら見つからないように焦ったからって、よくもまぁ、
この状況で切り抜けようとしたよね・・・。私だったら、こんな状況に置かれたら
発狂するかも・・・。うう、想像しただけで吐きそう・・・うえっぷ。
冒頭の『倉持和哉の二つのアリバイ』は、烏賊川市がバッタもんだらけの街だという
伏線が最後に効いてくるところが巧いですね。しかし、パクリものだらけの
街ってやだなー^^;名前の通り、いかがわしい街なんですね・・・(しーん)。
二作目のゆるキャラはなぜ殺される』は、それぞれのゆるキャラが、あくまで
自分のキャラを保って話そうとするところが可笑しかった。だんだん、鵜飼さんまで
おかしな語尾になって行くし(笑)。
トリック的には、着ぐるみを着ている(それもハリセンボンの)という設定が非情に
効いていて、なるほど、と思わされました。ただ、そもそもの動機が全くわからない
ので、そこはちょっと消化不良でしたけどね。イカの着ぐるみを来たマイカちゃんの
ことは、すっかり忘れていました。そういえば、そんなキャラいたよなーと、読んでて
思い出したという^^;キャラ作りの一貫で、語尾が『~あるマイカ』とかになる
んですよね。なんか、一緒にしゃべってたらかなり面倒くさそうだけど、そのうち
自分にもその口調が移りそうな気も・・・(苦笑)。
三作目の『博士とロボットの不在証明』は、博士とロボットの会話がとにかくアホ
っぽくて笑えました。ロボットの三原則とかで、ロボットは殺人を犯せないってのが
あったと思うけど、アリバイ作りを手伝うのは良いのかしらん。途中から、健気な
ロボットが可愛く思えて来ました(笑)。博士とロボットのアリバイを崩したのが、
例のアレってところが、皮肉で面白いなーと思いました。
四作目は先に述べた鵜飼&流平コンビの話なので割愛。
五作目の『被害者によく似た男』が、砂川警部&志木刑事コンビのお話。この作品は
雑誌で既読でした。似た顔の男をアリバイトリックに使う手はよくありがちだけど、
そのトリックが見破られるポイントが頭にあるというところがちょっと変化球。
頭といっても、頭脳の方じゃないんですけどねー。一見複雑に思えた事件が、実は
実に単純な事件だったという志木刑事のオチのセリフが効いてますね。
しかし、よくもまぁ、こんなに変化球なミステリを次々考えられるものですねぇ。
古典的なミステリ部分を残しつつも、巷で流行っているものを上手く取り入れて、
現代ならではの事件にしているところが上手いなーと思う。東川さんって、流行りの
ものを見ては、トリックに使えないかな、と常に考えてるんじゃないだろうか。
今回も、とっても楽しめました。


秋川滝美「幸腹な百貨店 デパ地下おにぎり騒動」(講談社
業績不審で潰れる間際の百貨店をなんとか盛り返そうと奮闘する50代の高橋伝治が
活躍するシリーズ第二弾。前作のふるみなと祭り騒動のおかげで一月の目標達成率を
クリアーした堀内百貨店だったが、その後売上はなぜか下がる一方。特に、
地下の惣菜売り場の売上減少率がひどい。その理由は、野菜の高騰により
通常の野菜が入手出来ず、その代わりに冷凍食品などを使って凌いでいたせいで、
味が落ちたと客足が遠のいてしまったのだ。このままでは閉店の憂き目に
遭ってしまう。中部事業本部長の伝治はなんとか盛り返そうと頭を悩ますのだが。
今回も伝治は名古屋と堀内百貨店のある湊町を行ったり来たりと忙しい。
伝治のような立場で、こんな風に自分の足で現場を行ったり来たりする人って
なかなかいないのでは。部下に視察に行かせるとかはありそうだけど。しかも、
若い人の考えもしっかり聞いてくれるし。いい上司だなーって思います。
堀内百貨店に関わる人がみんな伝治を慕って行くのがわかる気がしますね。
今回は、潰れそうな百貨店に、人気のおにぎり屋さんを誘致しようと奮闘する話。
握りたてのおにぎり屋さん、一時期テレビでも取り上げていて話題になっていた
のを見た覚えがあります。米よしやはるさんのおにぎりが、めっちゃ美味しそう
でした。握りたて熱々のおにぎり・・・うーん、食べたい~。特に天むす。
私、天むすって、ちゃんとしたの食べたことない気がします。揚げたての海老天
を入れた天むす、めっちゃ食べてみたい~~(><)。
最後はちょっとうまく行き過ぎな感じは否めませんでしたが、まぁ、そこを
ツッコむ作品でもないのかなぁ、と。確かに、みんなが使用出来るアレがあるのは
便利だと思うけど、地下に作ってそんなに人が来るのかなぁという疑問を覚えなくは
ないですけども。最近のアウトレットやイオンモールなんかの大型商業施設には
なくてはならないものではあるので、百貨店に取り入れるのもありといえば
ありなのかなぁ・・・。いろいろと斬新な改革案が出て来て、興味深かった。
寂れた商業施設に人が来るにはどうすればいいのか、みんなで案を出し合って
実現に漕ぎ着ける過程に、はらはらしつつ、わくわくしました。
奈々をめぐる三角関係の方は、まだまだもつれそうですね。神田が彼女の
気持ちに気づいた時どうなるのかがちょっと気になります。
地下の改革案はとりあえず成功したようですが、それで堀内百貨店が安泰
という訳でもないでしょうし、まだまだ立て直すところはありそうですね。
次回作も楽しみです。