ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

年末年始の読了本4冊。

はい、どうも、こんばんは。
お正月もあっという間に過ぎ去り、今日はもう12日ですね。
早いなー。明日成人のみなさま、おめでとうございます。まぁ、身近には
いませんけど^^;

お正月休みはほとんど本も読めず仕舞いで。年末から今日にかけて読了した本は
四冊。相変わらずまとめ記事になっちゃって申し訳ないです(誰に?^^;)。
さっき昨年度のベスト記事の為に去年読んで印象に残っている本をざざっと
ピックアップしてみたんですが、記事を書いてない本も結構あって、しかも
まとめて記事にしてたりするので、タイトルだけ見ても驚くほどに内容を覚えて
いない自分に愕然^^;たかだか数ヶ月しか経っていないというのに!!
(読んだ本自体はすべて読書メーターに記録してあるので、読んだこと自体は確かな
筈なのですが・・・)
一冊ごとにきちんと記事を書くことがどれだけ自分の備忘録として功を奏して
いたのかを痛感したのでした・・・(ToT)。
当のベスト記事は、いつ書けるのか全く未定・・・。内容うろ覚えなもので、
ランキングが非常に難しいです。はっきり内容を覚えている作品(つまり印象深い
作品ってことですからね)が上位に入りそうですね。



ではでは、今回の読了本を一冊づつご紹介~。


麻耶雄嵩貴族探偵対女探偵」(集英社
あの貴族探偵に続編が!しかも、意外と早く出ましたね。推理の一切を使用人に任せて、
本人はただ女といちゃいちゃしているだけという、前代未聞の探偵、貴族探偵
今回も一切自分で推理はしてなかったですね^^;そして、本書では、貴族探偵
対抗する女探偵・高徳愛香嬢が登場。一応、毎回貴族探偵に対抗して推理するのですが、
その度に敢え無く惨敗。といっても、実際推理対決に参加しているのは貴族探偵本人
ではなく、その使用人たちですが・・・。しかし、どんだけ使用人に名探偵揃えてるんだよ^^;
一作読むごとに、だんだん、惨敗し続ける愛香さんが気の毒になって行くのですが・・・
ただ、最後の一作で彼女にも面目躍如の活躍の場が。最後の最後で、見せ場があって良かった
なぁ、と思いました(笑)。ま、その見せ場さえもが、貴族探偵に仕組まれたものだったって
ところがなんとも皮肉な結末ではあるのですが・・・。彼女が真に貴族探偵に勝てる日は
来るのでしょうか・・・。更なる続編を期待したいものです。


大崎梢「ようそこ授賞式の夕べに 成風堂書店事件メモ(邂逅編)」(東京創元社
久しぶりの成風堂シリーズ。今回は、本屋大賞ならぬ書店大賞を舞台にした長編。嬉しいのは、
ひつじくんシリーズとのコラボレーション作品というところ。ついに、成風堂の二人と
ひつじくん(他営業仲間たち)とが邂逅します。書店大賞事務局宛に、不穏な内容のFAXが
届いたことから、書店員を始めとする書店大賞に関わるたくさんの人間たちが巻き込まれて
行くことに。本屋の名探偵・多絵はその真相を見抜くことが出来るのか。
杏子・多絵サイドと、ひつじくんたちサイド、両方から話が進められて行く為登場人物も多め。
そのせいか、若干ストーリーがわかりづらく感じました。多絵が真相にたどり着く過程が
あまり描かれないので、いきなり真相に気付いた感じがしてちょっと面食らうところも。
ただ、賞レースの裏側を覗き見れたって部分ではとても楽しめました。現実の本屋大賞も、
いろいろと大変なんだろうな。売れてる本を候補に入れることに批判が出るってのもよく
わかるし。でも、今となっては直木賞よりも知名度・名声度が上だと捉えられるくらいの
賞なので、出版業界活性の為にも、私としては是非とも続けて頂きたいなぁ、と思う次第で
あります。
書店大賞ノミネート作の中に、『クローバー・レイン』に出て来たシロツメクサの頃に』
や、以前成風堂でサイン会をした影平紀真の作品が入っていたりするところにニヤリ。
作品世界が繋がっているのだなぁ、と嬉しくなりました。


長沢樹「上石神井さよならレボリューション」(集英社
『消失グラデーション』以来の長沢作品。『消失~』の続編は未だに読み逃していて、早く
読まねば、と思っているのですが。
今回も、設定は非常にラノベっぽい。アニメのキャラから飛び出して来たかのような美少女川野
愛香と、彼女を被写体として追いかけるごくごくフツーの写真部男子高校生設楽洋輔。そして、
洋輔の友人であり、眉目秀麗成績優秀ですべてが完璧な美青年・岡江和馬。連作短篇形式で、
毎回メインで出て来るのは愛香と洋輔、二人が不可解な事件に遭遇すると、それを洋輔が和馬に
相談、和馬が持ち前の頭脳でその謎を解き明かす、というのが大まかな構成。それぞれの事件は
なんてことはないものだったりしますが、底抜けに明るくて屈託がない愛香と、彼女をあくまでも
被写体としか見ていないクールな洋輔、美形のくせに変態性癖のある和馬と、なかなか個性的な
キャラ造形でテンポ良く物語が進んで行くので楽しく読めました。事件のからくりは結構くだらない
ものが多かったですけどね(第一話とか特に・・・^^;)。恋愛部分がちょっと中途半端だった
ので、続編があるならもう少し進展させて欲しいですね。


京極夏彦「書楼弔堂 破暁」(集英社
明治の古書店を舞台にした連作短編集。いやもう、これぞ京極夏彦の真骨頂!って作品。
これは久々に素晴らしい作品に出会えた。っていうか、私個人の好みにドンピシャだったというか。
弔堂の言葉には、胸に響く文章がたくさんありました。人は、人生にたった一冊の本と出会えれば
いい、という考え方も、本は墓場、売るのは供養という考え方も、目からウロコが落ちる思いで
読みました。弔堂にやって来る客はみな何か曰くを持っている人ばかり。弔堂の主人は、そんな
迷える彼らにふさわしい本を探し薦める。この薦める本がまた、的を射ているというか、なるほど、
と思えるものばかりなんですね。そして、それぞれに出て来るお客は、史実で活躍している人物
ばかりなので、あの人物がああなった背景には、もしかしたらこの弔堂との出会いがあった
からでは・・・という虚実が入り混じった、謎めいた終わり方になっています(いや、もちろん
完全フィクションなのですけれども)。
弔堂店舗自体のビジュアルも非常に素敵でして、こんな古本屋があったら私も通うよ!と
心底思いました。主人のキャラも、店の小僧のしほる君も、良いキャラでしたねぇ。そして、
そして、何よりラスト一篇で、あのシリーズとの嬉しいリンクが判明!ここでこのシリーズとの
リンクを持って来たってことは、いよいよアレに繋がる伏線・・・だと思いたい~~~(><)。
ところで、最終話で出て来た猫ちゃんって、柘榴の先祖だったりするのかな。まさか、同じ
猫だったりして・・・そうだったら、ほんとに怪猫ってことになるけど・・・まさかね^^;
語り手の高遠は、気弱でヘタレで自虐キャラなので(^^;)、どうも関君を彷彿とさせる
キャラだなーと思いました。気ままな高等遊民なところは全然被ってないけど^^;ラスト、
その後の高遠がどうなるのか非常に気になりました。一生の一冊に出会ったからなのか、その後
弔堂に行かなくなってしまったというのが悲しかったです。
やー、やっぱり京極さんの文章はいいですね。面白くて、時間を忘れて没頭して読んでしまい
ました。もしかして、京極堂のあのたくさんの本たちは、弔堂から譲り受けたものだったりとか
・・・しないかなぁ。巡り巡って祖父の本が手元に戻って来たのではないかと。まぁ、邪推
かもしれないですけれど。
年の始めに良い本に出会えて良かった。私の一生の一冊は何なのかな。まだ出会ってないと
思いたい。だって、まだまだ本が読みたいもの。





ちなみに、昨年最後に読んだ本が『貴族探偵~』。今年最初に読んだ本は『ようこそ~』
でした。
今年もたくさん良い本に巡り会えると良いなぁ。
そういえば、芥川と直木賞候補作が発表になりましたね。私は三冊読了してましたが、
他の作品は全く未知の作家さんばかりだったので、どうなるかは全くわかりません。
読んだ三冊の中では、やっぱり万城目さんが有力かなぁ、と思いますけれどね。
さて、どうなるでしょうか。