長岡弘樹さんの「波形の声」。
補助教員の谷村梢小学校四年生の中尾文吾が自宅で襲われた。補助教員の谷村梢は文吾から、
スーパーで教師の万引きを目撃したと聞いていた。だが襲われる直前、梢の名前を呼ぶ声を近所の
人が聞いていたという。疑惑の目を向けられた梢は……。「日常の謎」を描く珠玉のミステリー集。
【収録作品】「波形の声」「準備室」「蚊」「黒白の暦」「ハガニアの霧」「宿敵」「わけあり
の街」 (紹介文抜粋)
スーパーで教師の万引きを目撃したと聞いていた。だが襲われる直前、梢の名前を呼ぶ声を近所の
人が聞いていたという。疑惑の目を向けられた梢は……。「日常の謎」を描く珠玉のミステリー集。
【収録作品】「波形の声」「準備室」「蚊」「黒白の暦」「ハガニアの霧」「宿敵」「わけあり
の街」 (紹介文抜粋)
『教場』が本屋大賞候補になり、最近勢いに乗っている長岡さんの最新作。七編の短篇が
収められています。『教場』ほどの黒さはありませんが、どちらかというと後味の悪いものの方が
多かったかな。読みやすいですし、面白かったですが、『傍聞き』のように突出して出来が
良かった、というのはなかったかなー。表題作なんかは着眼点は面白かったけれども、一部首を
傾げる部分もあったりしたし。オチが早々に見えてしまったものもありましたね。ラストで
もう一捻りあったらよかったのになぁ、と思う作品が多かったように思いました。まぁ、短篇
なのだから、一作にそこまで完成度を求めるのもどうかな、とも思うのですけれどもね。
収められています。『教場』ほどの黒さはありませんが、どちらかというと後味の悪いものの方が
多かったかな。読みやすいですし、面白かったですが、『傍聞き』のように突出して出来が
良かった、というのはなかったかなー。表題作なんかは着眼点は面白かったけれども、一部首を
傾げる部分もあったりしたし。オチが早々に見えてしまったものもありましたね。ラストで
もう一捻りあったらよかったのになぁ、と思う作品が多かったように思いました。まぁ、短篇
なのだから、一作にそこまで完成度を求めるのもどうかな、とも思うのですけれどもね。
では、一篇づつ感想をば。ネタバレ気味の感想もありますので、未読の方はご注意を。
「波形の声」
先述したように、着眼点は面白い。こういう実験って、子供心にワクワクしますよね。私は
理科が苦手なので、文吾少年のような発想は絶対無理だと思うけど。蟹が真っ直ぐ歩いた
理由も、なるほどー!と思いました。ちょっと可哀想でしたけど^^;
ただ、ラストで聞こえた音に関してなんですが、この音が聞こえたことで一番不利になるのって
主人公じゃないんでしょうか?なんで、この音が聞こえて警察があの人物を犯人だと特定出来た
のかがよくわからなかったです。主人公の証言だけだといくらでも疑えると思うんだけどなぁ。
先述したように、着眼点は面白い。こういう実験って、子供心にワクワクしますよね。私は
理科が苦手なので、文吾少年のような発想は絶対無理だと思うけど。蟹が真っ直ぐ歩いた
理由も、なるほどー!と思いました。ちょっと可哀想でしたけど^^;
ただ、ラストで聞こえた音に関してなんですが、この音が聞こえたことで一番不利になるのって
主人公じゃないんでしょうか?なんで、この音が聞こえて警察があの人物を犯人だと特定出来た
のかがよくわからなかったです。主人公の証言だけだといくらでも疑えると思うんだけどなぁ。
「宿敵」
うちの父もいい年して車を運転しているので、他人事とは思えなかったです。本人はまだまだ
若いつもりでも、端から見てると危なっかしいことたくさんしてますからね^^;;
しかし、ライバルの嫁がやっていたことには、正直ぞっとしました。いくらなんでも無理が
あるだろうとも思いますし。指示だけで出来ることではないですよ、絶対に。自分の見栄の
為に、それほどのリスクを犯すことが理解不能でした。事故が起きたらどうするんだ(怒)。
老人同士のライバル関係を描いているかと思いきや実は・・・という落とし所は面白かったです。
うちの父もいい年して車を運転しているので、他人事とは思えなかったです。本人はまだまだ
若いつもりでも、端から見てると危なっかしいことたくさんしてますからね^^;;
しかし、ライバルの嫁がやっていたことには、正直ぞっとしました。いくらなんでも無理が
あるだろうとも思いますし。指示だけで出来ることではないですよ、絶対に。自分の見栄の
為に、それほどのリスクを犯すことが理解不能でした。事故が起きたらどうするんだ(怒)。
老人同士のライバル関係を描いているかと思いきや実は・・・という落とし所は面白かったです。
「わけありの街」
一日で2キロ痩せた理由は、納得出来るような、出来ないような。併合罪については、初めて
知りました。いくつも罪を犯していたなら、それぞれに見合った刑が科せられなきゃおかしい
ですよね・・・。弥江の心情を思うと、やるせなくなりました。
一日で2キロ痩せた理由は、納得出来るような、出来ないような。併合罪については、初めて
知りました。いくつも罪を犯していたなら、それぞれに見合った刑が科せられなきゃおかしい
ですよね・・・。弥江の心情を思うと、やるせなくなりました。
「暗闇の蚊」
モスキート音のことは、何度かテレビで観たことがあります。私はもうとっくに聞こえない
年になっちゃってますけど^^;若い時にだけ聞き取れる音があるって、なんとなくピンと
来ないんですけど。
とにかく、渉と千種の飼い犬・ミルがロクでもないことに巻き込まれて可哀想でした。
しかし、誤飲するようなものかなぁ、アレ。香水なんかついてたら、余計にあり得なさそう
な気もするんですがねぇ・・・。
モスキート音のことは、何度かテレビで観たことがあります。私はもうとっくに聞こえない
年になっちゃってますけど^^;若い時にだけ聞き取れる音があるって、なんとなくピンと
来ないんですけど。
とにかく、渉と千種の飼い犬・ミルがロクでもないことに巻き込まれて可哀想でした。
しかし、誤飲するようなものかなぁ、アレ。香水なんかついてたら、余計にあり得なさそう
な気もするんですがねぇ・・・。
「黒白の暦」
二十年間も、幼なじみをライバル視して、毎日勝った負けたの印を手帳に記して来た、という
のが、なんとも偏執狂的でぞっとしました。そういうのやってると、そのうち虚しくなって
来そうだけどなぁ。種なし枇杷がラストでこんな風に効いてくるとは。「宿敵」といい、
親と子を交えたライバル関係を描くのがお好きなんですかね、この作者さんって。
二十年間も、幼なじみをライバル視して、毎日勝った負けたの印を手帳に記して来た、という
のが、なんとも偏執狂的でぞっとしました。そういうのやってると、そのうち虚しくなって
来そうだけどなぁ。種なし枇杷がラストでこんな風に効いてくるとは。「宿敵」といい、
親と子を交えたライバル関係を描くのがお好きなんですかね、この作者さんって。
「準備室」
これも親と子のライバル同士の戦いを描いた作品。読んでる時はあまり意識してないんだけど、
こうやって感想書いて行くと、なんとなく作者の書きたい傾向がわかって来ますね。
インコの使い方が効果的です。上司の桐宇は、嫌なヤツとしか思わなかったので、ラストの
行動は意外でした。
これも親と子のライバル同士の戦いを描いた作品。読んでる時はあまり意識してないんだけど、
こうやって感想書いて行くと、なんとなく作者の書きたい傾向がわかって来ますね。
インコの使い方が効果的です。上司の桐宇は、嫌なヤツとしか思わなかったので、ラストの
行動は意外でした。
「ハガニアの霧」
息子の誘拐事件の真相はすぐにオチが読めたのですが、名画をマリアナ海溝に落とした理由
には、はっとさせられました。まぁ、理解は出来ないですけど。両方手に入れた方がよっぽど
価値はあると思うんですけどねぇ。
息子の誘拐事件の真相はすぐにオチが読めたのですが、名画をマリアナ海溝に落とした理由
には、はっとさせられました。まぁ、理解は出来ないですけど。両方手に入れた方がよっぽど
価値はあると思うんですけどねぇ。
なんとなく、『声』とか『音声』と、『ライバル心』が全体的なテーマなのかな、と思いました。
親子が出て来る作品も多かったですね。
そういえば、本屋大賞ってもうすぐ発表ですよね。長岡さんが何位に入るのかも、注目
したいですね。
親子が出て来る作品も多かったですね。
そういえば、本屋大賞ってもうすぐ発表ですよね。長岡さんが何位に入るのかも、注目
したいですね。