ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

高田崇史「QED~flumen~月夜見」/越谷オサム「魔法使いと店長」

こんばんは。春めいて来ましたねー。花粉けっこう飛んでるみたいですけど、
みなさま大丈夫でしょうか。街中の車を見ると、確かに黄色い花粉っぽいのが
たくさんついてる・・・今年はやっぱり多いのかなーと思った次第。

 

読了本は二冊です。


高田崇史QED~flumen~月夜見」(講談社ノベルス
ひさーしぶりのQEDシリーズ。最終巻も積読状態でほっぽってあるくせに、
図書館の新刊情報で見かけたら懐かしくなってつい借りてしまった。終わったと
思ったら、また新シリーズが始まってたんですねぇ。flumenってついてるから、
番外編みたいなやつなのかな?と思ったのだけど、普通にタタルさんと奈々ちゃんが
活躍してて、本編と変わらなかったです。flumenってどういう意味なのかしら。前にも
タイトルについてたのありましたよねぇ。その時どっかに出て来てたのかもしれないけど、
忘れちゃった^^;
いやぁ、久しぶりに読んだけど、タタルさんの薀蓄祭りは相変わらずでしたねー。
もう、読むのが面倒くさいったらなかったわ(おい)。
でも、今回、奈々ちゃんも、タタルさんと同じ部屋に泊まることになって、
夜の肌のお手入れのことで頭がいっぱいで、タタルさんの延々と続く薀蓄
をほとんど聞き流しているところが可笑しかったです。奈々ちゃんもやっぱり
普通の女の子なんだなぁ(もう、女の子って年齢じゃないかもしれないですが^^;)。
そんな奈々ちゃんの女心をさっぱりわかっていないタタルさんのニブさに
ゲンナリしましたけどね^^;まぁ、この男には一生わからないんだろうな・・・。
今回の舞台は京都。一泊二日で京都旅行に行く事になったタタルさんと奈々ちゃん
が、月読神社を始めとする複数の神社で起きる不可解な連続殺人事件に巻き込まれる
というもの。歴史の謎の方の題材は、月読命。月に纏わる神様ということで、
なんとなく気になっていた存在だったので、いろいろ興味深い内容ではありました。
ただ、やっぱり案の定、事件と歴史の乖離は激しかったですね・・・^^;
殺人事件は月読命に関する神社とかで起きるのだけど、事件そのものは歴史とは
ほとんど無関係。動機も、えー、って感じでしたし・・・。単なる逆恨み・・・。
まぁ、いい意味でも悪い意味でも、このシリーズが変わっていないことは
間違いないですね(苦笑)。
タタルさんと奈々ちゃんの仲も、もう少し進展しているかなーと期待して
いたのになぁ。なんか、全然変わってないし^^;奈々ちゃんの気持ちは
はっきりしているのだけどね。タタルさんの言動に一喜一憂する奈々ちゃんが
可愛くもあり、可哀想でもあり。彼女の想いが報われる日は来るのかなぁ。
そういえば、妹の沙織ちゃんは結婚したんですね。熊つ崎さんと結婚したの
かな?と思ったら、全然違っていてちょっとガッカリ。熊つ崎さんも、タタル
さんから傷心の・・・とか言われていたから、少なからず気持ちはあったの
じゃないのかなー。一体、沙織ちゃんの相手って誰なんでしょうか。本編の
最終巻読んだら書いてあるのかしらん。読まなきゃなぁ。


越谷オサム「魔法使いと副店長」(徳間書店
こっちも久々、越谷さん。なんとなく面白そうなタイトルだったので借りてみました。
タイトル通り、ファンタジックな内容ではあるのですが、意外と重いテーマも
含まれていて、予想外に読み応えがありました。最初は、図々しい魔法使いの
少女アリスとお目付け役の小動物まるるんにイラッとさせられていたのだけど、彼女の
思わぬ出自を知って、見方がガラリと変わりました。それに、だんだんと主人公の
スーパーの副店長・藤沢と、アリスたちの関係が深まって行くにつれて、副店長とアリスが
親子っぽくなって行くところがとても良かったです。特に、終盤、アリスが副店長のことを
『お父さん』と呼ぶところは感動したなぁ。もう、二人は親子なんだなぁと感慨深い
ものがありました。二歳のアリスが得られなかったものを、副店長はあげることが
出来たのだ、と。アリスの修行先に選ばれたのが、副店長のところで良かったです。
副店長のキャラも、単なるお人好しってだけではなく、理不尽な客に対しては
憤りも覚えるし、ダメなものはダメと敢然と立ち向かう頼りがいもある。そうかといえば、
自分の家族に対してはメロメロになっちゃう家庭人の面もある。いい意味で、『普通』の
中年男性な感じが、リアリティがあって良かったです。
あと、脇役キャラもみんな良い人ばかりで好きでした。同じアパートの一階に住む水嶋夫人、
副店長の妻久美子さん、副店長の親友の警察官、奥村。アリスの正体を知った時の(水嶋
夫人には最後まで正体を明かさなかったけど)彼らの反応も素敵でした。特に久美子さんの
行動力には感心しましたね~。ドーナツ買ってスーパー中に挨拶回りとは。内助の功とは
このことだなぁ、と思いました。
唯一嫌なキャラだと思った、副店長の上司で店長の飯島も、最後の最後にいい仕事
しましたしね。あのまま副店長を残業させてたら、ほんとスーパー中の従業員を敵に
回してましたよねぇ。
あとは、やっぱり、なんといっても、アリスの相棒、まるるんが可愛らしくて良かった
ですね~。最初は嫌なヤツ、と思ったのですけどね。実はとっても、とーっても、
アリスのことを想っていて、情に篤い性格だとわかって、大好きになりました。
もともと、見た目は愛らしい小動物ですしね。まさに、魔女の宅急便のジジとキキ
みたいな感じね(どちらかというと、見た目はナウシカの相棒、テトの方に近いかも
しれませんがw)。
花火大会での顛末にはハラハラしましたが、最後は大団円でほっとしました。
でも、やっぱり副店長とアリスとの別れは悲しかったな。いつかまた、二人が再会
出来る日が来るといいな、と思います。
最後の最後で、水嶋夫人の亡くなった子供のことについてのフォローもちゃんとしてある
ところに感心しました。途中、意味深に出て来た伏線はどうなったのかなーと思っていたので。
水嶋夫人もとても良い人だから、彼女が喜ぶ姿が思い浮かんで、嬉しい気持ちになりました。
アリスの努力が実を結んで良かったです。アリスはきっと、これからたくさんの困っている
人を助けて行くのでしょうね。
気になったのは、アリスの本当の両親は今どうしているのか、というところ。まだ○○○に
入っているのかなぁ。どちらにせよ、多分、ろくでもない人生を過ごしているとは思う
けれど・・・。アリスのこと、少しは後悔しているのだろうか。まぁ、アリス自身は
ほとんど覚えがないというのがまだ救いではありますけどね。
出だしはファンタジックな設定に面食らって、ちょっと引き気味で読んでいたのだけど、
中盤以降は加速度的に面白くなって、ぐいぐい読まされました。良いお話読んだなぁ、
という気分。爽やかに読み終えられました。
越谷さんのお話、やっぱり好きだなー。未読の作品も読まなくちゃ(QEDと同じオチ^^;)。