ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

碧野圭「菜の花食堂のささやかな事件簿 きゅうりには絶好の日」/宝石ザ・ミステリー Blue

どうもこんばんは。明日からGW突入ですね~。前回の記事でも述べたように、私は
特に予定もなく、だらだら過ごすことになりそうですけど^^;地元で大きなお祭りが
あるので、駅の方は賑やかなんですけどね。今年は相方とお休みが合わないので、
お祭りは行けないかもしれないなー。

 

読了本は今回も二冊です。


碧野圭「菜の花食堂のささやかな事件簿 きゅうりには絶好の日」(だいわ文庫)
家庭的なお料理教室を舞台にした日常の謎系ミステリーの第二弾。前作がとっても
良かったので、続編が読めて嬉しいです。今回も、靖子先生のお料理は美味しそうだった~。
第二弾ともなると、靖子先生の安楽椅子探偵っぷりも堂に入ったものです。ご本人は
あくまでも控えめな態度で謙遜してますが、些細なヒントを頼りに真相にたどり着く慧眼
はさすがです。家庭的なお料理教室を舞台にしていますが、それぞれの謎の真相は、
ほのぼのした結末ばかりではありません。現代社会の問題に警鐘を鳴らすような、
教訓めいたものも多いです。自転車事故や、食べ物の転売や、SNS上でのレシピ盗難
やら。関わった本人に悪意がなくても、やっていることは犯罪であることも多く、
故意ではないだけにより厄介な問題に思えました。些細な問題だからと放置せず、
しっかり本人にその罪を認識させるよう働きかける靖子先生はさすがだな、と思いました。
好きだったのは、野川マルシェの話。菜の花食堂が、近くの神社で開催されるマルシェ
に出店することになり、ドライカレーとプリンを出すことに。どちらも大評判で
売れまくるけれども、なぜかカレーをライス抜きで注文する人が多い。一体なぜなのか。
その理由には、なるほど、と思わされました。よくこんなこと考えついたなぁ、と。
美味しそうでしたけどねぇ。やってることは、やっぱりよくないですよね。
それにしても、靖子先生のドライカレーが美味しそうで。自分でも作ってみたく
なっちゃいました(その日の夕食早速ドライカレーにしようかと思ったら、靖子先生が
『絶対必要』と言った食材のうちの片方がなかったので断念しました・・・^^;)。
ウド料理もほとんど食べたことがないので、食べてみたくなりましたねー。ウド
なんて、スーパーで売ってても買ったことないなぁ。ウドのスイーツなんて、想像も
出来ないです^^;
あと、ラスト一編では今回も靖子先生の身の上に関する驚きの事実が判明。ラストは
上手く行き過ぎな感じがしなくもないけど、菜の花食堂発展の為にはこれで良かったのでしょう。
商売っけがないところが靖子先生の美点でもあるとは思うけど、やっぱり菜の花食堂の
料理をもっとたくさんの人に食べてもらう為には、売上も重視しないとね。それが商売
ってものだとも思うしね。今回、優希に加えてもう一人靖子先生の弟子が増えた訳だし。
まだまだ、靖子先生には頑張ってもらいたいですね。
次回作も楽しみです。


「宝石ザミステリー Blue」(光文社)
普通の短編集かと思って予約したら、オール新作読み切りの小説雑誌の特別編集号でした^^;
目当ては、東川(篤哉)さん若竹(七海)さん横山(秀夫)さん深水(黎一郎)さん辺り。
最初は、好きな作家のだけ読んで返そうかと思ってたんだけど、結局一通り全部読んで
しまった(笑)。なので、読んだ順番はバラバラ^^;
基本的には、警察小説というしばりがあったようです。でも、警察小説じゃない作品も
ちらほら。それとも、警察小説というしばりがあったのは表紙の上段に名前が載ってる人
だけだったのかな(それ以外にも警察小説が多かったので真相はわからず)。
個人的に、ダントツで出来が良かったと思ったのは若竹さん。途中までは、ちょっと
状況がわかりにくいかなぁと思って読んでいたのだけど、最後の落とし方がさすが。
救いのない黒さもダントツNo.1だと思いますが・・・^^;後味は最悪ですが、ミステリ
としての出来は素晴らしかったですね。
次点は東川さんかなー。相変わらずのゆるい作風ですが、最後にカツラがあんな皮肉な
役割をするとは・・・!状況は笑えるんだけど、ちゃんと本格ミステリなんだよね。
ほんと、この辺のさじ加減がすごいと思う。
深水さんの『適用者一名』は、設定はトンデモないし、現実では絶対あり得ない
のだろうけど、どこかリアリティがあるところが怖かったですね。どこぞの北の国
のようだ。こんなことで、死刑にされたらと思うと・・・怖ろしい(ToT)。
初めましての作家さんで意外と良かったのは永瀬隼介さんと石川智健さん。最初は
スルーして飛ばして読んだけど、思い直してちゃんと全部読んで良かったです^^;
永瀬さんのは、肝臓がんを患った元極道の男が、娘の為に退職した刑事を頼って、
娘につきまとっている悪い男をなんとかしようとする話。やるせないラストですが、
男がくちずさんでいた歌が最後に何だったのかがわかって、歌詞が心に響きました。
短編ながら、長編のような読み応えのある一編でした。
石川さんのは、探偵役の、引きこもりで強迫神経症を患う小鳥冬馬のキャラが気に入りました。
主人公の青山が、冬馬を自らの警察での昇進の道具にしている感じがちょっと気になり
ましたけど。もちろん、友達として心配もしているのでしょうが・・・。冬馬の従妹の
冴子さんとの関係もちょっと気になるところ。まぁ、冬馬のことは完全に身内感覚で
世話してる感じなんでしょうが。どちらかというと、青山との方が恋に発展しそうな
感じですね。シリーズ化して欲しいなー。
お目当ての一人だった横山さんのが、ちょっと短くて食い足りなかったのが残念では
ありました。でも、横山さんの新作が読めただけで満足といえば、満足(笑)。次は
長編が読みたいなぁ。作家活動続けてくれているだけでも嬉しいですけどね。
なかなか読み応えありました。警察小説ばっかりだったんで、ちょっとお腹いっぱいかも(笑)。