ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

池井戸潤「下町ロケット ゴースト」/畠中恵「むすびつき」

こんばんはー。また台風来てますねぇ。私は今日まで仕事で明日から夏休みなんですが、
休みに入った途端に台風とは・・・。まぁ、台風の時に仕事に行くのも嫌ですけども。
今回の台風は雨が相当降るそうで。なんか、最近大雨が多すぎませんか?
地球温暖化の弊害なのか・・・天変地異の前触れみたいで嫌だなぁ。


読了本は今回も二冊ですー。休みは本を読みまくりたいところだけど、思い通りに
行くのやら。予約本ラッシュだから読む本は相変わらず山積みなのだけれど。


池井戸潤下町ロケット ゴースト」(小学館
10月から始まるドラマの続編の原作だそうです。発売日にバッチリ予約したから、
目出度く一番手で回って来ました。ラッキー。
今回も、ぐいぐいと読ませる展開で、あっという間に読み終わってしまった。私の後に
相方が読みたいって言うから、早く読まねばと気合入れて読んだし(笑)。でも、池井戸
作品に限っては、特に気合入れなくてもすぐに読み終わっちゃうのよね。

 

突然大口取引先から、取引が決まっていた新型エンジンの受注を取りやめてほしいと
言われた佃製作所。コストを重視し、技術を二の次にしたかのような相手方の態度に
戸惑いを覚える佃。しかしそんな折、農業を営む殿村の父親が心筋梗塞で倒れたとの
知らせが届く。急ぎ実家に駆けつけた殿村は、父親の代わりにしばらく農家を手伝うことに。
数日後、様子を見に殿村の実家を訪れた佃は、トラクターを運転する殿村の動きをヒントに、
新たな分野へのチャレンジを思いつく。高性能のトランスミッションの開発――佃製作所の
新たな挑戦が始まったが、その行く手は苦難の連続だった――。



感想、若干ネタバレ気味です。これから読まれる方はご注意ください!






相変わらず佃製作所には次から次へと困難が降りかかりますねぇ。新たなチャレンジには
わくわくしたけれど、突然農業に向かったから面くらいました。そういえば、前回も
宇宙からなぜか医療に行ったんですよね。ロケット開発に使われる程高い技術力を持つ
佃製作所の『モノづくり能力』を、違う分野にどんどん進出させて行きたいんでしょうね、
池井戸さんは。ただ、今回佃製作所は、技術力ばかりではコスト重視の会社に見向きも
されなくなって行くという、シビアな状況に追い込まれてしまいます。そこで佃製作所の
新プロジェクトの開発チームが気がついたのは、取引先のニーズに合わせたコストと技術力
のものを作ればいいということ。
まぁ、当たり前のことなんだけど、下手に高い技術があったばかりに、精度の高いものを
作ってコスト高になっていたわけですね。宇宙ロケットだったらそれで良かったの
だろうけど、農業用のトラクターなんかでは、最低限の機能が備わっていれば十分
というわけ。ただ、最低限の機能の中でも、きちんと計算して使い勝手がいいように
作れるところが、佃製作所の技術力の高いところ。モノづくりを真剣にしている
ひとたちってかっこいいなぁと思わされました。
今回の物語のキーパーソンとなるのが、ベンチャー企業『ギアゴースト』の社長伊丹と
副社長の島津。いろいろあって、ギアゴーストの窮地を佃製作所が救うことになるの
ですが、その結末が。ひ、酷い。伊丹のラストの手のひら返しにはただただ、唖然。
よく、こんなことが出来るな、と心の底から怒りが込み上げて来ました。あそこまで、
佃製作所にお世話になっておきながら。伊丹のキャラは、途中までとても好感持って
読み進めていただけに、ショックが大きかったです。島津に対する仕打ちも酷い。人間って、
ここまで傲慢になれるんだ、と呆れました。自分に利益がなくなったと思ったらポイ捨て
とはね。島津のラストが切なくてならなかった。佃製作所で一緒に働くのかな、と期待
していたので・・・。でも、ここから佃製作所と島津の反撃が始まるんでしょうね。
このまま終わりじゃ、あまりにも後味悪すぎる。
・・・と思ったら、案の定、もう続刊出版が決まっていたのですね。どうやら、今回は
前後編になっているようです。次はヤタガラス編だとか。こんなにもやもやしたままじゃ、
続きが気になって仕方ないよ、もう。続編は秋頃に発売するらしい。ドラマの最中かな?
また発売日をチェックしておかねば。
そういえば、今回も神谷弁護士はかっこよかったなー。ドラマだと恵ちゃんってところが
なんかちょっとイメージ違うんだけど。悪徳ケーマシナリーに一矢報いたところは、
スカッとしました。まぁ、それだけに、伊丹の手のひら返しにムカついたんだけどね。
神谷弁護士もこの結末にはやりきれない思いになったんじゃないだろうか。クロスライセンス
の件でギアゴーストに対して佃製作所が下した結論を知っているだけにね。
あと、今回一番ショックだったのは、殿村さんのあの決断ですね。まぁ、殿村さんらしい
とも云えるんだけど、やっぱり殿村さんは佃製作所にとって必要な人だから。でも、殿村
さんにとっても新たな挑戦になる訳だから、応援したいです。
続きが今から待ち遠しいです。




畠中恵「むすびつき」(新潮社)
年に一度の新刊の時期ですね。こちらも出てすぐ予約したので、一番手で回って来て
良かったです。
今回のテーマは輪廻ですかね。若旦那の前世の話が出て来たり、若旦那の生まれ変わりと
主張する死神たちが出て来たり、何度も生まれ変わりを繰り返す青年が出て来たり。
病弱な若旦那は、そういう輪廻の話を見聞きする度に、自分と妖たちとの繋がりに
思いを馳せ涙する。いつか死んでしまう人間の自分と、長い年月生き続ける妖たち。いつか、
必ず別れが来てしまう。今は楽しくみんなと過ごしていても。若旦那の切ない気持ちが
伝わって来て、こちらも悲しい気持ちになりました。若旦那は半分妖なんだから、
普通の人より長生きできればいいのにねぇ。まぁ、あんなに病弱じゃ、普通の人より
寿命が短そうだけど・・・^^;
でも、今回はいつもよりは寝込む回数が少なかったような?湯治にも出かけたしね。
妖たちと若旦那がわいわいやっているのは、いつでも微笑ましい。どんな時でも
若旦那第一の仁吉と佐助の手代たちも相変わらず若旦那に激甘だし。
今回一話で出て来た蒼玉が可愛らしかった。結局若旦那の元に行くことになったので、
その後も出て来るかと期待したのだけど、出番がなかったですね。どこかに仕舞われて
いるのかなぁ。拙い言葉で一生懸命しゃべろうとする姿に萌えました(笑)。
最終話に出て来た夕助のキャラも結構気に入ってたのに、終盤でまさかの展開になって
目が点に。嘘でしょ・・・と思いました。でも、その後の彼の人生にも面食らわされ
ましたけど。蝶になったと思ったら食べられちゃうし(苦笑)。こんなスピードで
輪廻転生繰り返す人、多分彼だけだと思うなぁ(笑)。でも、最後は落ち着くところに
落ち着いてよかったです。裕福な一太郎に飼われても幸せな人生歩めたと思うけど、
やっぱり笹女の側にいたかったんでしょうね。
今回も小さな鳴家たちには多いに癒やされました。一太郎の周りはいつも妖たちが
いっぱいで、楽しそうでいいな。