ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

太田忠司「ミステリなふたり あなたにお茶と音楽を」/早坂吝「探偵AIのリアル・ディープラーニング」

どうも、こんばんは。今日も暑かったですねぇ。今年の夏はほんとに異常ですね。
今月の電気代怖いな~・・・^^;;ガス代はその分安いと思いますけどねぇ。
去年こんなに毎日エアコン使った覚えないんだけどなぁ。まぁ、今年は水槽があるから、
つけなきゃダメっていうのもあるのですけど(メダカ死んだら困るんで^^;)。
明日も暑いみたいなんで、みなさん熱中症には気をつけて下さいね~。


読了本は今回も二冊です。


太田忠司「ミステリなふたり あなたにお茶と音楽を」(東京創元社
太田さんのシリーズものの中でも、1、2を争うくらい大好きなシリーズ(一位は
やっぱり甘栗少年かな~)の新作が出ました。続きが読めて嬉しい。警察官の妻・
景子さんと、イラストレーターの夫・新太郎くんによる謎解きミステリ短編集。
景子さんの、職場と家でのギャップがいいんですよね~。職場では「氷の女王」と
呼ばれるクールビューティで周囲に恐れられる存在なのに、家に帰ると夫・新太郎
の前でデレデレになっちゃう甘えん坊妻に豹変。職場の人間が家での景子さんを見たら
ビックリするだろうなぁ(苦笑)。
今回は、新太郎がイラストを手がけている、お茶と音楽について書かれた連載中の
エッセイに登場する紅茶や音楽のことも作中にリンクされていて、なかなか素敵な作品集に
なっています。馴染みのないラム酒をたらしたタブラティーやら紅茶を炭酸で割った
ティースカッシュやら、いろんな紅茶の飲み方が出て来るのも楽しかったです。
最近我が家でも食事の後に必ずティータイムを設けていて、紅茶もよく飲むので、
まねしてみたくなりました。毎回登場する新太郎作のお茶請けも楽しみのひとつ
でした。ちょうど自分でもスコーンを作ったばかりだったので、新太郎のスコーン
には興味津々。どんなレシピなのかな~。スコーンにはやっぱりクロテッドクリーム
ですね。うちは、クロテッドクリームが手に入ったらスコーンを焼くことにしてます
(普通のスーパーでは売ってないんですもん)。バター死ぬほど使うんで、カロリー
考えると恐ろしくなる食べ物なんですが・・・^^;
ミステリ的にもなかなかおもしろかったです。一話目の、雪が止んでから殺された筈の
死体になぜ雪が被っていたのか、という謎の真相には、なるほど、と思わされましたね。
雪をかぶせた理由には首を傾げざるを得なかったけども。
短編なので、場面展開が早くて、ちょっとわかりづらいのもありましたけどね。6話目
なんか特に。犯人が誰なのか、ちょっと混乱してしまった(私の読み取り不足なだけ
ですけど^^;)。
でも、このシリーズに関しては、ミステリ部分よりも、景子さんと新太郎のいちゃいちゃ
を楽しむ作品だと思っているので・・・(え、違う?w)。ふたりが食事やお茶を
しながら景子さんが手がける事件の推理をあれこれするシーンが一番楽しかったです。
出て来るお料理もお菓子もとても美味しそうだったし。新太郎みたいな旦那さんが
ほしいと思う女子は多いんじゃないかなぁ。優しくて家事は完璧で頭が良くて謎解きも
出来て。景子さんが羨ましい~。収入の面だけがちょっと頼りなさそうだけど(イラストレータ
だから推して知るべし、のような気も。景子さんの方が高収入なのは間違いないでしょうね)。
今回、景子さんの部下で新人の築山瞳が多くの場面で語り手を担います。途中で、
この子、もしかして・・・と思ってたんですが、最後でその予想が当たってることがわかり
ました。途中でちょっとした伏線が出て来ますからね。築山さんが、新太郎の奥さんが
誰だか知ったら驚くだろうなぁ。築山さん、一生懸命で真面目なところが好印象でした。
失恋しちゃったけど、ライバルを知ったら迷わず白旗上げちゃうでしょうね(苦笑)。
相変わらず仲良しで幸せそうなふたりにこっちもほっこりしました。面白かったです。


早坂吝「探偵AIのリアル・ディープラーニング」(新潮文庫nex
早坂さんの文庫新刊。この方の作品読みたいのだけど、なかなか図書館が入荷してくれない
のですが、なぜか文庫なのに入荷してくれて嬉しかった。
人工知能AIの探偵相以と高校生男子を主人公に据えた新感覚ミステリー。AI探偵ものは、
最近結構あちこちで見かけるネタではありますが、今回のAI探偵相以は、双子の以相という
存在がいるところがまたちょっと既存のAI探偵ものとは違うところかな、と思います。
双子といっても、以相の方は「犯人」として誕生したAIで、相以と以相はそれぞれ「探偵」
「犯人」としてコンピューター上で謎解き合戦を繰り返すことで知能を発達させて来た
という設定になっています。そうしてAI自身に学習させて知能を発達させることを
ディープラーニングというらしいです(ちょっと説明不足かもしれないですけど)。
犯罪をAIに考えさせ、その犯罪をAIに解決させる・・・なかなか、今までになかった設定で、
面白いなーと思いました。
ミステリとしても、本格を意識していて、結構しっかり組み立てられているところに
感心しました。主人公輔の父親の密室事件の真相なんかは、AIが考えただけにかなり
強引なところもありましたけど・・・よく実現出来たよなぁ。ただ、与えられた伏線
からはしっかり導き出せる真相ではあったので、溜飲が下がりました。
ただ、さすがに母親の死の真相の謎解きは無理があるんじゃないかなぁとは思いました
けど・・・特に弾丸の辺り。そんな偶然が重なる確率って、一体どれくらい天文学的数字
なのやら。
ゆきあやさんが、ご自身の記事で早坂さんって井上真偽さんと同一人物なのでは、みたいなことを
おっしゃってたんですが、この作品読んで、私も全く同じ感想抱きました。名前の
付け方とか、キャラ造形とか、ミステリの組み立て方なんかですごく似たものを
感じます。作中でAI探偵はすべての可能性を考えなきゃいけない、みたいな文章も出て
来るし。ほんとに同一人物なのでは・・・と勘ぐったりもしたのですけど、作者の
プロフィールを見ると、それは勘ぐりすぎだったみたいです。出身も出身大学も経歴も
全然違ってた^^;
途中、かなり大風呂敷を広げた展開になるんで、残りのページ数考えて、ほんとに
収拾つけられるのかな、と思いましたが、案の定ラストはかなり急ぎ足って感じ
でしたね。無理矢理収拾つけた感じがなきにしもあらず。オクタコアのメンバーたちの
末路があまりにもあっけなさ過ぎて拍子抜け。ちょっと可哀想になるくらい。この
あっさり重要キャラを殺して行く感じも井上さんっぽいんだよなぁ。
ちなみに、全然関係ない話なんですけど、オクタコアが自分の中でどうしてもオタクコア
に思えてしまって仕方なかった^^;しかし、オクタコアって一体どこから出た言葉
なんだろ?
以相はなんとか無事みたいなので、今後彼女はどういう立ち位置になるんですかね。
やっぱり、相以の敵に回るのかな?今後の展開も気になるところです。
次回作も楽しみ。図書館入ってくれー。