ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

若林正恭「ナナメの夕暮れ」/松尾由美「サトミとアオゲラ探偵」

こんばんは。昨日今日と、12月とは思えない温かさが続きましたね。
特に、昨日の暖かさは、何か気味が悪いくらいでした。ここ数年、ほんとに
異常気象が続いている気がします。何かの前触れなのかしら・・・怖っ。
ところで、今日は悲しいお知らせをしなければなりません。ここ何回か
お伝えしてきた我が家のお庭のカマキリのかまじろうが・・・ついに姿を消して
しまいました。つい二日ほど前のことですが、仕事から帰って見たら、いつもいる
小菊の鉢植えの周辺から、いつの間にかいなくなっていました。その後外に出る度に
姿を探していますが、見つからず。どこか別の場所に移ったのか(それならばまだいい)、
はたまた鳥とか他の外敵に食べられてしまったのか・・・(最悪)。
寿命だったら死骸が残っていると思うので、上記のどちらかだとは思うの
ですけどね。どこかで、元気にしていてくれたらいいな、と願っていますが。
いつも同じ場所にいたから、姿が見えなくなるととても寂しいです(涙)。
しばらくの間、我が家の住人でいてくれてありがとね、かまじろー。ばいばい(T_T)。


今日も二冊ご紹介しますね。


若林正恭「ナナメの夕暮れ」(文藝春秋
オードリー若林さんのエッセイ集。若林さんのエッセイはとても人気があって、
回って来るのにかなり時間がかかりました。その前に予約した旅行のエッセイは
未だに回って来てないし。それなのに、一番読みたい一作目は図書館未入荷
(文庫も出たのに・・・)。なんなのかなぁ、うちの市の図書館は。
人見知りで、物事に関していろんなことを考え過ぎてしまい、生き辛さを
感じていた、かつての若林さんの片鱗が伺えるエッセイでした。今は、大分
性格が変わって、人見知りもしなくなっているようですが(人見知りは卒業したらしい)。
いろんなことを考え過ぎて、ぐるぐると同じことを考えてしまうって、誰にでも経験
あるんじゃないのかな。若林さんの思考は、時にはなんでそうなる?って理解不能
だったりもするんだけど、基本人見知りな私には、結構共感出来る部分も多い。
ただまぁ、私は『自分探し』とかはあんまりしようと思ったことないけど。
自分探しと称して、海外行っちゃう人間とか、斜めから見ちゃうタイプだし。
でも、それは、ほんとは海外に出て行く度胸がないから、虚勢を張ってる
だけなのかもしれないですけど(苦笑)。
偏頭痛のお話とかは、大変そうだなぁって思いました。あんなに忙しく
しているのに、偏頭痛とかあったら、仕事するのも苦しいだろうな。
私も結構頭痛持ちなんで、頭痛の苦しさはよくわかります。若林さん
ほど頻繁じゃないと思うけど。頭痛があると、吐き気もしてくるし。最近は、
ブログの文章とか考えて長くパソコンに向き合っていると、頭痛や吐き気が襲って
来ることも多い。目が悪いから、眼精疲労から来るものかもしれないのですけど。
人を笑わせながら、頭痛と戦うのはなかなかにしんどいんじゃないのかな。
あとは、まえけんさんのお話が切なかった。正直、あややのイメージしか
なかったのだけど(失礼・・・)、亡くなった時、いろんな芸人さんが
本当にショックを受けて、惜しんでいたのが印象的だったのです。
今回のエッセイを読んで、改めて良い人を亡くしてしまったんだな、と
やるせない気持ちになりました。この回のエッセイのラストの『圧倒的に前田健
残した』という一文がとても印象的でした。前田さんの小説『それでも花は
咲いていく』、とても読んでみたくなりました。映画も観てみたいな。
意外だったのは、読書をそんなにしていなかったという部分。昔からすごい
読書家だと思いこんでいたから、びっくり。最初、読書芸人のオファーを断って
いたとは(今は出ていますよね)。
このエッセイの連載の後で、読書家になったのかな。やっぱり、作家と鼎談する
番組がきっかけだったのでしょうか。西加奈子さんと加藤千恵さんのおかげ
なのかも(三人の会話面白かった)。
いろんな物事をナナメから見ている、若林さんのナナメな考え方がたくさん
詰まったエッセイでした。ちなみに、最近別れた彼女さんのことは全く
出ていませんでした。付き合う前なのかもしれないですけど(笑)。確か、
あけすけに風○に行ったとかも書かれていたけど、大丈夫だったのかな?^^;


松尾由美「サトミとアオゲラ探偵」(ポプラ文庫)
久々の松尾さん。安楽椅子探偵アーチーシリーズが大好きなんだけれど、
その後続編出してくれないから悲しいです。ただ、こちらも小学生が主人公で、
ちょっと変わった名探偵が出て来るという部分は共通するものがあるかも。
母親の転勤でしょっ中転校している小学生のサトミ。けれども、今回の
転勤は初めての海外。ついて行ってもいいと言われたけれど、母親は
日本に残って叔母さん(母親の妹)のいる、生まれ育った街で叔母さんと
暮らした方がサトミのためと思っているふしがある。そこで、サトミは
優しいレイコ叔母さんと一緒に暮らすことに。友達のいないサトミは、
ある日学校が終わった後、一人で公園のベンチに座ってレイコ叔母さん
お手製のおやつを食べていた。すると、どこかから話し声が聞こえて来た。
なんと、アオゲラコゲラ、二羽の鳥が人間の言葉で会話しているのだ。
驚いたサトミだったが、更に驚いたことに、アオゲラは人間にもわからない、
不思議な謎を解明する名探偵でもあったのだ――。小学生のサトミが
持ち込む不思議な謎を、鳥の名探偵が鮮やかに推理するユーモアミステリー。
ポプラ社らしい設定で、ほのぼのと可愛らしいミステリーでした。特に、
アオゲラ探偵と助手(?)のコゲラのキャラクターがとっても愛らしい。
ミステリとしては当然ながら殺人事件などは起こらない、日常の謎系。
謎解き自体はさほど瞠目すべきところはないけれども、サトミと
二羽の鳥コンビの会話を読んでいるだけでも十分楽しめました。
アオゲラコゲラの話が聞ける条件の一つに、『友達が少ない、または
全くいない』というのがあるのだけど、それがなぜかがよくわから
なかったな。まぁ、多分、友達が少ない(orいない)=鳥が言葉をしゃべる
という秘密をしゃべる相手がいないから、外に秘密がばれる可能性が
少ない、ってことなんだろうけども。
アオゲラ探偵が、『知識の虫干し』をする姿が、なんとも滑稽で、
可愛らしかった。面白い設定だなぁと思いました。
ラストのお話でサトミの父親がわかるのかと思いきや、結局最後まで
わかず仕舞い。そこの部分は依然として謎のままなので、続編を想定して
いるのかな?刑事のモリイさんと叔母さんの今後の関係も気になりますし。
アオゲラコゲラコンビの愛くるしいキャラクターが気に入ったので、また続きを
書いていただきたいな。