ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

阿部智里「八咫烏外伝 烏百花 蛍の章」/内村光良「ふたたび蝉の声」

こんばんは。先日お伝えした我が家のめだかちゃんたちですが。その後、一匹づつ
どんどん調子が悪くなり、小さい水槽にいた子たちは残り3匹(うち2匹隔離中)
になってしまいました。隔離している2匹ももう、瀕死の状態。そして、昨日
令和初日に買った幹之メダカも1匹★になってしまいました(涙)。
でも、紅帝メダカの稚魚たちは順調に育っています(大分減ってしまっては
いるけれども)。なんとか成魚になるまで育てたい・・・今、2つある水槽、
めだかが減って、かなり寂しい状態なので。
10匹くらいは残って欲しいなぁ・・・無理かなぁ。


今回も二冊ですー。


阿部智里「八咫烏外伝 烏百花 蛍の章」(文藝春秋
八咫烏シリーズ外伝集。本編の最後は若干(?)の黒べるが出てしまい、
あまりいい印象では読み終えられなかったのですが、やっぱり新作が
出るとつい手が出てしまいますね。
今回は外伝ということで、脇役キャラが活躍。雪哉主役の話もありますが。
冒頭に用語解説とか人物紹介とかが載っているのがありがたかった。
実はいまだに、山内の人間関係とかよくわかっていない部分があったり
する・・・(本編終わっちゃったよ!)。
どれもさらっと読めて、それぞれの登場人物たちの意外な人間関係や
胸の裡なんかも明らかになったりして、面白かったです。


各作品の感想を。

 

『しのぶひと』
真赭の薄(ますほのすすき←何度読んでも読めない^^;)と雪哉を
結婚させようと画策した澄尾が、真赭の薄に激怒される話。澄尾の彼女への
想いに切ない気持ちにりました。この世界での、彼らの身分の差は
いかんともし難いものなんでしょうね・・・。

 

『すみのさくら』
何不自由なく暮らして来た南家の一粒種だった墨子は、突然攫われ、男児
格好をさせられて粗末な暮らしを余儀なくされることに。ある日両親が
殺されたことを知り、絶望する。しかし、謀反を企てたのは両親だという。
両親の粗末な墓には花さえ手向けることができずにいた。しかし、墨子
ある日、両親の墓に一人の少年が現れ、涙を流すのを目撃する――。
墨子って誰だっけ?と思っていたら、その答えはその後の作品に出て来ました。
なるほど、こういう縁が二人にはあったんですねぇ、と腑に落ちるものが
あったのでした。

 

『まつばちりて』
大紫の御前に忠誠を誓う女衆、藤宮連の秘書官・松韻の物語。ラストで
ある人物が松韻を裏切るくだりは、このシリーズらしいなぁと辟易。
醜い女の嫉妬で陥れられた松韻が哀れだった。どうにも救いのない
ラストですが、最後に純愛を貫いた松韻の姿には胸を打たれました。
松韻が生命をかけて守った愛の結晶は、忍熊の元で幸せに暮らせるのかな。

 

『ふゆきにおもう』
雪哉の実母冬木と、義母梓の若かりし頃の話。冬木と梓に、あんな
因縁があったとは驚きました。雪哉がなぜひとりだけ母親が違うのか、
よくわからずにいたのですが、ああいう経緯があったんですね・・・。
雪正の冬木に対する態度はあんまりだと思いました。梓を条件に
結婚を飲むなんて。実の姉妹のように仲の良かった二人のその後の
関係の変化が悲しかったです。

 

『ゆきやのせみ』
雪哉が勁草院に入る前、若宮がお忍びであちこちに遊びに出かけた時の
お話。これだけ妙にコミカルなお話。お忍びで出かける度に面倒事を
引き起こす若宮に呆れる雪哉が気の毒になりつつ、ちょっと可笑しかった。
タイトル、どういうこと?と思ったら、まさかの展開。この間クワコ
の話読んだばかりだったから、どういう符牒!?って思いました。
どんなにお腹空いてても、私だったら絶対無理。雪哉が可哀想で
ならなかったです・・・。

 

『わらうひと』
猿の襲撃から半年後の出来事。真赭の薄と澄尾の物語。『しのぶひと』
では彼女の縁談を世話するくらい、自分の身分を弁えていた澄尾ですが、
自らが死ぬほどの目に遭って、考えを変えた模様。はっきりとその
想いを彼女に伝えてしまう。果たして、彼女の答えは――。
始めは頑なだった真赭の薄の気持ちが少しづつ変化しているように
感じました。澄尾の想いが届く日は来るのかな。個人的には来て欲しい
けれどね。

 

蛍の章って副題がついてるくらいだから、違う章がまたあるんでしょうね。
本編よりこっちの方が読みやすくて私は好きだなー(おい)。第二部
スタートより、こっちを書いて欲しい邪なファンなのでした^^;



内村光良「ふたたび蝉の声」(小学館
ウッチャンナンチャンの内村さんの最新作。『金メダル男』が結構
面白かったので、借りてみました。
ある家族を巡る連作短編形式の物語。一話ごとに主人公が変わりますが、
読み進めるとそれぞれの人物の関係性がわかっていく、という形。
最初、一体何が書きたいのかよくわからなかったんですよね。
なんていうこともないお話って感じで。でも、一作づつ読み進めて
行くうちに、なるほど、と思えるお話になって行く。ウッチャン
人柄そのままに、心優しい家族の物語って感じでした。特に、私は
藤棚を作る老人のお話が好きだったな。その老人の正体には、なんとなく
見当がついていたのだけど、最後にきちんとそこの部分のフォローも
あったので溜飲が下がりました(出て来たお話でははっきりとした
オチがなく、中途半端に終わっていたので)。
あとは、ゆりのお話が切なかったな。いい人ほど、悲劇に見舞われる
というのか。せっかく家族で病気を乗り越えた、と喜んでいた矢先に、
更なる悲劇。神様は残酷だなぁと思いました。
それから、衝撃的だったのは進の幼馴染、竜也が出て来る話。
もともと竜也がだらしないのがダメだったところはあるのだけど、
せっかく進の好意で人生もいい方に向かおうとしていたところに
・・・まぁ、せっかく用立てしてもらった大事なお金をまた
パチンコに使っちゃうところには呆れましたけど。それでも、あんな
結末は予想できなかったです。人生はどうなるかわからない、という
典型例ではないでしょうか。
ただ、ひとつ気になったのは、進の不倫の部分。基本、自分勝手で
嫌悪感しか覚えなかったのですけど・・・ウッチャンがこういうネタ
を書いたってところがちょっと意味深だな、と。彼自身の結婚もいろいろ
噂あったんで。私はあんまりよく事情知らないけどさ。ネットで
ちょこちょこ叩かれているのを目にしたことがあったので。
それにしても、最近なぜか蝉が出て来る作品をよく読むなぁ。
一体何の因果なんだろうか・・・謎。