毎回歴史・文学・古典等の分野で仰天新推理を開帳する、ご存知高田崇史さんのＱＥＤシリーズ第１１弾。前作に引き続き、和歌山での滞在を伸ばしたタタルたち一行。そこでは、奇妙な殺人事件と三種の神器を巡る数々の謎が待ち受けていた。自らを「毒草師」と名乗る青年・御名形史紋と共に、歴史の謎に挑むタタルの推理が冴え渡る。
普通、袋とじというのは殺人事件の謎解き部分が隠されているものですが、この作品では違います。殺人事件の方はわりとあっさり解決して、三種の神器の謎解き部分が袋とじになっています。とにかく、よくぞここまで考えたな、という仰天推理に脱帽。タタルさんの薀蓄はどんどんグレードアップして行く気がします・・・。しかし、このシリーズを読むと、いかに自分が歴史や古典のことを知らないかということがよくわかりますね。まぁ、タタルさんが異常とも言えますが。それについていってる奈々ちゃんてやっぱすごい人です。今回、新キャラの御名形が登場しますが、いろんな意味でタタルさんのライバルになりそうな気配。奈々ちゃんを巡ってのあれこれ、なんてこともあったりすると、先が楽しみになってくるんですが。この二人の関係、本当にじれったいので（笑）。
高田さんは千波君シリーズ、麿シリーズ共に面白いのですが、やはり何と言ってもこのＱＥＤシリーズが真骨頂。歴史の謎っていっぱいあるんだなぁということに気づかせてくれる、貴重な作品なのです。
