ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

大崎梢「もしかしてひょっとして」(光文社)

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大崎さん新刊。タイトル通り、「もしかして、ひょっとして」と思える出来事を

主人公たちが振り返り、真実に迫る話ばかりを集めた短編集。五作目に収録されて

いる『かもしれない』だけアンソロジーで既読でした。各作品にリンクは全く

ないですが、どのお話も過去に起きた事件を振り返り、推理をめぐらせるという

部分で共通しているので、まとまりのある短編集になっていると思います。

では、各作品の感想を。

 

小暑

ぐずる赤ちゃんと新幹線に乗っている主人公が、優しい老婦人と出会って、婦人の

過去の話を聞くお話。老婦人の話よりも、ラストで明らかになる主人公の正体(?)

の方がびっくりしました。騙されたー。

 

『体育館フォーメーション』

バスケ部内で後輩いじめが起きていると知らされた生徒会役員の主人公が、実情を

知る為調査に乗り出す話。

いじめの真相が後味の悪いものでなくてほっとしました。こんな方法で効果があった

ことの方にびっくりする気もしましたが(苦笑)。

 

『都忘れの理由』

長年勤めてくれていた家政婦に突然暇乞いをされて戸惑う主人公。妻が亡くなって

からも、すべてのことを任せていたので、生活に困ってしまう。家政婦はなぜ突然

辞めるなどと言い出したのだろうか。

双方の誤解が思わぬ事態を引き起こしてしまったいい事例。誤解が解けて良かった

です。これからはもっとお互いに意思の疎通が出来そうですね。

 

『灰色のエルミー』

友人から猫を預かった主人公。仕事を定時で上がり、甲斐甲斐しく世話をしていたが、

ある日、預かった友人が交通事故に遭ったとの知らせが。思い返せば、友人は猫を

預ける時にメールで『猫を預かっていることは誰にも言わないで』と伝えていた。

一体なにが起きているのか?

事件の真相よりも、主人公と友人の仲の方が気になりました(笑)。そのうち恋愛

関係に発展しそうですよね、この二人。

 

『かもしれない』

息子と絵本『りんごかもしれない』について話しているうちに、会社の同僚の

左遷に関して『ひょっとして』と思うことがあったと思い当たる主人公は、当時の

出来事を振り返り始めるが。

これは一番タイトルの『もしかしてひょっとして』に相応しいお話ですね。同僚の

過去のミスが意外な着地点を見せるところがお見事。そして、最後のオチにも

ほっこりしました。

 

『山分けの夜』

入院中の伯母に頼まれて、伯母の家に忍び込んだ主人公は、そこで叔父の死体を

見つけてしまう。このままでは自分が疑われてしまう――困った果てに頼った

のは、同じサークルの先輩・香西だった。

香西の正体には驚かされました。この作品で一番の策士は、伯母なんじゃない

のかなぁ。意外と腹黒い人物なのかも?

 

 

夏川草介「始まりの木」(小学館)

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神様のカルテの夏川さん最新作。今回は、日本全国各地にフィールドワークに

行く民俗学者とその助手の物語。現代版遠野物語って感じですかね。民俗学者

活躍する作品といえば、なんといっても、私の中では北森鴻さんの蓮丈那智シリーズ。

あのシリーズで民俗学の奥深さは学んでいたので、本書もすんなりと入って行けまし

た。日本古来から、その土地その土地に伝わるものを学ぶ民俗学という分野は、

日本人も知らない日本を深く学ぶという意味では、すごく大事な学問でもあると

思いますね。

本書に出て来る民俗学者・古谷神寺郎は偏屈な性格で言葉は辛辣だけど、学問に

対しては深く含蓄のある発言が多い。だから、大学院一年目の彼の助手・藤崎千佳は、

罵倒されながらも神寺郎がフィールドワークと称して地方を旅する先について回って

あれこれと世話を焼くのだと思う。神寺郎も、千佳のことを口ではさんざん悪口

言ったりするけど、きちんと研究者として認めているから、側にいさせるんだろうな、

と思えました。二人の距離と関係がとても良かったですね。

青森、京都、長野、高知と巡り、最後は東京の文京区。二人で日本各地に赴き、現地の

自然やしきたりや伝統に触れ、フィールドワークを行う。ロードノベル的な楽しみ

もあり、情景描写も美しく、私も二人が訪れる土地を訪れてみたくなりました。

ただ、派手な事件が起きたりする訳ではなく、説明的な部分も多いので、若干

冗長に感じて退屈なところもあったかな。もうちょっとストーリーに緩急があったら

良かったかも。ラストの古刹の住職とのエピソードは夏川さんらしくて感動的

でしたけど。長野で神寺郎が倒れた時は、絶対イチさんが出て来ると思って期待

したのだけど、そっちじゃない人が出て来ましたね。読んでる時は名前に聞き覚え

はあるけど、誰だっけ?状態だったのだけど(おい)。後で調べて、あーそっか、

あの人かぁと思いました。イチさんと神寺郎を出会わせてみたい気もするけどな。

なんか、妙に話が合いそう。イチさんって若いのに、老成した雰囲気ありますしね。

樹齢何百年の大木って、それだけで神が宿ってそうな感じはしますよね。私も

観光スポットとかでそういう大木に出会うと、すごくパワーをもらえる感じがします。

でも、最終話では樹齢六百年超えの枝垂れ桜が道路拡張の為に切られるという

エピソードが出て来て、やりきれなくなりました。そんな貴重な古木なら、保護

しようという反対派の意見も出て来そうな気もするんだけど、時代の流れで仕方が

ないのかな。花ももうほとんど咲かなくなっているというし。それでも、残さなきゃ

いけないものって絶対あると思うんですけどね。移り変わりの激しい現代にこそ、

日本古来から伝わる自然や言い伝えを残して行くべきなんじゃないのかな。なんでも

かんでも、新しくすればいいってものじゃない。山や川や森に宿る神の声にもっと

人間は耳を傾けるべきなんじゃないか、とこの作品に教えられた気がしました。

神寺郎の言葉『これからは民俗学の出番だ』に、深く頷く自分がいたのでした。

 

町田その子「コンビニ兄弟 ーテンダネス門司港こがね村店ー」(新潮文庫nex)

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最近ちょっと注目している町田さんの文庫新刊。九州地方だけに展開しているコンビニ

チェーン『テンダネス』。その中でもとりわけ売上のいい『門司港こがね村店』を

舞台に繰り広げられるハートフルストーリー。門司港こがね村店の売上がいい理由は、

そこで勤める名物店長にある。イケメンで誰にでも優しく、とにかく老若男女誰をも

魅了してしまうフェロモンを常に発している男・志波三彦その人である。パートで

勤める店員の中尾光莉は、志波店長と客たちとのやり取りを観察するのが日課

なっている。なぜなら、光莉はSNS上で『フェロ店長の不埒日記』という漫画を

日々更新して、人気を博しているからだ。もちろん、フェロ店長とは志波店長を

モデルにしているのだ。

そんな彼のもとには、個性的な常連や、悩みを抱えた客たちが癒やしを求めて

やってくる――。コンビニを舞台に繰り広げられる心温まるお仕事小説。

本書に出て来るテンダネス門司港こがね村店は、三階以上が高齢者専用のマンション

となっていて、品揃えも高齢者向けのものが多かったり、イートインスペースも

マンションの住民の憩いの場となるように設置されていたりと、ちょっと他の

全国展開のコンビニとは雰囲気が違っています。店長目当ての常連客にも高齢の

女性が多い。マンションの常連客で結成された店長のファンクラブまである始末。

店長はどんな客にも優しい対応をするので、自然と店長のレジにはいつも長蛇の

列が。店長の客への対応を見ていると、この場所がコンビニであることを忘れ、

ホストクラブにいるかのように思えてくる、という。なんか、胡散臭い店長だなぁと

最初は思っていたのだけれど、途中からこれは演技でも何でもなく、店長の本質

なのだというのがわかってきて、少し見方が変わりました。パートの光莉も思う

ことだけど、店長だったらこんな地方のコンビニよりも他にいくらでも仕事があり

そうに思えるんですが、店長自身がコンビニの仕事がとにかく大好きで、やりがいを

感じているらしいのが伺えて、好感が持てるようになりました。変わった人だよね。

でも、個人的には店長よりも、飄々とした廃品回収業者のツギのキャラの方が

ずっと好き。ツギと店長の関係は、タイトルからすぐにわかっちゃいますね。ツギ

の方が下だと思ってたから、そこは予想が外れたけど。

悩みや鬱屈を抱えた客たちが、このコンビニにやって来て、店長や従業員たちや

常連のツギの力を借りて、心を癒やして行くところに心が温まりました。

各主人公たちも、最初は偏屈だったり卑屈だったりで、あまり好感持てない人物が

多いのだけど、店長たちと触れ合うことで、それぞれに気づきがあったり成長が

伺えて、終盤ではみんな良い方に印象が変わりました。

二話目の主人公の良郎が、塾講師を辞めて郷里に帰った後も、テンダネスで知り

合ったツギや光莉や店長と関係が続いているのが嬉しかったです。光莉のように

ウェブ上でもいいから、漫画を描き続けて誰かに認めてもらえるといいなぁと

思います。今はそういうところから出版化の話が来て、ヒットする時代ですしね。

ラストに出て来た店長とツギの妹の存在は、今後も何か引っ掻き回してくれそうな

感じがしましたね。続編があるなら、の話ですが。しかし、兄たちはそこそこ普通

の名前なのに、なぜ妹だけいきなりDQNネームなのか・・・(樹恵琉(じゅえる))。

門司港のレトロな雰囲気も良さそうでしたね。そういえば、山口旅行に行った時、

すぐ側を通りかかったんですよねぇ。ほんとはすごく寄って行きたかったけど、

時間がなくて泣く泣く諦めたのだった。いつかまたあちら方面に行く時があったら、

絶対観光して行きたいなぁ。

 

古内一絵「お誕生会クロニクル」(光文社)

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マカン・マランシリーズが大好きだった古内さんの新作。お誕生会にまつわる

七編の短編集。各作品の主人公は違いますが、微妙に人物関係がリンクしています。

どんな人にも誕生会の思い出があって、それぞれに共感出来たり、反感を覚えたり、

いろいろと考えさせられる作品集になっていると思います。それと同時に、お誕生会

っていうのは、家族との思い出が必ずついて来るので、家族の物語でもあるんだなぁ

と思わされました。

私自身は、小学生の頃、友達を読んでお誕生会とかをやった覚えは一度もないんです

よねぇ。もちろん、家族間ではプレゼントもらったりして祝ってもらいましたし、

友達同士で誕生日にプレゼント交換なんかをやったりはしましたけど。だから、

本書に出て来るお誕生会のトラブルとか経験したことはないです。友達の誕生会

に招待された覚えもあんまりない。覚えてないだけで、何度かはあったのかもしれ

ないけど・・・うーん?世代が違うのかなぁ。

私の誕生日が8月で、夏休み真っ最中というのも関係あるかも。わざわざ夏休み中

に友達呼んで誕生会って感じにもならないし。そもそも、両親が共働きでそんな会

を開くこと自体が無理ってのも大きかったと思う。かといって、それを不満に思う

こともなかったけど。誕生日なんて、家族が祝ってくれればそれで十分だもの。

本書に出て来るように、今の小中学生は、自宅に大勢の友達呼んで派手に祝ったり

してるんですかねぇ。本人たちが楽しければいいけど、その規模や招待客の人数

なんかをマウンティングし合うようになったりすると、トラブルに発展しそう

ですよね。本書では、そうしたトラブルによって、小学校でお誕生会禁止令が

出されてしまいます。そこからまた、第二のトラブルに発展して行ったりする訳

ですけど。なんか、面倒くさい世の中になったなぁとも思う。ちょっとしたことで

保護者が出て来て、教師にクレームつけて。先生も大変だなぁと気の毒になりました。

他には、姪っ子の誕生会の為にサプライズを仕掛ける青年の話、母親が地味な

料理しか作ってくれずに恥をかいたトラウマを持つヤンママの話、誕生会好きの

会社の上司がいる雑誌編集者の話、反抗期の娘の友達の中国人の誕生会の話を聞いて、

過去の経験を思い出す編集者の話、3.11に生まれた双子の息子たちの誕生会

について、母親と意見が合わない専業主婦の話、認知症の母親がかつて誕生会で

作ってくれた桜のケーキが忘れられない女教師の話などが収録されています。

どの作品の主人公も、最初は考え方とか他人への態度とか、好感持てるとは言い難い

人物ばかりでしたが、物語の終わりには、誕生会を通して気づきがあって、

それぞれが少し、人間として成長していると感じられました。

最終話は、まさにコロナの時代を描いた物語になっているところもリアルです。

作者自身も、コロナ渦にあっていろいろ思うところがあったのでしょうね。震災の

話に関しては、私は主人公の母親の方に共感しました。もし、自分に子供がいたら、

主人公の気持ちにもっと寄り添えたのかもしれませんが。やっぱり、震災で亡く

なった人々の記憶を消すことは出来ないし、東京にいるのと東北にいるのとでも

全然周りの環境が違うでしょうし。身近な人を亡くした人が周りにたくさんいる

母親が、手放しに3月11日の娘の子供の誕生を祝えない気持ちも十分理解出来ます。

そういう母親の気持ちに寄り添えない主人公の自分本位な考え方は、私にはあまり

共感出来なかった。でも、最終的にはお互いに思い合える関係に戻れて良かったです。

これからはコロナのこともあって、自宅に他人を呼んで誕生会、というのも難しい

時代になるのかもしれませんね。誕生会は家族の思い出、という人がより増えて行く

のかもしれません。

ほしおさなえ「紙屋ふじさき記念館 物語ペーパー」(角川文庫)

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日本橋にある、和紙に関する記念館『ふじさき記念館』でアルバイトすることに

なった女子大生の百花を主人公に、和紙に関わる出来事を描いたシリーズ第二弾。

今回も和紙の奥深さを存分に感じられる三話が収録されています。今回百花は、

和紙の故郷・美濃市で和紙作りまで体験しちゃいます。和紙を作る工程はテレビ

なんかでちょいちょい観たことがあるけれど、改めて大変なんだなぁと思わされ

ました。

柄が入っていたり、葉っぱや色紙などを挟んだりした和紙よりも、シンプルな

普通の和紙が一番作るのが難しいというのには驚きました。和紙って技術の塊

なんですねぇ。

ジュエリー用の小箱や、小説の一部が印刷された物語ペーパーといった、和紙の

新たな可能性が感じられる製品を生み出した百花のひらめきは素晴らしいな、と

思いました。本当に、ものづくりが好きな子なんでしょうね。彼女の、蝋引きの

栞のアイデアも素敵だなぁと思いました。蝋引きは、実際私もやってみたくなり

ました。紙とロウソクと茶こしとアイロンがあれば出来るなら、自分の家でも

やれそうだし。百花のように器用じゃないから、上手く出来るか自信はないけど^^;

ただ、料理で使う茶こしでロウソク削るってのはちょっと抵抗あるけど。その後

どんなに洗ってもロウソクのカスが残りそうだし。まぁ、百均とかで専用に買って

やった方がいいだろうな(苦笑)。

三話目で初登場した、本好きと文具好きの為の本屋『文字箱』店長の綿貫さんの

キャラも良かったですね。綿貫さんは今後もちょいちょい出て来てくれそう。

物語ペーパーのその後も気になりますし。売上とか。綿貫さんが、百花の亡き

作家の父の作品を愛読していて、自分のお店に並べてくれていたところに百花

同様、感動しちゃいました。こういう出会いは嬉しいですね。そこから、百花の

物語ペーパーというアイデアも生まれた訳ですし。

百花は、和紙を通していろんな人と出会って、世界を広げている感じがします。

若い百花の無限の可能性を感じて、少し羨ましくもあります。これから、彼女は

自分の才能を生かして、和紙をもっともっと世の中に広めて行くんだろうな、と

思えて。何も生み出すことのない自分がちょっと悲しくもあるけれど、こうした

若い才能が、廃れかけている和紙という伝統ある技術を後世に残して行ける希望の

光になるんだろうな、と思いました。

百花とクールな館長・一成との関係も少しづつ距離が近づいている感じがします。

恋愛関係に発展する兆しは今の所感じられないけど、二人の関係も今後は変化

して行くのかな。そうなるといいなぁとは思うけれど。

今後も引き続き追いかけて行きたいシリーズです。

 

森晶麿「黒猫と歩む白日のラビリンス」(ハヤカワ文庫JA)

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黒猫シリーズ第8弾になるようです。文庫描き下ろしの新刊。現代アートに纏わる

5つの謎に纏わる短編集。

確か、前作かその前の作品で二人の距離がかなり近づいたと思ったのですが・・・

近づき過ぎてなのか、もう長年連れ添った夫婦みたいな距離感になっているよう

な・・・。お互い忙しいせいか、一緒にいる時間も少ないし。もうちょっとラブラブ

な二人が見れるのかな~と期待していただけに、ちょっと拍子抜けな感じ。まぁ、

この二人の性格なら仕方がないような気もしますけど(苦笑)。黒猫の言動も、

なんとなく付き人ちゃんとの距離があるような感じがしたからあれ?と思っていたの

だけど、ラストでその理由がわかってすっきり。黒猫は黒猫で、ちゃんと付き人の

ことを想っていたのですね(当たり前か)。

相変わらず、ポーの作品の考察部分はさっぱり頭に入って来なくて、さらっとスルー

しながら読んでました(苦笑)。なんか、最初の頃より更に作品に理屈っぽさが

増したような。理解出来ない私がアホなだけか。

ただ、各作品のミステリ部分もツッコミ所満載。

一話目の『本が降る』に関しては、本の雨を目撃した人物は、なぜすぐに窓から

下を確認しなかったのか、そこが疑問でした。普通、そういうのを見たら、窓に

近づいて外を確かめないかなぁ?そこで地面を観てたら、その後の展開も違って

いたように思うのだけど。

あと、有村乱暮はすごい天才詩人って設定だけど、作中に出て来る彼の詩が

あまりにもダサいので、ずっこけました。この詩を読んで才能があるってなぜ

思えるのか・・・。前にも思ったけど、森さんって詩の才能は皆無だと思うな・・・。

『だが油断はきんもつんもつん』『さあ 書物の雨だ こんぐらちゅれーしょん』

・・・だ、だ、ダサい・・・ッ。もう、読んでてこっちが恥ずかしくてしょうが

なかったです。よくこれで天才詩人なんて設定にしたよなぁ。ある意味勇気あると

思うな。

二話目の『鋏と皮膚』は、黒猫の実姉・冷花が主人公。黒猫が、冷花のことを

『おまえ』と呼ぶのにすごい違和感がありました。なんぜ実の姉に向かって『おまえ』

呼びなの?なんか、黒猫には似合わない。特に二人の仲が悪いわけでもないし、

むしろいいくらいなのに。アレを皮膚と呼ぶのもちょっと無理があるような感じが

したなぁ。

三話目の『群衆と猥褻』は、パフォーマンスアートを題材にした作品。アートと

政治の問題は根が深いですね。政治が絡むと、芸術だろうが何だろうがきな臭く

なってしまうのは致し方ないところだと思う。私は、あまり芸術とか音楽とかに

政治を絡めてほしくない。もちろんスポーツなんかもそう。政治が絡んだ途端に、

なにか興ざめに感じてしまうところはあるかも。

四話目の『シュラカを探せ』は、完全にバンクシーがモデルでしょうね。東京でも

ネズミの絵が真筆かどうかで話題になりましたね。いまだに謎の画家として世界中で

作品を残されていますけれど。付き人ちゃんと灰島さんのコンビはなかなか相性

良さそうでした。灰島さんの付き人ちゃんへの丸投げっぷりには最初イラっと

しましたけどね。

五話目の『贋と偽』は、贋作蒐集家の家で催された<贋作展示会>の片隅で起きた

失踪事件の顛末が描かれた作品。贋物と偽物。なかなか判断の難しい問題だなーと

思いました。まぁ、観る側がアートだと思えば、それが例え贋物だとしても、

その人にとっては本物になるんじゃないかなぁ。世間的な評価や価値とは切り離して

考えなきゃいけないとは思うけども。

ラストは、黒猫と付き人、ふたりのほのぼのとしたシーンで終わったのでほっと

しました。なんだかんだいって、やっぱりお互いに信頼しあってる二人なんだなぁと

思えて嬉しかったです。

ところで、タイトルの体裁が今までと代わりました(今までは『黒猫の○○(二字

熟語)あるいは〇〇○○(四字熟語)』だった)。

今回からシリーズ第二章らしいので、今後はこの形が踏襲されていくのかな。

 

べるさんちの秋薔薇 2020

どうもどうも。久しぶりの薔薇記事でございます。10月くらいからぽつぽつと

咲いてくれていた我が家の薔薇たち。とりあえず一通り花が咲いたようなので、

ここでちらっとご紹介。いい花が咲かなかった種類も多く、ごく一部しかご紹介

出来ないのが残念ですが。ただ、咲いた薔薇たちは、かなり春よりも良い状態で

咲いてくれました。香りも春より強いかも。

 

 

ノヴァーリス

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まずは、最強の青バラとの評価が高いノヴァーリスさん。春は全然良い花が

咲かなかったのですが、今回は美しいお花を咲かせてくれました。色も形も綺麗!

青バラといっても、薄紫色(藤色?)って感じですけど。

香りも春よりは香るかな?花もちも良いので、何日もお部屋で楽しませてくれました。

 

薫乃

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お次は、こちらも我が家に来てからさっぱり綺麗なお花を咲かせてくれていなかった

薫乃さん。今秋は魅力爆発!!最高のお花をいくつも咲かせてくれました。

花形も今まで見たこともない美しい形で咲いてくれたし。そして、薫乃さんの最大

の魅力はなんといってもその香り。もぉぉぉ、とにかくめっちゃいい香りなん

ですっ!!うっとり。花もちもめっちゃ良かったので、長い間楽しませてもらい

ました。トイレの窓に飾ってたので、トイレに入る度に眺めてうっとりしてました

(笑)。

 

 

ダブルデイライト

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良い香りといえば、ダブルデイライトさん。この秋は春ほどの美しいお花が

咲いてくれませんでしたが、やっぱりその香りは強烈。赤い縁取りの花びらが

美しいですね~。姿も香りも美しい。ダブルデイライト(二重の喜び)という

名前に相応しい薔薇さんですね。

 

 シャリファ・アスマ

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本邦初公開。昨年の秋ごろ挿し木苗を購入しまして、大事に育てておりました。

名前は、オマーンの王女さまから取っているそうです。名前も素敵~~♪

廃盤種の為、一般には流通しなくなってしまった稀少種です。花を咲かせたのは

今回初めて。なんとも美しい明るいピンク色で、もう見ているだけで幸せな気分に

なっちゃいます。お姫さま~♪って感じですね。強香種ですが、株が若いせいか

まだ香りはそれほど強くありませんが、今後が期待できそうな甘めの素敵な香りが

しました。株は挿し木苗とは思えないくらい元気に育ってくれてまして、来年以降

の成長が楽しみ。

 

ボレロ

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もう我が家の定番になってくれているボレロさん。香りの薔薇といえば、コレ。

毎回虫害が酷くて、なかなか綺麗なお花が咲いてくれないものの、花つきは安定

して良いので、毎シーズン花を咲かせる楽しみを与えてくれる優等生さん。

葉っぱも病気になりやすいし、株は弱弱しいのにね。健気に花をつけてくれて、

良い子なんですよ(ほろり)。

 

プリンセス・ドゥ・モナコ

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我が家の定番といえば、こちらも。毎度ながら、安定してしっかりしたお花を

つけてくれるモナコさん。モナコ皇妃の名に相応しい高貴なお花ですね~。

今季はいつもほどには綺麗な花はつけてないけど、実力を発揮する時はとんでもない

大輪の花をつけてくれます。花もちも良いし、大好きな薔薇さんです。

 

まだまだ育てている薔薇さんたちはいっぱいあるんですけど、お見せ出来るお花を

つけたのは上記の子たちくらい。今年の春入手してもう少しで蕾が咲きそうな株も

あるんですが、ここ数日の寒さで成長が止まってしまっている模様。

来年の春はもう少したくさんご紹介できるといいなぁ(春に花をつけたエブリン

やジュード・ジ・オブスキュアやエルガーローズといった株たちも今はお休み中

らしく、今秋は蕾をつけなかった。四季咲き種の筈なんですけどね^^;)。

 

その後いくつか咲いた子たちがいるので追記(もう誰もみてないと思うけどw)。

 

ナエマ

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今年の春新苗を買ったばかりで、春は養生させる為に蕾は摘み取っていたのですが、

予想外にすくすく育ってくれたので、秋は花を咲かせてみました。コロンとした花形

と薄いピンクの花びらが可愛らしい。こちらも強香種なので、とっても良い香り~。

 

ジャルダン・ドゥ・フランス

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最近めっきり元気がなかったジャルダンさん。今季も房咲きまではいかなかった

けれど、ひとつひとつの花は結構しっかりしていて綺麗。明るいサーモンピンク

で、見ているだけで元気をもらえる薔薇さんです。

 

ピエール・ドゥ・ロンサール

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基本は一季咲きなので春しか咲かない筈なのに、なぜか今季は花をつけてくれました。

春よりも中心のピンクが鮮やかで、花形もとっても綺麗。めちゃくちゃ見栄えが

します。万人に愛されるのが本当によくわかるなぁ。

この秋は、我が家の庭では、ピンク系の薔薇ばかりが咲いた感じですね。

赤バラのパパメイアンや黄バラのグラハム・トーマスなんかは綺麗に咲かなかった

もんなぁ。来年の春に向けて、またお世話頑張らねば。

 

 

おまけで、今年のレモンさんの写真ものっけておきます。今年も二個実が

生っております。少数精鋭とばかりに、めちゃくちゃ一個がでかいです。

そろそろ黄色くなってきたので、もう少しで収穫かなぁ。今年も檸檬ジャムかなぁ。

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おまけのおまけ。お部屋で育てているミラクルフルーツ。種から育てること、

今年で四年目。ついに、今年初めて花が咲きました!・・・といっても、

実はなりませんでしたけども。実がなるまでには、7~8年程かかるらしいです。

まだまだ先は長いなぁ。

 

ラクルフルーツ

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 中央辺りに、ちっちゃい花が咲いてるのわかります?最初これが花だって

わからなくって、ネットで調べちゃいました(笑)。花だって知った時は

感動しましたね~。実がなった時の感動はこの比じゃないでしょうね。

早く育ってくれないかな~。

 

 

このコロナ渦で、植物は本当に心に癒しを与えてくれています。

健気に育ってくれてありがとう!みんな大好きだ~~。