ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

似鳥鶏「夏休みの空欄探し」(ポプラ社)

似鳥さんの最新作。高校二年の成田頼伸は、謎解きやクイズが大好きで、部員二名

のクイズ研究会に所属している。同じクラスに、明るくスポーツも万能で、ダンス

同好会で活躍する陽キャな成田清春がいるせいで、クラスではいつも「じゃない方」と

呼ばれている。夏休みのある日、ファーストフードで本を読みながら時間を潰して

いた頼伸は、すぐ隣のテーブルで二人組の女性客の会話が耳に入って来た。二人は、

謎解きクイズに挑戦しているらしい。クイズ大好きな頼伸がそちらに目を向けると、

紙に書かれた謎解きクイズの問題が目に入った。女性二人が解けずに悩んでいる

その問題の答えが、頼伸にはすぐに解かってしまった。陰キャな頼伸は話しかける

ことが出来ないが、女性二人は解けずに困っている様子。すると、シェイクを取りに

二人が一旦席を外した。チャンスと思った頼伸は、その空きに、自分のレシートに

書かれた答えの数字の部分に丸をつけて、二人のテーブルに置いて席を立った。

外に出てすぐに、頼伸のメッセージに気づいた女性たちが追いかけて来た。二人は

姉妹で、暗号はもうひとつあり、それを解くのを助けてほしいと言う。承諾した

頼伸は姉妹と共にもうひとつの暗号の答えを考え始めたが、そんな時、偶然陽キャ

成田清春と遭遇し、姉妹の姉に一目惚れした彼も加わり、なし崩し的に四人で謎解き

することに――。

ザ・青春ミステリー!って感じでした。夏休みだけの特別な謎解き体験。若い男女

四人で、次々立ちはだかる謎を協力して解いて行く過程にはワクワクしました。

ひとつ謎を解くと、その回答が次に行くべき場所になっていて、四人の行動範囲は

どんどん広がって行きます。正直、新幹線まで使って移動しなきゃいけなくなった

時は、こんな広範囲に亘る謎解きゲーム、実際実行する人なんかいないだろう、と

不審に思ったりもしました。まぁ、姉妹二人に何らかの事情がありそうだったので、

何かからくりがあるんだろうとは思ってましたが・・・。

ラストで明かされるある事実を知って、そういうことだったのか、とすべてが腑に

落ちる気持ちになりました。妹の七輝が、いやに頼伸に対して積極的だったのも、

ちょっと不自然に感じてたんですよね。そういう性格に見えなかったので・・・

頼伸の方も陰キャな割に、七輝に対してはぐいぐい行ってたのも若干引っかかった

んですけどね(そっちは、別に裏があった訳じゃなかったけど^^;)。

正反対の頼伸と清春が、ひと夏の謎解きゲームを通して少しづつ打ち解けて行く

ところも良かったですね。最初の、清春の頼伸に対する暴言にはムカつきました

けども。それも、自分に対するコンプレックスから出た発言だったことがわかって、

納得出来ました。

ひとつひとつの暗号については、正直、アホな私には解説されてもピンと来ない

ものが多かったです。こんなの、高校生が良く解けるよなぁと感心しちゃいました。

途中に出て来る地図で解がわかる暗号は、さながら高田崇史さんのQEDシリーズを

読んでいるかのようでした。タタルさんなら普通に解けそうな気もするな(笑)。

解ける方もすごいけど、出題する方もすごいと思いました。

いろいろと腑に落ちないものを抱えながら読んでいたので、終盤すべてがわかって

すっきりはしました。ただ、真相はとても切なく、やりきれないものでした。

出題者の、最後のメッセージに気づいた頼伸はとても偉かったと思うけど、その後

はどうなってしまうのだろう。最悪の場面までは描かれずに終わったので、そこは

察して下さいって感じなのかな。この作品内では、あくまでも爽やかな青春ミステリ

っていう印象を残して終わりたかったのかも。でも、よっぽどの奇跡が起きない

限り、近い将来悲しい結末になってしまう訳で。そのことを考えると、爽やかと

ばかりも云えない作品なのかな、と思いました。

まぁ、クラスのヒエラルキーの最底辺にいるような頼伸にとって、この夏の経験は

間違いなく、一生忘れることのない思い出となったことでしょう。これをきっかけに、

彼自身も大分成長出来たのかな、と思いました。

切なくもほろ苦い、直球の青春ミステリーでした。夏に読むにはぴったりの

一冊かもしれませんね。

 

 

 

 

青柳碧人「ナゾトキ・ジパング」(小学館)

青柳さん最新刊。素行も悪く成績は振るわないが学生からの人望が厚い秀次は、

春から精南大学男子寮の寮長となった。そんな秀次は、所属するゼミの雄島教授

の陰謀で、この春からアメリカからの留学生、ケビン・マクリーガルと同室になり、

世話を任された。ケビンは日本文化に造形が深く、日本愛に溢れた青年だった。

そんなケビンと行動を共にしていると、度々不可解な事件に遭遇するように。

始まりは、桜満開の三月の終わり、旧学生会館で文芸サークルのOBの死体が発見

されたことからだった。第一発見者は秀次の後輩の六車で、警察から犯人に疑われ

ているらしい。後輩の危機を救う為、秀次はケビンと共に事件を調べ始めるのだが

――。

日本文化にやたらに詳しく、日本愛に溢れたケビンのキャラクターが良いですね。

日本人でも忘れている日本の良さを改めて気づかせてくれる感じがして、好感が

持てました。素直で優しい性格も良いですし。そのケビンと行動を共にし、世話を

してあげる秀次は、始めはだらしなくていい加減な性格なのかと思いましたが、

意外と情に厚く、お人好しな面が見えて来て、ケビンとは良いコンビだなぁという

印象に変わって行きました。ケビンの影響で、日本文化の良さに気づいて、それを

素直に受け入れるところも好印象でしたし。なんだかんだで、仲間のピンチに

駆けつけて、救ってあげようと行動するところにも感心しましたしね。

ミステリとしても、面白かったです。一話目の『SAKURA』は、被害者が残した

最後の言葉の意味がわかった時、「そういうことか!」と思いましたし、ラストの

散る桜の美しさに関する秀次の考察にも胸がすくような気持ちになりました。

二話目のFUJISANは、ちょっとツッコミ所が多かった気はします。あれだけ

あからさまなアリバイ工作をあれだけの人数がするっていうのはどうもね・・・

誰が見ても、工作の臭いがするんじゃないでしょうか・・・。

三話目の『CHA』は、トリックとしては一番面白かった。ありえんだろう、と

思わなくもないけど・・・偽茶室を設置した場所には目が点になりましたよ(苦笑)。

被害者の愛人を被害者としておびき出した方法がいまいち腑に落ちなかったん

だけど・・・私の読み取り不足かなぁ。

四話目のSUKIYAKIは、唯一殺人事件が出て来ないお話。大学生の事件としては

一番リアルで学生らしい作品だったんじゃないかな。寮のみんなが一人の寮生の

為に行動するところが青春していて良かったです。失恋のほろ苦さもありましたしね。

五話目の『KYOTO』は、秀次の元ルームメイトの優作が殺人事件の容疑者にされて

しまうという作品。この作品でも、仲間のピンチを救う為に秀次やケビンを始め

とする寮生たちが大活躍します。凶器が包丁からナイフに変わっていたトリック

の真相には驚かされました。そんなに自然に細工出来るものなのか?という疑問

を覚えなくもなかったけど、斬新なトリックだなーと思いました。現場でお香が

炊かれていた理由もなるほど、と思えましたしね。

エピローグでは、ケビンのおせっかいが秀次の仄かな恋心に火をつけたみたいで、

これからの二人の関係の変化が楽しみになりました。

ケビンと秀次のちょっと噛み合わない掛け合いも楽しかったし、日本ならではの

文化を改めて学ばせてもらえる意味でも勉強になったし、とても面白かったです。

男子学生寮の男くさい、わちゃわちゃした青春感も良かったですしね。紅一点の

理沙ちゃんの存在も効いてました。続編あったらいいな。

 

 

 

 

 

瀬尾まいこ「掬えば手には」(講談社)

瀬尾さん最新作。ああ、今回も良かったなぁ。主人公の梨木匠は、中学三年の時に

ある特殊能力を身に着けた。その時から、平凡な自分が非凡だと感じられることが、

匠にとっての心の拠り所となった。大学生になった匠は、口が悪く他人に悪態

ばかりついている店長のいるオムライス屋でバイトをしていた。態度の悪い店長

のせいで、匠以外のバイトを雇ってもすぐに辞めてしまうのでいつも人手不足だった。

しかし、ある日バイト希望で常盤さんという女の子がやってきた。すぐに辞める

だろうと思っていた常盤さんだったが、意外にも淡々と仕事をこなし、辞める気配

もなかった。せっかくバイト仲間になったのだから、居心地良く仕事をしてほしいと

あれこれと常盤さんの面倒を見ようとする匠だったが、彼女は全く心を開いて

くれず、二人の距離は縮まる気配もなかった。実は、彼女は誰にも言えない

秘密を抱えていたのだった――。

まず、主人公匠のキャラクターがとても良いです。淡々としているようで、すごく

お人好しだし、自分にとって得にならないことでも、他人の為に率先して動ける

ような人間。どこからどう見ても匠は非凡だと思うんですが、本人だけは頑なに

自分は平凡で何の取り柄もない人間だと思っている。限りなく自己肯定力の低い

性格。他人の心が読める能力を駆使して、いろんな人を助けようとする。そうする

ことで、自分は非凡な人間なんだと安心したいが為に。他人の心が読めるように

なったからといって、その人を助ける必要なんか1ミリもないと思うんですけどね。

何か変なスイッチが入るようで、使命感みたいなものが芽生えるんでしょうね。

中三の時に助けてあげた三雲さんや吉沢くん。大学では一緒にマラソンを走った

香山くんに、バイト先の常盤さん。パワハラ店長の大竹さんだって、匠と出会って

救われた一人だと思います。普通だったら悪役の筈の大竹さんが、匠と一緒に

いることで本来の生真面目な性格が滲み出して来て、普通のいい人に見えて来ちゃう

ところがすごい。何ならツンデレですよね、大竹さんって(笑)。瀬尾さんの、

悪人出そうとしても絶対いい人になっちゃう典型例じゃないでしょうかね(笑)。

大竹さんと匠と常盤さん、三人の関係がとても良かったなぁ。常盤さんの秘密には

びっくりしたけど。人は見かけによらないってこういうことなんだろうな。

あと、匠と河野さんの関係も好きでした。河野さんがアノ人だというのは、途中で

ピンと来ました。ちょいちょい、ヒントも出て来てましたから。匠の気持ちは

ともかく、河野さんの方は、恋愛感情ありきじゃないのかな。匠のニブさに

イラッとさせられました(苦笑)。そうじゃなきゃ、大学まで追いかけて来ないし、

毎日偶然会う訳ないでしょうに。河野さんを変えたのも、匠のおせっかいが

きっかけだし、本当にいろんな人を助けてあげてて、非凡な人間ですよね、匠。

もし、匠がピンチになったとしたら、手を差し伸べてくれる人はたくさんいると

思う。それだけでも、匠は全然平凡じゃない。リア充そのものなんじゃないかと

私は思うな。でもそれは、匠がいつも周りを見ていて、困った人を見つけて

あげられるからなんだよね。誰かの為に動ける人間は、とても強い。匠の生き方は

しんどいこともあるだろうけど、その分自分に返ってくるものも大きいのじゃない

だろうか。

初回限定特典としてついてくる小冊子が付属でついていて、それが読めたのも

良かったです。その後の匠や常盤さんの様子が大竹店長視点で語られるというのも

新鮮で面白かったです。大竹店長と匠の会話ってボケとツッコミのコントみたいで

ずっと読んでられる(笑)。常盤さんが、バイト先のことを悪く思ってなかった

ことがわかって良かったです。こちらの冊子は、必ず本編後に読んで頂きたいですね。

今回も、たくさんの優しさが詰まった素敵な作品でした。

花王プラザ編「とあるひととき 作家の朝、夕暮れ、午後十一時」(平凡社)

朝、夕暮れ、午後11時という、三つの時間帯をテーマに綴られた、エッセイ

アンソロジー集。14人の豪華作家陣が寄稿されています。

寄稿作家は以下。

「朝」のひととき

三浦しをん/道尾秀介/西加奈子/角田光代/重松清

 

「夕暮れ」のひととき

川上美恵子/森絵都/池澤夏樹/綿矢りさ

 

「午後十一時」のひととき

吉本ばなな/高橋源一郎/村山由香/小川洋子/浅田次郎

 

一編がとても短いので、あっという間に読めちゃいます。ちょっとした息抜きに

読むにはちょうどいい感じかな。

それぞれの作家さんの、テーマになっているその時間帯に対する様々なエピソードや

思いが伺えて、どれも楽しめました。

しをんさんや道尾さん目当てで借りたけれど、それ以外の作家さんも筆力のある

実力派ばかりなので、短いながらも心に沁みるエッセイばかりでしたね。文章力の

ある作家さんは、短いエッセイ書いてもやっぱり上手いなぁ、情景が伝わって来る

なぁと感心しました。

この三つの時間帯だと、私はやっぱり朝が一番好きかなぁ。午後十一時は、最近

眠くて眠くて仕方ない時間になっちゃったし。夕方は夕食の準備とかでばたばた

してて、ゆっくり夕焼け見ることなんてまずないしなぁ。

朝はこれから始まる一日に向けて、気力も体力もたっぷりある時間帯で、何やるに

しても一番効率がいい気がする。休みの日も、お昼までだらだらと寝るとかって、

昔から出来ない性分でして。なんか、勿体ない気がしちゃって。休みだからこそ

ゆっくりお昼まで寝ていたいって気持ちもわかるんですけども。学生時代も、

社会人になってからも、それは変わらないですね。逆に、午前中とにかくやるべき

ことはやって、午後はゆっくりだらだらするタイプ。どっちみち、だらだらする

んじゃん!ってツッコミはおいといて(笑)。

全体的に、お子さんがいらっしゃる作家さんは、子供が出来る前と後では時間の

使い方が全く変わった、というようなことをおっしゃる方が多かったです。

そりゃそうだよね。子供がいたら、朝だらだら寝てるとか無理だろうし。子供

中心に時間が流れて行くものですよね。特に、子供が小さいうちは。お子さんとの

エピソードとかも、どれも微笑ましくて良かったな。

短いエッセイなのに、合間にイラストも入っていて、サイズ感といい、本の作りと

いい、絵本のような作品だなぁと思いました。プレゼントとかにも良さそうだと

思いました。文章上手い作家さんばかりなので、気に入るエッセイがひとつやふたつ

は入っているんじゃないかな。

川治温泉旅行記

どうもみなさま、こんばんは。

ワタクシ、先週の木・金と栃木県の川治温泉へと一泊二日旅行に行って参りました。

本来なら一泊二日の温泉旅行など特筆すべきことがあまりないので旅行記を上げない

のですが、愛するオトモダチブロガーのゆきあやさまからご要望を頂きましたので、

一応UPします。コロナもあるので観光を全くしておらず、大した撮れ高もないので

面白みゼロかと思いますが・・・暇な方だけお付き合い下さいませ。

旅行メンバーは、私、相方、私の両親の四人。まぁ、一泊二日の温泉旅行だと

だいたいこのメンツ。ちなみに、義両親の方とは一度も行ったことがない^^;

いろいろと理由はあるのですが、一番大きいのは、相方が行きたがらないから。

なぜか、自分の両親よりうちの両親との方が仲がいいという・・・。私にとっては

有り難いことですけれども。

当日の天気は曇り。暑さMAX。まぁ、車なのであまり影響はなかったですが。

行き先は栃木県の川治温泉。日光のすぐ近く?(地図オンチなので位置

関係とかよくわからんのですが^^;)。東京からは車で片道3時間ほど。

途中トイレ休憩などをはさみつつ、高速道路を走る。ちょいちょい渋滞にハマって、

予定より若干オーバーしつつ、お昼を食べる予定のお店に到着。

栃木県日光市の水無湧水庵さん。ここは、相方がネットで調べておいてくれたところ。

田んぼ道の真ん中を突っ切って、山の麓みたいな一角に出た所にある。なんとも

すごい場所に店を構えたものだと誰もが思うはず。こんな辺鄙な場所なのに、駐車場

には車がいっぱい!!混んでてびっくりした。口コミ評価が高いだけあって行列が

出来ていたが、回転が早いので10~15分ほどで中に入れた。

 

水無し湧水庵さん

 

13時半を過ぎていたので、天ぷらとかかき揚げとかも気になったが、普通の

ざるそばで我慢。おだしのきいた麺つゆが美味しかった。

私たちの後にも行列が出来ていたので、そそくさと食べて退散。相方が、雨が

降りそうだから早く、早くと急かしていたのだが・・・。

 

予感的中。

 

車に乗って走り出した途端、ものすごい雷雨が・・・!

どんどん激しく降って来る。進めば進む程、前が見えない状態に。

恐怖。

一番怖いのは冠水すること。車が水没したらどうしよう・・・!と本気で

心配になった。

 

冠水して来ているのがおわかりになるでしょうか・・・ひー。

旅館の前に唯一行く予定になっていた、おかき工場の駐車場で取り敢えず

しばらく雨宿り。しかし、全く止む気配がないので、おかき工場に寄るのは

諦めて、早めに宿に向かうことに。結果、宿に着く頃には小雨になっていて

ほっとした。

 

14時50分ごろ、宿に到着。チェックイン予定が15時だから、時間も

ちょうど良かった。

今回泊った宿は、湯けむりの宿 柏屋 さん。実は、ここに泊まるのは二度目。

数年前泊まった時は紅葉が美しい秋だった。庭の紅葉が見事な宿で、温泉も

料理もとても良かった思い出があるので、事あるごとにまた行きたいね、と

相方と話していた。紅葉の時期から外れているので、比較的空いていて料金も

お安いことで、こちらに再訪することにした。

 

湯けむりの宿 柏屋さん  この写真は、翌日の朝に撮ったもの。

 

チェックイン時におもてなしのお茶と羊羹を頂いたのだが・・・写真に撮り

忘れた^^;

 

ロビーの様子。

 

お部屋は、12.5畳の和室+ツインベッドルームがついた庭園側の月見亭。

 

和室 両親はこちらに泊まってもらった。

 

ベッドルーム 和室とは完全に離れた別室になっていて、2ペアで泊まるには

最適の部屋だと思った(うちの両親は朝早く起きてしまうので^^;)。

 

夕食の前に温泉へ。一泊二日の旅行だったら、最低三回はお風呂に入る人間である。

 

夕食は館内にある味咲亭さんで。普通にお店みたいな外観・・・。

 

風情ありまくりw

 

食事処はすべて個室になっていて、誰とも会わずに食べられる形式。会話も気兼ね

なく出来る。感染症対策バッチリだ。

 

夕食一例。これの後にも品数いっぱい。

 

私はお酒飲めないので、柚子サイダーを頼むw 爽やか! 相方はビールとか

ウイスキー(だったかな・・・違うかも^^;)とか頼んでいた。母はグラスワイン。

父は水(笑)。

 

メインに出て来たビーフシチューは、宿の自慢の一品だけあって美味であった。

お箸がとても使いやすくて、売店に売っていたら旅の思い出に絶対買って帰ろうと

決意しつつ、次々出て来るご飯を堪能していた(笑)。

 

最後のデザート。お腹いっぱい・・・。

 

夕食の後でまたお風呂へ。お風呂からは美しい渓流と電車が見える。

電車が通るところがまた風情があって最高なのだ。電車はほぼ一時間に一本

レベルなので、長風呂が出来ない人はなかなか観られないかもしれない

(ちなみに、私たちは三回入って、三回観られたw)。

特に、夜の闇に浮かび上がる明かりの点いた電車の景色は、さながら銀河鉄道

のようで、本当に美しい眺めだった(二両編成なのであっという間に終わっちゃう

けど)。

無色透明なお湯だが、泉質はとてもいい。PH値も8を超えているので、美肌にも

バッチリ。源泉がぬる湯なので、いくらでも入っていられるのも最高だった。

サウナもついていたが、入っていたのは私たちだけだった。他の客はみな

比較的高齢の方ばかりだったので、巷のサウナ流行りは関係なかったようだw

 

もちろん、翌日の朝も5時に入りに行った。

 

お風呂からの眺め最高!! こちらは早朝の景色。

 

翌日はまずまずの晴れで、前日の豪雨の影響で茶色く濁っていた川の水も近くの

ダムの放水によってほぼ本来の川の色に戻っていた。

 

美しい渓流の景色。ずっと眺めていられる・・・。

 

朝食はまた同じ味咲亭さんで。

 

朝食。どれも美味しくて、ご飯を二杯もおかわりしてしまった・・・(食べ過ぎw)。

 

精算して売店でおみやげ(お箸あった!^^)を買って、旅館とさようなら。

前日寄ることが出来なかったおかき工場にリベンジすることに。

 

 

名水の郷 日光おかき工房さん 前日の天気とは大違い・・・。

 

めっちゃいろんなおかき売ってます。500円でバケツみたいな容器いっぱいに

出来たておかきが買えるコーナーもあります(私は買わなかったがw)。

コロナでその場での試食が出来ないせいか、商品を買った人には一人一つづつ

試食用に個包装されたおかきがもらえます。

いろんなおかき買いました。徳用サイズなみに一袋にいっぱい入ってるw

 

おかき工房を出た後は、道の駅へ。旅行の醍醐味のひとつが、現地の道の駅

訪問だと思う。日光にもたくさんの道の駅があるので、どこに行くか迷ったが、

大きそうな所を選んだ。

 

道の駅 ろまんちっく村 さん (すごい名前w)。ものすごく大きい道の駅で、

温泉施設やプールなども併設している。子連れで行くと一日楽しめるかも。

 

野菜が東京に比べてかなり安かったので、ついいろいろ買ってしまった。

でっかい白なすとか、モロヘイヤとか空芯菜とか。前から食べてみたかった激甘の

白いトウモロコシ(ホワイトショコラ)も気になったものの、迷った挙げ句やめて

しまった。

買えばよかったかなぁ・・・(ちょっと後悔しているw)。

 

帰りはあまり渋滞に巻き込まれることもなく、順調に東京へ。

ていうか、半分くらいはほとんど運転手以外爆睡。ごめん・・・。

 

柏屋で買ったおみやげのお箸。一膳1650円也。高いけど、めっちゃ

使いやすくて、買って良かったです。紺の千鳥格子柄は相方、赤い矢絣柄が私。


というわけで、一泊二日の温泉旅行記終了でございます。

観光しないと写真の撮れ高がね・・・。大した写真がなくてすみません^^;

つまらん文章全部読んで下さった奇特な人なんかいないと思うけど、万が一いたら

お疲れ様でした。

写真だけでも見てくださった方、どうもありがとうございました。

 

神永学「心霊探偵八雲 Short Stories」(角川文庫)

心霊探偵八雲シリーズ短編集。ショートストーリーばかりを集めているので、

一編が短く、さくっと読めちゃいます。読みやすいし、本編のように八雲父とか

美雪とか一切出て来ないから、重すぎなくて良かった。

晴香がやたらと八雲に心霊関係の悩み事を持ち込んで来るので、本当に彼女自身が

トラブルメイカーなのが良くわかります(苦笑)。なんだかんだで彼女の依頼を

受けて振り回される八雲が気の毒になりつつ、微笑ましい。

13編が収録されています。

 

印象に残った作品のみ軽く感想をば。

八雲の<映画研究同好会>の隣に部室がある<ミステリー研究会>に所属する

半田君を主人公にした『半田くんの推理』はクスっと出来る掌編。半田くんの

推理が1ミリも合ってないところが可笑しかった。

八雲と晴香が奈緒を夏祭りに連れて行く『夏祭り』で、はぐれた奈緒が一緒に

いたお面の男の正体がわからなかった。他のシリーズに出て来るキャラクター

なのかな??誰か解説してください・・・。

後藤刑事の高校の同級生だった男が罪を犯して逃亡する『後藤の憂鬱』は、

後藤刑事のお人好しなところがよく出ている一編。口は悪いけど、本当に心根の

優しいいい男ですよね。それだけに、石井さんへの風当たりの強さだけは

何とかしてあげて欲しいですけどね(苦笑)。

八雲と晴香が駅で助けた男の顛末を描いた『黒い表紙の本』は、ラストに明かされる

この男の正体にニヤリ。八雲が助けなかったら、このシリーズどうなっていたのやら

(苦笑)。

『邂逅』は、いろんなシリーズのキャラ大集合・・・みたいなのだけど、読んで

いないシリーズのキャラも入ってるみたいで、ピンと来ない人もいました。

下北沢にあるバーのマスターは、山猫シリーズに出て来る人・・・なのかな?

山猫シリーズは一作も読んでないからなぁ。そのうち読んでみるべきかな。

御子柴先生も名前だけだけど登場するし。神永さんのシリーズは全部が繋がって

いるんですね。ファンには嬉しい一編かも。

ラストの『あの日の君』は、シリーズ1作目の晴香との出会いを八雲サイドから

見たもの。これ読んで、また1巻から読み直したくなっちゃいました。ここから

二人の物語が始まったのですものね。短いけれど、貴重な一編じゃないでしょうか。

 

シリーズファンには嬉しい短編集じゃないかな。シリーズが終わっても、こうやって

八雲や晴香と再会出来るのは嬉しいことですね。

一心さんが出て来るお話が読めたのも嬉しかったな。

 

 

東川篤哉「うまたん ウマ探偵ルイスの大穴推理」(PHP研究所)

東川さん最新刊(新シリーズ??)。毎回新たなキャラクターをどんどん生み出して

くれていますねぇ。その後続編が出ないものも多いですけど・・・(そもそも、

シリーズ化を狙って書いているのかも謎ですが)。

今回の探偵役は、な、なんと!! 

 

 

・・・えぇ(絶句)。とうとう、人間以外の探偵役が爆誕です。探偵役のお馬さん

であるルイスは、栗毛の関西馬。御年15歳。人間の主人公・女子高生の陽子の

実家の牧牧場(牧さんが経営している牧場)で飼育されています。サラブレットの

元競走馬。

ある日、陽子は通学途中で馬のロックと遭遇する。ロックは、陽子の実家の

牧牧場のご近所にある乗馬クラブの馬だ。ロックに乗れば楽して学校に行けると

画策した陽子は、ロックの背に跨ったが、何を思ったかロックが暴走。陽子の

意思とは違う方向へ進み始めた。慌てた陽子だったが、ロックが行き着いた先には

男性の死体が!男の額は、何か硬いものでかち割ったかのようにパックリ割れて

いた。その後警察の調べで、男性は乗馬クラブの主人だとわかり、主人を殺した

容疑者は馬のロックだと見なされた。しかし、陽子は何か腑に落ちないものを

感じていた。すると、なぜか陽子の牧場で飼育されている馬のルイスが話しかけて

来て――。

のどかな町で起きる不可解な事件を、女子高生&ウマが解決する連作短編集と

なっております。一応殺人事件もありますが、殺人が出て来ない作品も。全体的に

のんびり、ほのぼのとしたユーモアミステリです。探偵役のルイスは関西馬なので、

関西弁を話します。それがまたとぼけた味があって良かったですね。なぜ、突然

陽子にだけルイスの声が聞こえるようになったのか?は謎のままですが、それは

まぁ、そういうものとして読むべき作品でしょうね。

ミステリとしてのキレは、東川さんにしてはあまり感じられなかった気もしますが、

2話目の『馬も歩けば馬券に当たる』が、ラストの『馬も歩けば泥棒に当たる』

への伏線になっている構成には感心したし(タイトルもちゃんと呼応している!)、

4話目の『大山鳴動して跳ね馬一頭』の跳ね馬のオブジェが盗まれた理由には

驚かされましたし、一冊通して十分楽しませてもらえました。跳ね馬のオブジェの

意外な使い方には唖然としましたね。確かに形を思い浮かべると・・・ううむ。

こういう、意表をついたアイデアが次から次へと思い浮かぶところがすごいなぁと

思いますね。まぁ、普通の人だったら絶対やらないと思うけどね・・・。

タイトルがすべて、既存のことわざに上手く馬を絡めて使っているところも面白

かったです(ちなみに、1話目は『馬の耳に殺人』3話目は『タテガミはおウマの命

(って、これはことわざではないか?w)』)。

東川さんは競馬がお好きなのかな~。ちょいちょい、競走馬裏話とか競馬関係の

蘊蓄が出て来たりしてました。

私自身も住んでる街が競馬と縁深い場所ではあるので、小さい頃から競馬って

身近な存在だったんですよね。何度かG1レースの馬券買ったこともありますし

(当たったことはないw)。オグリキャップフィーバーの時は、一緒になって

盛り上がりましたしね。今は全く興味なくなっちゃいましたけどね(もちろん

馬券も買いません)。お馬さん見るのはその頃も今も大好きですが。特に

サラブレット馬は、見てると本当にきれいな生き物だなぁと思わされますね。

それだけ調教が大変なのだろうし、お金もかかっているということでしょうけどね。

ルイスと陽子のかけあいも面白かったです。ルイスがなぜか、陽子のことを

『マキバ子ちゃん』と呼ぶところもツボ(牧陽子を牧場子と読み間違えたから・・・

だと思われるが、何度陽子が訂正してもそのまま呼び続けているというw)。

のどかな田舎町の雰囲気と、二人のとぼけたかけあいがマッチしていて、東川

さんらしいユーモアミステリだと思いました。続編あるかなぁ。