ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

長岡弘樹「新・教場」(小学館)

教場シリーズ最新作。シリーズとしては6作目に当たるらしい。毎回タイトルが

微妙に変わっているものの、『教場』の前か後に一文字くっつけるっていう、

似たようなタイトルばかりなので、どれがどれだかさっぱりわからなくなりつつ

あります・・・作者御本人もそろそろネタ切れして来てるんじゃないのかなぁ。

考えるの大変そう(笑)。

前作『教場X』直後のお話にあたりますね。ある理由から警察学校の教官として

赴任して来た風間が、最初に担当する生徒たちの物語。今回も面白かったです。

今やってる連続ドラマに合わせて刊行されたのでしょうねぇ。表紙、今回も

キムタクに寄せてますよね・・・。完全に脳内で風間がキムタクになってしまった

・・・最初のイメージでは全くキムタクではなかったのに^^;とはいえ、

今やってるドラマは、初回くらいしか結局観れていないのですが・・・。9時台

って、大抵お風呂入ってる時間なんですよねぇ。

今回の風間の相棒は、助教の尾凪尊彦。風間からの無茶ブリにもめげずに、必死で

生徒と向き合おうとしている姿は好印象でした。生徒にとっては尾凪は怖い教官

の一人ですが、そんな尾凪も、風間を前にすると怯えた子羊のように畏まった

態度になってしまうのだから、風間って男は、本当に得体の知れない、怖い存在

なのだろうなと思わされました。自分に向けた足の向きで、相手が自分をどう

思っているのか図ることが出来るという風間の説は面白いな、と思いました。

尾凪の、風間に対する足の向きが、途中で変わったところが微笑ましかった。

畏怖の念と尊敬が入り混じった、複雑な心境だったのでしょうね・・・。

今回、風間に退校を言い渡された生徒が何人かいましたが、残留にしても、退校

にしても、風間がその生徒に下した判断は、どれもがその生徒の為を思っての

ことでした。退校した生徒も、それぞれ本当に進むべき道があるからであり、

風間の判断が酷いと思ったケースはひとつもありませんでした。一人一人の

生徒のことを見抜く慧眼は相変わらずだな、と舌を巻く思いでした。

終盤、風間の身の上にとっての大きな懸念材料だったあの人物が逮捕されました。

意外とあっさり決着がついて、若干拍子抜けしたところはありましたが。風間の

周りの多くの人がほっとしたのではないかな。

何気ない伏線が最後に効いて来て、思わぬ着地点を迎える手法が相変わらず

冴え渡ってましたね。まぁ、パターンがだいたい同じなので、強烈に記憶に

残る作品ってのがなかなかないんだけど・・・(どれも同じくらい完成度は

高いのですが)。読んでる時は『おお!』って思うんだけど、不思議とその後

すぐに内容忘れちゃうんだよね。どれも似たような読み心地だからかな。

プロローグで、風間がよく花壇の世話をしている理由が今回明らかになり、

そういうことだったのかーと思わされました。あじさいの色の変化とかは、小学校

で習うけれども、それが警察官の役に立つこともあるとは思わなかったです。

まぁ、きっかけはそうでも、なんだかんだで、花や植物自体も好きなのではない

かなぁと推測したりもしているけれど。鬼教官が如雨露持って花壇の花にお水を

あげているシーンはギャップ萌えっぽくて結構好きだったりするので、今後も出て

来て欲しいなぁ。

それにしても、この表紙はちょっとセンスなさすぎでは・・・。昭和の作品みたい

(それとも、あえてこういう絵柄??)。

それに、表紙くらい、キムタクを意識せずに作って欲しいなぁ。寄せすぎだよね。