ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

大崎梢「27000冊ガーデン」(双葉社)

大崎さんの最新刊。高校の図書館が舞台の日常の謎系ミステリー。大崎さんらしい

本にまつわるミステリーで、私が一番好きなジャンル。作中に散りばめられている

既存の本の名前も、読んだ作品が多いので、ちょいちょいテンション上がりました。

日常の謎系なだけに、ミステリー的な驚きっていうのはほとんどなかったですね。

二作目の密室の謎のトリックなんて、拍子抜け以外のなにものでもない真相

でしたしね。密室トリックとしては一番の禁じ手じゃないのか?○○って・・・^^;

一番好きだったのは、ラストの春雨のレシピが載った本を探すお話かな。こういう、

レファレンス的なお話好きなんですよね。些細なワードを手がかりに、視野を

広げて膨大な本の中から目当ての一冊を探して行くっていう・・・ワクワクします。

図書委員のみんなが、一人の生徒の為に一致団結して協力してくれたところにも

胸を打たれましたし。これぞ青春!って感じで。その生徒の事情は、青春どころ

じゃない、重いものではありましたが・・・。

春雨尽くしの本の候補の中には、読んだ本のタイトルもたくさん出て来ました。

それだけに、その本は違うんじゃないかな~と思ったりもしましたね。いくら

何でも、『屍鬼』の中には絶対ないだろう・・・とツッコミたくなりました(笑)。

まずは、レシピが載ってそうな本のジャンルを絞るべきでは、とも思ったり

しましたが。ただ、当該本を探し当てるきっかけになった別○○というのは

盲点をつかれた気持ちになりましたね。なるほど!なんか、聞いたことはあった

気もしますが、この作家さんがそれで本出してるのは知らなかったな。この作家

さんの、昔大好きだった作品のタイトルが出て来て、懐かしかったし嬉しかった。

確か中学生の時だったなぁ、読んだの(遠い目)。

実は、学校の図書館司書って、私が一番なりたかった職業だったりします。だから

大学で司書の資格も取ったしね。でも、司書教諭になるには教員免許も必要って

知って、挫折したんですよね~^^;普通に、学校の図書室で働いてる司書さんで

教員免許まで持ってる人なんてほんとに一握りなんでしょうけどね(へたすると、

司書資格すらない人が勤めていたりするらしい)。

でも、主人公の駒子の仕事っぷりを見ていると、学校司書は学校司書でいろんな

軋轢があって大変そうです(当たり前の話なのだが)。本が好きってだけでは

務まらない仕事ですよね。生徒とのコニュニケーションも大切だし。出入りの

書店員の針谷のキャラが良かったですね。名探偵でもあり、駒子の良き相談相手

でもあり。恋愛感情はお互いに全くなさそうですけど、二人で飲みに行ったり

する機会が増えれば、この先どうなるかわからないですよねぇ。本好きって

共通点もあるし、良き相棒って感じは否めませんが、相性は良さそうな感じが

するけどな~。大崎さんの作品ってあんまり恋愛が絡むことない気がするから、

期待は出来ないですけどね(苦笑)。

大崎さんは、やっぱりこういう本に纏わる作品が一番合ってると思いますね。

面白かったです。

ちょっと引っかかったのは、学校にあっても図書館って言うものなのかってところ

なんですけどね。個人的には、学校にあるのは図書室って思ってたから。図書館

表記にちょっと違和感を覚えてしまいました。私だけ?^^;