ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

似鳥鶏「育休刑事(諸事情により育休延長中)」(角川文庫)

忙しい奥さんの代わりに、自らが育休を取って息子の世話をすることになった刑事が

なんだかんだと事件に巻き込まれる育休刑事シリーズ第二作目。前作が出たのが

4年前ですが、作中の蓮くんはまだ一歳くらい?ようやくよちよち歩きが出来る

ようになったくらいな感じ。ちょこちょこ言葉もしゃべれるようになって、パパや

ママと意思疎通を図ろうと必死に頑張ってる姿に何度も悶えさせられました(笑)。

育休延長中の秋月春風巡査部長は、育休中にもかかわらず、何かと上司から事件

の捜査に関わる相談を受ける。ある日、上司から持ち込まれたのは、ある医院で

起きた不可解な窃盗事件。以前そこの医院で働いていた女が容疑者として浮かぶが、

彼女には手のかかる筈の生後十ヶ月の赤ん坊がおり、ワンオペで預け先もないのに、

犯行の二時間前後もの時間赤ん坊を放置できた筈がない、という鉄壁のアリバイが

あった。女は一体、どのようにして犯行を行ったのか――?

生後十ヶ月の赤ちゃんがいるってだけでアリバイが成立するっていうのがいまいち

ピンとこなかったのですが、多分赤ちゃんを育てたことがある人ならわかるわかる

って感じなのかな。確かに、一時も目を離すことが出来ない存在なのだろうけど。

でも、世の中には、生後数ヶ月だろうが子供を放置する母親もたくさんいるのが

現実だとも思うのですよね。放置子とかネグレクトとか、嫌なニュースを度々

目にしますからね・・・(その度に気が滅入ります・・・)。今回の母親はせめて

そういう人間じゃなくてよかったですけどね。

蓮くんが日に日に成長して行くのがわかって、微笑ましい気持ちになりましたね。

特に、ひとつの事件を解決する度に急成長する辺り、さすがこの夫婦の子供って

感じです。

最終話は、春風が育休を取るきっかけになった出来事を描いています。あの沙樹

さんが、あんな弱音を吐くとは。妊娠というのは、やっぱり女性にとってとても

大変な大仕事ってことなんですよね。そりゃ、命を産み出す訳ですもんね。でも、

その不安を、春風がちゃんと汲み取ってあげられて良かった。あれで仕事を取って

たら、多分一生しこりになって残ってたんじゃないかなぁ。沙樹さんに、という

よりも、自分にとってのね。

時短勤務が受け入れられるのか、最後までドキドキしましたが、これで次回作の

タイトルは決まったようなものですね。似鳥さんも、このシリーズはこの先も

書いて行きたいとおっしゃっているので、これからも蓮くんの成長を追って行け

そうですね。蓮くんは、小学生あたりになったら、もうコナン君ばりの活躍を

しだすんじゃないでしょうかねぇ。今だって、事件の重大局面で春風に素晴らしい

気づきのきっかけを与えたりしてる訳ですから。

そういえばこのシリーズ、ドラマ化してたんですよね。結局一度も観れず仕舞い

だったけど。調べてみたら、春風は金子大地くんという俳優さん、沙樹さんは

北野きいちゃんがやったらしい。金子くんという子は全然知らないけど、沙樹さん

のきいちゃんはイメージ違いすぎないか・・・。そして、春風の姉の涼子役が

前田敦子さん・・・あっちゃんかい。こっちもイメージ違い過ぎ。キャスティング

した人、ちゃんと原作読んだのか、と言いたくなるなぁ。人気の女優出せばいい

ってもんじゃないと思うんだけどな。まぁ、ドラマはまた違ったキャラになって

たのかもしれないですけどね。涼子さんのキャラ大好きだから、原作のあの雰囲気

を変えてほしくはないですけどね。どんな感じだったのか、観てみたかったなぁ。

今回も、育児あるあるが満載。育児経験のある人には、大いに共感出来る部分が

多いんじゃないかな、と思いました。