ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

倉知淳「恋する殺人者」(幻冬舎)

倉知さん最新作。倉知さんらしからぬファンシーな表紙に若干面くらいながら

読み始めました。内容も、倉知さんどうした?って感じのラノベ調で、更に

困惑。タイトルから、なんとなく想像出来る展開ではありましたので、語り手が

恋する殺人者視点になった時のサイコパスっぷりに、なんども辟易しながら、

心も折れかけながら、読み進める形となりました。

視点は主人公の高史視点と、恋する殺人者視点が交互に出て来る構成なんですが。

いやー、しんどかった。殺人者の思考回路が完全にイッちゃってるんですもの。

いや、なんでそういう思考になるの!?と理解不能の連続。怖い、怖すぎる。

ベースは、想い人に恋するカワイイひとではあるんですが、その想いが行き過ぎて、

完全にサイコパス人間になっちゃってるところがもう。恐怖以外のなにものでも

なかったです。途中から思い込みが激しすぎて、まじでドン引きでした。どんだけ

頭の中お花畑状態なの!?人死んでるよ!?って言いたくなりました・・・。

内面描写が出て来ない最初の時点では、好意的に見ていたんですけどね。読み

進めるごとに、その人物への恐怖と嫌悪が増して行きました。主人公、早く

気がついてぇぇぇ~~~~!!って思ってました。ええ、はい。素直にね。

 

 

 

はい、以下、盛大にネタバレしております。未読の方はご注意を!

読む気がある方は絶対読まないように!

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤ、ヤ、ヤラレターーーー!!!

 

 

 

 

 

 

完全に、倉知さんの掌の上で転がされてましたとも。はい。最後まで読んで、

気になる箇所を振り返って読み返してみると・・・たたた、確かに、絶妙に

スリードさせる書き方してるじゃないですか。やー、騙されたよぉ。まさか、

そっちだとは!!!いや、確かにね、その人物、言動怪しいところはありましたよ。

ありましたけども!全然見抜けなかったなぁ。

来宮さんのキャラ、完全に見誤っててごめん、って感じ。高文と一緒に探偵活動

したいって言った時点で怪しさ満点だったしさぁ。倉知さんの書き方、絶妙

すぎて。来宮さん出て来る度に戦慄してたのに。

 

 

 

薄くてすぐ読めちゃう作品ですが、伏線は至る所に張り巡らされてて脱帽。

さすが倉知さんですね。

嫌悪感と戦いながらの読書でしたが、最後まで読んで良かったです。

ラストは、高史がイトコンも卒業出来たみたいで良かったです。この先は、

従来のラブコメ路線が展開されて行きそうな気配ですね。良かった良かった。