はじめましての作家さん。なぜこの本を手に取ったかというと、ただ単純に、
私がガレットという食べ物が大好きだからです（笑）。最近は全く食べてないの
ですが、一時期はまって、いろんなガレット屋さんに行ってました。自分でも
よく作ってましたし。そば粉があれば、結構簡単なんですよね。美味しいし。
おしゃれだし。一度だけ、友人が家に遊びに来た時に作ってあげたら、すごく
喜んでもらえましたっけ。いや、本音はどう思ってたかわからないけど＾＾；
一番好きなお店は、神楽坂にあるル・ブルターニュというお店。今でもあるかな。
ガレットなんて全く知られていない時から有名なお店だったから、今でもあると
信じたい・・・。日仏学院があるから、フランス人も良く来ていたみたいだしね。
おっと脱線、失礼しました。
派遣の契約が終わった日、詩葉（ことは）は、千駄木駅からアパートに帰ろうと
したところで、お気に入りのブーランジュリーに寄って行こうと坂道を登ると、
その奥に古民家を改装したガレット屋『ポルト・ボヌール』を発見した。中に
入ると、赤い髪の店主が迎え入れてくれた。詩葉は、一度でその店の虜になって
しまった。それ以来、毎日お店に通い詰めることに。四日目、毎日来ている詩葉
を心配した店主の多鶴さんに、思い切ってここで雇ってもらいたい旨を告げる。
詩葉は、トイレにアルバイト募集の紙が貼ってあるのを目ざとく見つけていた。
人付き合いが苦手そうな詩葉の申し出に戸惑う多鶴だったが、彼女の前のめりな
勢いに根負けして、採用を認めた。従業員として働くことになった詩葉は、多鶴
さんの美味しいガレットを求めてやってくる様々な客と出会うことに――。
店主の多鶴さん（名前なのか名字なのかは最後までわからなかった）が作る
本場のブルターニュ仕込のガレットは、どれもこれも美味しそうだった。でも、
そこに付随する客たちのエピソードは、今ひとつ食い足りないものが多かった
印象。もうちょっとひとつひとつのエピソードを踏み込んで書いてほしかったかな。
詩葉が読んでいるブルターニュのブログに関しても、結構引っ張った割にあっさり
投稿主が判明して拍子抜けだったしね。途中からブログの雰囲気が変わった理由は、
終盤でわかるので、そういうことだったのか、と思いましたけど。多鶴さんの
知り合いの俳優・山城さんの最後の決断も、え、そっち！？とちょっと面食らわ
されました。まぁ、そういう決断も潔くてありだとは思うのですけど。こういう
作品で、そっちの決断を促したこと自体に驚かされたというか。これはこれで
ありだとは思いますけどね。
多鶴さんのあっさりした性格は好感持てました。食に関してはとことん追求する
ところも。なんでも自分で作っちゃうし。ただ、出されたガレットをシェア
出来ないって点はどうなのかなぁと思いましたけど。その人の為に作った一皿
だからって理由は確かにご尤も、だとは思うのだけど、お金を払ってそのお皿を
買っている訳だから、出された後にどう食べようがそれはお客の自由じゃない
のかなぁと思ってしまった。まぁ、そういうお店だと思って行けば気にならない
のかもしれないですけど。外食行くと、何でも相方とシェアしちゃう方なので、
こういうお店はちょっと戸惑っちゃうかも。
人付き合いが苦手で、思ったこともなかなか口に出せない３５歳独身の詩葉が、
ガレットと多鶴さんに出会って、少しづつ成長して行くところは良かったと
思います。ガレットも上手く焼けるようになりましたしね。でも、常連客の
道草さんとか白井さん、あんなに頻繁に来ていて飽きないのかな、とはちょっと
思ってしまった。ガレットって、そんな頻繁に食べたいものでもないような気が。
値段も結構高いし（今の相場はわからないけど、私が若い頃に行ってたお店でも
二千円前後はするところが多かった。今はもっと高いのでは）。ま、二人とも
それなりにお金持ってる人だとは思いますけどね。
ブルターニュは一度だけ行ったことがあります。モンサンミッシェルの小さな
ホテルに泊まったのはとてもいい思い出。今は有名になった、『ラ・メール・
プーラール』のふわふわオムレツも食べました（当時は日本未上陸だった）。
思ったより美味しくなくてガッカリした覚えが（味がなかったのよね、全然。
メレンゲでふわふわになってるのは感動したけど。多分、日本で食べた方が
日本人向けにいろんな味がついてて美味しいと思う）。
ただ、ガレットはそこでは食べなかった覚えがあります。本場だったのに・・・。
全然関係ない地域で食べたんじゃなかったかな。
久しぶりにガレットがめちゃくちゃ食べたくなりました。そば粉あるから
作ろうかなぁ。
追記：神楽坂のル・ブルターニュ、ネット検索してみたら、ちゃんとありました。
行きたいな～。
