ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

加納朋子「1(ONE)」(東京創元社)

加納さん最新作。出る情報全く知らなかったので、図書館の新着図書コーナーで

見かけて即予約。わーい、加納さんだー、と喜んでいたところに、内容紹介で

駒子シリーズの文字が・・・!!!えぇぇっ、あの駒子シリーズ!?今になって!?

とびっくりしました。めちゃくちゃ大好きなシリーズだったので、そりゃもう、

読むのを楽しみにしていましたよ。とはいえ、読んだのは昔過ぎて、細かいことは

当然ながら全然覚えていなかったのですが・・・^^;;

んで、読み始めて、加納さんからのまえがきを読んで、『同じ世界の話ではある

けれど、ストレートな続きではない』とのこと。んん、微妙な書き方・・・と

思いつつ、読み始めると、確かに、主人公は人付き合いが苦手で、他人と上手く

向き合えない大学生の玲奈ちゃん。この子が一体どう駒子たちとつながって行く

のか、一話目の『ゼロ』を読んだ時点では(なんとなく「こうかな?」と想像

するところはあったけど)、全然わかりませんでした。レイちゃんこと玲奈ちゃん

の物語は、彼女のわんこ『ゼロ』との出会いと、彼女が遭遇したストーカー事件を、

いかにして家族総出で解決したのか、その顛末が描かれます。その時点で、駒子や

瀬尾さんの名前は一切出て来ません。ただ、レイちゃんの家族が、いかに彼女

のことを大事に思っているかは(多少・・・というか、かなり過保護気味ですがw)、

伺えて、素敵な家族だなぁと思わされましたけれどね。

玲奈ちゃんと駒子シリーズの接点が明らかになるのは、その次から始まる1(ONE)

の物語で。なるほど、こういうことだったのね~!って感じです。まぁ、最初の

予想がほぼ当たっていたのですけれどね。1(ONE)は、前編・中編・後編の

三部作。前編のラスト一行で、主人公の名前が明かされ、おおー!と思いました。

スピンオフ的に出版された、童話の『ななつのこものがたり』を読んでいれば、

この名前にピンと来る人は多いはず。私自身、この名前にはとても思い入れが

あるので、よく覚えていました。

そして、中編のラスト一行でも、シリーズファンには嬉しい文言が。この一言から

最後の後編部分は、もう純粋な駒子シリーズの続編と言っても差し支えないのでは?

とはいえ、前の作品の内容をもはや全く覚えていないので、もう一度読み返したく

なりましたけどね。実家に本があるから、今度引き取って来ようかな(『ななつのこ

と『魔法飛行』)。

レイちゃんのわんこ『ゼロ』はちょっとおバカっぽいけど愛らしいし、その前に

家族で飼っていた『1(ONE)』はスマートで賢くて、とてもかっこいい。全編

に亘って、わんこへの愛に溢れた内容になっていて、加納さんは犬がお好きなんだ

ろうな~と思いましたね。それだけに、1(ONE)の最期のシーンは辛かったな

ぁ・・・。

ミステリ色がほぼなかったのはちょっと残念でしたが、わんこ愛と家族愛に溢れた

作品で、加納さんらしい優しい物語でした。

次はもっとレイちゃんのナイト・ゼロが活躍する物語が読みたいですね。

大好きなシリーズなので、更なる続編を期待したいです。