秋川さん新作(去年の11月発売みたいだから、もう新刊じゃない?^^;)。
大病院の近くに店を構える、深夜営業のカフェ『ポラリス』には、様々な事情を
抱えた客がやってくる。そうした悩みを抱える客たちに、明るく察しの良い店主は、
その人に合わせた料理をそっと差し出す――。
深夜だけ営業するカフェにやってくる客と、その客の見た目や雰囲気からズバリと
その人が抱える悩みや状況を言い当ててしまう店主とのやり取りを綴ったハートフル
小説・・・なのだけど、うーん。店主のテンションの高さが、ちょっと正直
深夜向きじゃないなぁと思ってしまった。タメ語が悪いとは言わないけど、いきなり
初対面の客に対してこのテンションで来られてしまうと、私だったら引いてしまう
かも・・・。客に出す料理にしても、状況から察せられるとしても、一応まずは
どんなものが食べたいか聞いて欲しい・・・というか、とりあえずメニューくらい
見せて欲しい、って思ってしまった。悪い人じゃないというか、良い人なのは
わかってるんですけどね。なんか、いろいろ決めつけてる感じがコミュ障寄りの
私のような人間にはちょっと苦手に感じてしまいました。深夜のカフェに行く人
なんて、静かに過ごしたい人が行くような気もするしね。まぁ、本書に出て来る
お客さんたちは、彼女の明るさや察しの良さに救われて、新たな道が拓けたり
しているのだから、そういうのが良いという人もたくさんいるとは思いますけどね。
出て来る彼女のお料理は美味しそうでしたしね。
しかし、座席が4席くらいしかなくて、深夜しかやってなくて、良くこれで営業
して行けるなぁ。満席になることもほとんどないみたいだし・・・。道楽でやってる
としか思えない^^;とても採算取れるとは思えないのですが、どうやってやりくり
しているんだろう、と不思議になりました。深夜だけやってること自体には、彼女
なりのポリシーがあるようですが。近くが病院だし、親友がその病院に勤めている
ことも理由のひとつでしょうし。夜勤業務に従事している人には、こういう、夜中に
やっている飲食店って貴重でしょうね。私自身は、深夜に物が食べたくなること
自体がまずないので(あったとしても我慢するし)、絶対に行く機会はなさそう
ですけどね・・・(しーん)。
ラストの、店主と病院に勤めている親友との関係は素敵でしたね。こういう形で
友達関係が続いているっていいなぁと思いました。医療関係に従事する人の
大変さは、コロナ禍で痛感させられましたからね。こんな、心を癒せる深夜カフェ
があったら、心強いだろうな、と思いました。
秋川さんの作品の登場人物って、ちょいちょい引っかかる性格の人が出て来る
ことが多い気がするなぁ。基本的にはみんな良い人なんだけど、どこかで言動に
違和感を覚えるところがあるというか。心温まる作品なのは間違いないのだけど、
そういう違和感が心に残って、素直に称賛する気になれなかったりして。私が
ひねくれているのだろうか・・・。読みやすいからついつい読んでしまうのだけどね。
本書も、設定は面白かったのだけど、店主のキャラ設定は好き嫌い分かれるかも
しれないなぁと思いました。