ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

蒼井上鷹/「ハンプティ・ダンプティは塀の中」/東京創元社刊

蒼井上鷹さんの「ハンプティ・ダンプティ塀の中」。

一留置場の新人、ワイは鉄扉の中で4人の先客と出会う。部屋長のデンさん、ヤギ顔の老人
ハセモトさん、大男のノブさん、そして坊主頭で卵のようなマサカさん――それぞれにひとくせ
ありそうな面々だが、それなりに上手くやっていた矢先、ワイはハセモトさんの逮捕の事情を
聞くことになった。しかしその中には不可解な謎が隠されていた――(「古書蒐集家は罠の中」)。
塀の中で繰り広げられる奇妙な謎解き合戦を集めた連作短編集。ミステリフロンティアシリーズ。


えー、記事を書いても反応があったためしがない蒼井さん。ブログ開設前は、ミステリ読み
の中では割と有名な作家かと思ってたんですが、案外読んでる人少ないんですねぇ。残念。
まぁ、ものすごくお薦め!という訳でもないので、私も強くプッシュできなかったりする
のですが・・・作品がまた好き嫌い分かれそうな微妙なのが多いし。でも私は結構好きです。
ま、いいや。自分の為に記事を書こう・・・。

蒼井さんは割と風刺の利いたブラックユーモア的な作品が多い方ですが、今回の舞台は留置場
の中。もちろん出てくる登場人物はみんな胡散臭い人ばかり。表面上は仲良く会話している
ようでも、お互いに腹の探り合い状態で、どうも掴みどころのない話が多かったです。それぞれ
の話も謎解きとしてはイマイチかなぁ。騙された、という点では四話の「アダムのママは雲の上」
がなかなか面白かった。途中まで「こんな偶然ある訳ないだろ!!」とさすがに憤りを感じて
読んでいただけに、ラストはやられたという感じ。ただ、それ以外のはどうも謎解きもすっきり
しないものが多くて消化不良な感じはありました。登場人物の名前がカタカナ表記なので
(留置場内ではニックネームで呼ばれる為なのですが)読みにくくて誰が誰だかわかり
にくいのも難点(単にこれは私の理解力の問題ですが・・・カタカナ苦手^^;)。
だいたい、犯罪者たちが集まって、こんなに穏やかに和気藹々過ごせる訳がない気がする
んですが。その辺のところは突っ込んじゃダメなのかな~^^;まぁ、犯罪者といっても、
留置場に入れられるのは軽犯罪者だけのようなので、こういう設定が可能と云えるのかも。
人物造詣もあと一歩!という感じなんですよねぇ。せめてマサカさんのキャラはもうちょっと
確立させて欲しかったところ。ハンプティ・ダンプティの使い方もちょっと弱かったなぁ。
どうもラストの感じではまだ続編がありそうな気配。次に期待しよう・・・。

ミステリフロンティアらしい連作短編とも云えますが、読み応えという点ではやや物足りない
かな、といったところ。留置場の様子はなんとなく伝わって・・・くるかな・・・??
(記事もなんだか消化不良のまま終了)。