ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

吉田秋生/「海街diary 1 蝉時雨のやむ頃」「海街diary 2 真昼の月」/flowersコミックス刊

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吉田秋生さんの「海街diary 1,2」。

男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃(よしの)に父の訃報(ふほう)が届いた。母との離婚
で長い間会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は…。鎌倉(かまくら)を舞台に家族
の「絆(きずな)」を描いた限りなく切なく、限りなく優しい吉田秋生の新シリーズ!(あらすじ
抜粋)。


あらすじ自分で考えてたのに操作ミスで記事を消してしまいました・・・(涙)。
気を取り直して、感想に行きます・・・。

巷で評判の良い吉田さんの新シリーズ。買おう買おうと思いながらもすっかり忘れていた所、
月野さんが記事にしてらしたので思い立って買いに行きました。思い出させて下さってありがとう
ございます。二冊いっぺんに読みました。
吉田さんといえば、なんといってもBANANA FISH。もう、大好きで、大好きで、何度読み
返したかわからない位熱狂して読みました。それだけに最終巻の悲しさといったら・・・!!
本書がラヴァーズ・キスとリンクしているという話を聞いていたので、実家で探していた
ところ、『BANANA~』の最終巻を手に取ってしまい、またしてもラストシーンに涙しそうに・・・。
しかも、結局肝心の『ラヴァーズ~』は見つからず。完全に無駄足だったという^^;売っちゃった
のかなぁ。もう、全く内容を覚えてないから再読したかったのに。本書で出て来る香田家の次女・
佳乃の彼氏、朋章が出て来たことは覚えているけど、彼がどんな人物像だったかが思い出せない。
なんか、もっとクールだったような気もするんだけど。古本屋で買いなおそうかな。

さて、肝心の本書ですが、とても良かったです。鎌倉の街を舞台に、四姉妹それぞれの生き方が
鮮やかに爽やかに描かれていて、読んでいて清清しい気持ちになれる良作でした。特に、長女の幸が
四女のすずを引き取るくだりなんて、『幸ねぇ、グッジョブ!!』と思わず叫びそうになりました。
また舞台が鎌倉、しかも昔ながらの古い民家ってとこがまたいいですね。なんだか、とても懐かしい
気持ちに浸れました。鎌倉は何度か遊びに行ったことがありますが、とても風情のある街。坂から
見下ろす鎌倉の街の眺めは本当に美しい。この作品を読んで、また鎌倉に遊びに行きたくなりました。
伝統的な建造物や歴史が残る鎌倉の街を歩きながら、本書に出て来る坂や道を探すのも楽しそうです。
本書のガイドブック的な本も出ているそうなので、そちらも併せて読んでみたいなぁ。
四姉妹、それぞれの性格もはっきりしていていいですね。それぞれに、いいところも悪いところも
きちんと描かれている。彼女たちの関係も、両親がいないからこその強い結びつきを感じます。
幸ねぇはかっこいいし(不倫はいかんですが)、佳乃はいじらしいし、千佳ちゃんはさばさばしてて
面白いし、すずは年齢にしては達観してるけど、真っ直ぐな性格で好ましい。みんなそれぞれに
個性的で素敵です。

2巻で出てきたすずの同級生・裕也に関してはその身体的状況を考えるといい子過ぎてちょっと
リアリティのなさを感じましたが。だって、普通もっと卑屈にならないかい?いや、そこが裕也の
いいところと言われればそれまでなんですけど・・・こんないい子に、神様はなんて意地悪を
するんでしょう。彼にはハンディを乗り越えて幸せになって欲しいなぁ。

吉田作品は『イヴの祈り』(月野さん、『YASYA』は全部持ってました。すみません)の途中
あたりから読まなくなってしまっていたので久々に読みましたが、やっぱりこの人の話作りは
上手いなぁと思いますね。
まだまだ続くようなので、続刊を楽しみにしていたいと思います。