ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

はやみねかおる/「都会のトム&ソーヤ⑤ IN塀戸 上下」/講談社刊

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はやみねかおるさんの「都会のトム&ソーヤ⑤ IN塀戸 上下」。

栗井栄太の新しいゲーム『IN塀戸』が完成したという情報を入手した内人と創也。
彼らは次の三連休でN県の塀戸村で新しいゲームをお披露目するらしい。当然創也は
嫌がる内人と共にN県塀戸村に向かった。そこで行われる栗井栄太の新しいゲームは、
現実世界にRPGゲームを持ち込んだR・RPG(リアル・ロールプレイングゲーム)だった。
参加者たちに個々のキャラクターが与えられ、支持された性格のもと、いくつかのステージ
をクリアしていく方式だ。内人と創也は『中学校の天文部部員』というキャラクターを
与えられた。村をまるまる一つ使った奇妙なゲームが始まった――。



まちトム第五弾。上下巻でページ数もボリュームアップ。今回は、栗井栄太が作った
R・RPGの全貌が明かされます。村をまるごと一つ買い占めるとは、巨額のお金を投資
したもんです。しかも、それ以外にもお金をやらにかけた仕掛けなども施されている
ので、彼らのこのゲームにかける自信や労力の程が伺い知れます。生身の身体を使った
ロールプレイングゲームなんて、ちょっと面白そう。かなりサバイバルな内容でしたが^^;
ミステリーツアーで、自分が登場人物の一人になって推理を行うイベントみたいなのが
ありますが、あれをもっと複雑にした感じかな。都会を舞台にいろんな冒険をしてきた
創也と内人君にはもってこいのゲームって感じ。特に、内人君がいるおかげでサバイバル
には強い二人ですしね。今回も、内人君のおばあちゃんの知恵袋が要所要所で活躍。創也
も、内人本人の言葉は信じなくても『おばあちゃんが言ってた』とつけると無条件で信じ
ちゃうくらい、おばあちゃんの言うことを信用してますからね(苦笑)。

UFOや宇宙人が出て来た時は面食らいましたが、まぁ、ゲームの一貫ということで、多少
仮想現実的な要素を付け加えた方が盛り上がると思ったんですかね。物が浮いたという
無重力の真相には、その手のかかりようにビックリ。実際体験したら、絶対自分の感覚が
おかしいって感じる気もするんだけど(耳がおかしいとか)・・・理屈だと成立するんです
かねぇ。しかし、一体いくらかけたんだ^^;ほんと、テーマパークのアトラクションを
作っちゃったって感じですよね。今までつくってきたゲームでいくらでもお金は持ってるんで
しょうけどね^^;

名前のつけ方のセンスで競い合ってる創也と神宮寺にウケました(笑)。神宮寺も、子供
相手に本気でむきになってるしね^^;
最後まで卓也さんが出て来ないので、ちょっと寂しかったのですが、ラストではさすがに
美味しいところを持って行く活躍で溜飲が下がりました。上巻には、今回も矢吹君との
短編が入ってましたしね。確かに保育士にピアノは必須ですが、その習得の為にデパート
の楽器売場のピアノで練習し、そこに置いてあった超難度の曲を完璧に弾けるように
なっちゃうところが凄いです。それなのに、童謡が弾けないっていうアンバランスな所が
また卓也さんらしくて笑えますが(苦笑)。ここまで涙ぐましい努力をしてるのに、卓也
さんが保育士になれる気がまったくしないのはなぜなんでしょうか(笑)。でも、卓也
さんには、叶うと信じて保育士の夢をいつまでも諦めないで欲しいですね(笑)。

下巻には、創也と内人の父親たちのお話もおまけとして収録されています。なんだか、
どちらも二人の父親らしい言動で、嬉しくなりました。二人の父親も、今後度々登場する
予定があるそうなので、楽しみです。
もう一作、ノンシリーズ(らしい)短編が収録されています。可愛らしいお話だったので
楽しめましたけど、なぜここに入っているのかな、とそこはちょっと不思議に思いました。

西炯子先生の巻末漫画も嬉しかったです。
内容盛りだくさんで、今回も楽しめました^^
シリーズ制覇まで頑張るゾ♪



追記:

実は、地震があった日に読んでいた作品で、地震が発生した時もちょうど職場の休み時間で
上巻を読んでいました。明るい作品なのに、地震のニュースが気がかりで、なかなかいつもの
ように楽しみ切れなかったところがありました。読み終えて割合すぐに記事は書いてあったの
ですが、悲惨な状況ばかりが明るみに出る中でこのような明るい内容の作品の記事をUPして良い
のかどうか悩み、結局メモ登録したままになっていました。
読んだ順でいえば、本書→カササギゾンビーズだったのですが、結局ゾンビーズを読んで
気持ちが切り替わったことで、ようやくブログを更新する気持ちが奮い立たされた為、読んだ順を
遡る形での記事UPになってしました。まぁ、見に来て下さる方にとってはどうでもいいことだとは
思うのですが^^;
でも、あの悲劇的な日に読んでいた作品ということで、記憶に残る作品であるのは間違いありません。