ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

みなさま、こんばんはー。
9月に入って、ようやく秋めいて来ましたね。
竜巻やら大雨やら、異常気象が続いているのが気になるところではありますが・・・。
たまにはすっきり秋晴れの空が見たいなぁと思う今日このごろです。


さてさて、本の方は三冊読了。相変わらず予約ラッシュは続いておりまして、
なんとかかんとか全冊読破に向けて頑張っております(若干怪しくなって来ましたが^^;)。
新居に移って、最寄りの地域図書館が今までよりも少し近くなったのが嬉しい。
自転車だと2~3分の距離。まぁ、以前のアパートも、5分程度の所には
あったのですけれどね。ちなみに、地道に月イチで習っているフラワーアレンジメントのレッスンも同じ地域図書館の一室を借りてやっているので、通うのがとても楽に
なりました。職場からは若干遠くなったのが玉に瑕なのですけれどね^^;


では、各作品の感想を簡単に。


長岡弘樹「教場」(小学館
巷でかなり話題になっているらしいですね、これ。もともと長岡さんは割と好きな
作家さんなので、新刊が出た時点で予約は入れていましたが、今現在は200人を
超える予約数のようで。
こんなに話題になるとは知らず、ちょっとビックリしました^^;本屋に行っても、
ポップなんかを書いて結構プッシュされている様子。
確かに、警察小説はたくさんあるけど、警察学校を舞台にした作品ってあまり
聞いたことがないですものね。着眼点の勝利ってやつでしょうか。
しかーし、警察学校って、こんなに陰湿で陰謀やら裏切りやらの宝庫な場所なんですか――!?
これ読んで、警察官になろうって思えるひといるのかな^^;昨日の友は今日の敵、
という言葉がこれほど似合う場所もないってくらい、みんな同期の友人たちを裏切る、裏切る。
いやもう、こんなの経験しちゃったら完全に人間不信になるんじゃないでしょうか。
私だったらなるぞ。一番ぞぞーっとしたのは、第三話の『蟻穴』。ひ、酷すぎる・・・。いくら何でも、
これはやりすぎでしょ・・・。こんな恐ろしい拷問の方法だったら、誰もが口を
割ってしまうのじゃないかしら。しかも、今回、拷問ですらないわけで。悪魔の
所業・・・。はっきりいって、やりすぎ感は半端なくあると思う。嫌がらせで
ここまで考えるひといるかしら・・・。まぁ、他の話も酷いのはいっぱいあるけども。同期を駐車場のパレットに挟むとか毒ガスで殺そうとするとか・・・同じ授業を
受ける仲間にすることか――^^;;
いや、面白かったんですけどね。ほんと、警察学校のイメージをここまで悪くして
大丈夫?って心配になりましたよ^^;
でも、風間教官のキャラはいいですね。ちょっと、柳広司さんのジョーカー・ゲーム
シリーズの結城を思い出しちゃいました。風間は結城よりは大分人間味のある性格
ですけれど。何を考えてるかわからない、けれども指導する側としては非常に
クールで優秀ってところがちょっと似てるかなー、と。
新しい警察小説のジャンルを確立させた、という意味では価値ある一冊じゃないで
しょうか。
これだけ人気が出ると、多分続編もありそうですね。


池井戸潤「ようこそ、わが家へ」(小学館文庫)
今や、飛ぶ鳥を落とす勢いの人気作家へと変貌を遂げた池井戸さんの文庫最新作。
半沢シリーズがバカみたいに売れているみたいですが、こちらもなかなか面白かった
です。
タイトルだけ見るとほのぼのファミリー小説かと思われそうですが、全く中身は
違います。
現代のストーカー犯罪をテーマにしたサスペンスミステリーです。主人公倉田は、
ある日勤め帰りの電車の中でささやかな正義感を発揮させた結果、ある人物の恨みを
買い、後をつけて自宅を突き止められて、その日を境に嫌がらせを受ける立場に
なってしまいます。嫌がらせは日々エスカレートして行くのに反して、警察は
動いてくれない。ついに倉田一家はストーカーと対決することに。一方倉田は、
銀行からある電子部品会社に出向中の経理マン。会社ではよそ者扱いで、あまり
社長や上司から信頼されているとは言い難いけれども、真剣に今の仕事に取り組む
真面目なサラリーマンです。倉田はある日、営業部長の不審な行為を目に止めます。
そこから営業部長の更なる不正が次々と明るみになって行き、それを指摘したことで
倉田の会社での立場には暗雲が立ち込めて行く・・・と、プライベートと会社、
二つの窮地に立たされた倉田が、それぞれの問題にどう立ち向かうかが読みどころ。
どちらの問題も意外な事実が隠されていて、最後は若干上手く行きすぎな感がなくも
なかったけれども、巧い落とし所に落ち着いていると思います。
倉田は、半沢直樹のようなスーパー社会人ではなく、人は良いけれど気弱で頼りない、ごくごく普通の中年男。普通だったら脇役キャラになりそうな、そんな冴えない
おっさんが、ストーカーや上司に反旗を翻し、立ち向かって行くところが面白かった
ですね。倉田の息子や娘もいい子たちで、ほんとに家族一丸となってストーカーを
やっつけようとするところが良かった。
職場では、同じ経理部のシングルマザー摂子さんのキャラが良かったですね。女性
ながらにしっかり不正を見ぬいて、倉田の味方になるところが頼もしかったです。
最後、会社の倉田への決断にはちょっとガッカリしたところもありましたが、
倉田にとってはその方がいいのかな、と思いました。
会社パートは池井戸さんらしい展開ですが、ストーカー問題の方は今までの池井戸
作品とは違っていて新鮮でした。逆恨みで自宅を突き止められて嫌がらせ、なんて
ほんと怖い。日常に潜む、こういう悪意が実は一番怖いものなのかな、と思わされ
ました。


畠中恵「ときぐすり」(文藝春秋
まんまことシリーズ第四弾。前作で衝撃の展開を迎えて、麻之助は一体どうなって
しまうの!?
と心配しながら読み始めました。確かに始めの方こそ自暴自棄気味でしたが、
友たちの支えもあり、少しづつ日常を取り戻して行く麻之助の姿にほっとしました。
もちろん、心の傷が本当に癒えるのはまだまだ先のことだとは思いますが・・・。
ラストの『ときぐすり』に出て来た滝助少年の解釈のように、時が薬となって少し
づつでも彼の心の傷が癒やされて行くといいな、と思います。
今回、一番好きだったのは、高利貸しの丸三さんが活躍する(?)『ともすぎ』
吉五郎の為に身を挺して頑張った理由が可愛らしくて。高利貸しって、時代物では
大抵が悪いキャラに設定されてると思うのですが、こんなに愛嬌があって好感の
持てる高利貸しに初めて出会いました(笑)。
ラストの、麻之助の丸三さんへの配慮も素敵でした。彼らがずっと友だちでいられ
ますように。
今後気になるのは、おこ乃ちゃんとの関係。おこ乃ちゃんもライバルがライバルな
だけに、キツいものがありますね。確かに、麻之助だけはやめておいた方が良い気
もしますねぇ・・・。
麻之助お由有さんへの想いを再燃させる可能性だってあるだろうしね。
ところで、一作目の『朝を覚えず』で何度読んでもわからない所が一箇所あったの
ですが。
結局、お由有さんの子供、幸太って、誰の子供なんでしょう??縁談相手の弟って、
清十郎のこと?幸太って、清十郎の子供だったんでしょうか・・・その割に、
それを知っても、朝之助の清十郎への態度って何ひとつ変わらないし、あれ?と
思ったんですよね。何か、文章が何度読んでもよくわからなくって^^;読解力
がなくてすみません・・・誰か解説してください
~~~(><)。

 

追記:よく考えたら清十郎は源兵衛の子供なのだから違いますよね^^;;という
ことは、縁談相手の弟=源兵衛さんの弟・・・?出て来ましたっけ・・・??
なんか、ますますわからなくなってしまった・・・。








と、今回はジャンルばらばらの三冊でした。
これから読書の秋本番!引っ越しも一段落したし、ガンガン読むぞぅ(ホントか?^^;)。