ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

どうもみなさまこんばんは。
ついに関東も梅雨入りしたそうで。これから毎日じめじめするのかと思うと憂鬱な日々
であります。

タイトルが前回の記事と同じですみません・・・。なかなか記事を書く時間が取れず、
ついつい読了本がたまってしまう^^;もう少し一作づつじっくり腰を据えて書きたい
ところなのですが・・・ぐすん。

ということで、今回も読了本は三冊。読みやすい本が続いたので、なかなかいいペース。
予約本ラッシュをなんとか乗り切ったと思ったところなのですが、そろそろまたしても
次なるラッシュが襲って来そうで戦々恐々としております^^;


んでは、一冊づつご紹介~。


宮木あや子校閲ガール」(メディアファクトリー
そんなにたくさん読んでないんですが、結構好みの作品を書かれる作家さんなので、
いつも新刊はチェックしてます(読んだり読まなかったりなのですが^^;)。
今回はタイトル見て絶対読もう!と決めていた作品。だって、どう考えても本関係の
内容でしょ。これは読まずに過ごせませんよね!(誰に言っている^^;)
んでもって、内容もタイトル通りの、本の校閲のお仕事をしている女性のお話。
ただ、この主人公の河野悦子さん、好きで校閲のお仕事をしている訳ではありません。
そもそも彼女が職場である景凡社に入社しようと思った本来の理由は、同社から出ている
ファッション雑誌のお仕事がしたかったから。この悦子さん、とにかくファッション
雑誌が大好きなのです。景凡社から出ているファッション雑誌のことなら、隅から隅
まで読み尽くして記憶しているという、並外れた才能の持ち主。その特技故か、ギリギリ
入社出来たものの、彼女が配属された先はファッション雑誌関係ではなく、地味な校閲部。
なぜ校閲なのかというと、どうやら名前が河野悦子で校閲に似ているから、というから、
本人は面白くない。ただ、根は真面目なのか、与えられた仕事は文句を言いながらも
そつなくこなすので、仕事はそこそこ出来る人なんだろうな、と思いました。
でも、イヤイヤ仕事をしている感じがまるわかりなので、最初は彼女のキャラクターに
あまり好感が持てなかったのですが、なんだかんだで仕事ちゃんとしてるし、頭が切れる
ところもあるひとなのがわかってからは、それほど嫌な感じもしなかったです。好きかと
言われると、あまり好きなタイプではないけど^^;文学には全く興味がなく、その分
ファッションには異様な情熱を傾ける、いかにも現代の女の子って感じ。地味な服装で
ファッションとは無縁の服装をする同期をバカにして、見下すような態度が嫌味に思え
ました。まぁ、悦子のおかげで、そのダサかった同期の藤岩も、少しファッションに
目覚めることが出来たのだから、嫌味なだけでもなかった訳だけれど。
作家の本郷と悦子とのやり取りが面白かったです。なんだかんだいって、二人って
いいコンビだな~と思いました(悦子は嫌がるだろうけど(笑))。
悦子と是永の恋愛部分がちょっと中途半端だったのが残念だったかな。エピローグの
ような結末になるのであれば、もうちょっと二人の見せ場があっても良かったような。
まぁ、とにかく、校閲のお仕事が非常に大変だということはわかりました。作家の文章を
直すんですものねぇ。いろいろ資料を漁って事実関係を確認したり、辻褄が合うかどうか
照合したり。漠然と面白そうだなーなどと思っていた自分の甘さがよくわかりました^^;
自分の知らない分野のお仕事小説は勉強になりますね。面白く読みました。


加藤実秋「ブラックスローン インディゴの夜」(集英社文庫
シリーズ第五弾。シリーズ初の長編だそうで。長編って今までなかったんだっけ、と
解説読んで気付きました^^;なぜか今回の作品から文庫書きおろし。版元も
変わって、集英社文庫にお引っ越ししていたんですね。文庫だから読みやすいとはいえ、
なんだかちょっと違和感が・・・^^;
今回は、ある日クラブインディゴに通う常連客の女性が殺され、彼女が指名していたホストの
DJ本気が疑われたことから、晶やお馴染みのインディゴメンバー総動員で事件を負うことに。
事件を探るにつれて、真面目なOLだと思っていた被害者の裏の顔が見え始め・・・というのが
大筋。
オンラインゲームのきゃぴタウンは、アメーバピグみたいな感じなのかなーと思いながら
読んでました。実は、姪っ子にせがまれて、アメーバピグに登録して、ちょっとだけ
かじったことがあるんですよね。なんだかよくわからなくて、結局数日やって放置状態に
なっちゃいましたけど。
ネット上のクラブインディゴの存在は面白いな、と思いました。ただ、リアルじゃないのに、
ネット上のホストに何万ものお金をかけるというのがどうも理解出来なかったですけど。
リア充じゃない人は、こういうのに入れあげてしまうものなのかもしれないなぁ・・・。
直接会わなければ、自分の容姿に引け目を感じることもない訳だし。そこがネット世界の
怖いところでもあるのだろうけれど。
被害者の真千子を殺した犯人については、途中でなんとなく見当がついてしまいました。
明らかに怪しい言動しているしね。やっぱりアイツかー!と思いました。
それにしても、解説の方もおっしゃられているけれど、巻を追うごとに憂夜さんの不思議
キャラっぷりがグレードアップしている気がしますね。怪しげなハーブティーに拘りを
持っているところにウケました(笑)。ほんとに、謎な人だなー。確か、前回ちょっぴり
憂夜さんにスポットライトが当てられたけど、結局謎が深まっただけだった覚えが。
憂夜さんの正体がわかる日がいつか来るんでしょうか・・・。


辻村深月「盲目的な恋と友情」(新潮社)
辻村さん最新刊。久しぶりに新刊が一番手で回って来て嬉しかったです。辻村さんも直木賞
獲って本屋大賞にノミネートされたりして、最近人気ありますからねぇ。早めに予約して
良かったぁ。
今回は、辻村ワールド全開。出て来る登場人物、ほぼ全員痛い人間ばっか。いやー、よくも
まぁ、こんなに問題ある人物ばっかり描けるよなぁ。
作品は、『恋』『友情』の二部構成。そのものズバリ、第一章では『恋』中心、第二章では
『友情』中心のお話。主人公は変わりますが、繋がった話です。
タイトル通り、盲目的な恋に盲目的な友情。友情の部分は共感は出来なくとも理解出来る
部分が多かったけど、恋の方はほぼ全篇に亘って全く共感出来かねるお話でした。
それにしても、辻村さんって、ほんとに史上最低の男を描くのがお上手ですね。今回出て来た
茂実星近は、また今までにないタイプの最低男。でもいるよね、こういうダメな男、みたいな
感じ。主人公の蘭花と出会った頃、まだその本性が見えない時はすごくいい男に見えたの
だけれどねぇ。菜々子とのエピソードを知ってから印象が最悪になりました。あり得ない・・・。
っていうか、気持ち悪すぎ。平然と嘘ついて二股かけられる神経がわからない。ほんとに、
すべての言動がモンスターじみていて、怖かったです。そういう本性を知っても尚好きだと
いう蘭花のことも理解出来なかったし。あそこまでコケにされておいて、なんでまだ好きで
いられるんでしょうか・・・。室井の後ろ盾がなくなった後の茂実の凋落っぷりに関しては、
いい気味だと思いましたが、そこからの蘭花への態度がまたこれ以上ないってくらいの
クズっぷり。よくもまぁ、ここまで人間ダメになれるよなぁ、と呆れました。スマホ
動画にはほんとに引いた。まぁ、現実でもこういう男いるんだろうけど。
菜々子のキャラも気持ち悪かった・・・いいおばさんが何やってんだろう。他人を陥れて
楽しむ神経がまた理解不能でした。いちいちムカついたなぁ。
『友情』編は、また留利絵の痛いキャラっぷりが凄まじかったな。蘭花への執着や、美波に
対する嫌悪感なんかは、理解出来なくもなかったとはいえ。なんか、ほんとに面倒な性格
だなぁ、と思いました。確かに、こんな執念深かったら、友だちなんか出来ないだろうな
って思う。自分が親友だと思っていた人間から、他の子の名前が出た時の、ほんのすこし
芽生える嫉妬心とか、微妙な感情の機微はすごくよく描けていると思いましたけれど。
蘭花の元カレとのエピソードも痛かったなぁ。あの出来事を、『過去の恋愛』として蘭花
語る辺りの思い込みの激しさも、読んでいてこっちが恥ずかしくなりそうでした。気持ちは
わかるんだけど、なんでそこでそう思っちゃうのかなー・・・というのがやたらに多かった
です。辻村さんって、ほんとこういう痛い友情とか描くのお好きですよね。リアルなんだけど、
なんだかこっちがむず痒くなってしまう。留利絵の屈折したコンプレックスが、終始痛々し
かったです。でも、確かに私も美波みたいな人間は苦手だろうなぁ。あんな風に、こそこそ
陰口言わなくてもいいのにね。多分、本人悪気がないから、余計に厄介なタイプなんだろうな。
ラストは完全にミスリードされてました。前半のラストと、こう繋がるとは。茂実に起きた
ことは、完全に自業自得でしょうね。因果応報、自分がしたことを悔やんでももう遅いけれどね。
耽美とグロテスクを掛けあわせたような、装幀がとても好み。
とことんブラックな辻村ワールド、堪能いたしました。