ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

大倉崇裕「BLOOD ARM」/深水黎一郎「ミステリー・アリーナ」

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どうもみなさまこんにちは。
8月も下旬に入って、やっと少し涼しくなって来ましたかね。
夕方になると、外から虫の声が聞こえて来て、ああ、もう夏も終わりかなぁ、と
思うようになりました。
子どもたちは宿題の追い込み時期かな?(笑)
我が姪っ子も、あとは自由研究が残っているくらいらしいですが、これが
なかなか進まないのだとか。子どもは子どもで大変ですよね。


読了本は今回も二冊です。

では、1冊づつ感想を。


大倉崇裕「BLOOD ARM」(角川書店
なんだか大倉さんらしからぬ表紙とタイトルだなーって感じで読み始めましたが、
内容は、らしいといえば、らしいと云えなくもない作品。
って、周りくどいいいかたですが(^^;)、ほぼ全編、主人公が奇妙な怪物から逃げ回る
(最後は対決するが)だけの作品なので・・・。作風は今までとは全く違うものの、
怪獣とか怪物好き(多分)の大倉さんらしいといえば、らしいかなー、と。
しかし、正直B級どころか、C級クラスの特撮映画の原作みたいだったというのが
素直な感想です。変な気味の悪いおばけ触手みたいなモノに追いかけられるシーンで
大部分が占められているので。
しかも、彼らを倒すために人間が考え出した武器に必要なのが、人間の○○。
何ソレ?って、思わず誰もがツッコミを入れるのではなかろうか・・・(え、私だけ?^^;)。
はじめは緊迫感があってドキドキしながら読んでいたのだけど、終盤のあっけなさ
に脱力。うーん、これで終わりか・・・って感じでした。まぁ、これ以上は書きようが
なかったのかもしれませんが。
大倉さんは多分、非常に楽しんで書いたのでしょうけれど、これについていける
読者はかなりレアなのでは。特撮ヒーローものとかが好きな人なら楽しめるかも
しれませんが。SFとしてもちょっと中途半端でしたし。
主人公の曾おじいさんが東欧の国の人だった、というのは絶対何かの伏線だとは
思ったのですが、ああいうことだったとは。そんな珍しい血を引いた人間のいる
土地に『たまたま』例の怪物が出現した、というのが何とも都合良すぎるような
感じは否めませんでしたが・・・。
ミステリ作家としての大倉のファンが読むと、多分大幅に肩透かしを食らう作品じゃない
でしょうか。


深水黎一郎「ミステリー・アリーナ」(原書房)」
こちらは、全編伏線と言っても過言ではないくらい、最初から最後まで本格ミステリ
意識した作品。ミステリ好きとしては、非常に面白く読めました。
年末恒例になった『ミステリー・アリーナ(推理闘技場)』は、高額賞金をかけた
超難問のミステリークイズ番組。問題部分と、スタジオでの司会者と回答者たちのやりとりが
交互に写し出され、次第に番組に隠された不穏な事実が明るみにされていく。
問題が少しづつ小出しにされて行くのですが、出題途中でも回答は可能。一章ごとに
一人づつ早押しボタンを押した回答者が独自の推理を開帳し、回答者席に退場していきます。
正しい推理でいち早く犯人を当てた人間には、超高額の賞金が支払われることになっています。
けれども、10回目の今回まで、正解したものはなく、賞金はキャリーオーバーで20億超え。
一人一人の推理は、何気ない一文をも伏線として見逃さず、どの人物の推理も非常に説得力
があって唸らされました。こんなところ読み落としてたよー!って思う場面が次から
次へと出て来て唖然。よくもまぁ、こんなに緻密な文章が書けるものです。深水さんって、
ほんとに本格ミステリーがお好きなんだろうなぁ、とつくづく感心させられちゃいました。
でも、感心していても、次に出て来る出題の続きで、その推理があっさり否定されて
しまったりする。んで、また次に回答する人物の答えがまた、非常に整合性があったり
するんですね。さすがにちょっと無理があるのでは、と思えるものもいくつかありましたけども。
個人的には、『たま』にすごく引っかかりを覚えていたのですが、ラスト読んで、全然
自分が方向違いのところに向いていたことがわかりました・・・。
 
司会者がちょこちょこ失言を繰り返すので、こいつ、何かあるぞ、と思わせられるのですが、
その理由がラストに明らかにされます。ふむ、こういうことだったのか。
そして、最後に明らかになる、回答者たちの正体にも驚かされました。醜悪な本性が見え隠れする
司会者に辟易していたので、ラストはちょっとスカッとしたな。
肝心の出題部分の真相には、若干ガッカリしたところもあったのですが。フェアと言われても、
これはちょっと納得行きかねるような・・・。そんなんありかー!とツッコミ入れたくなりました。
まぁ、15通り用意した真相のうちの残りがこれだけだったのだから、多少強引でも仕方がない
のかな。それにしても、この司会者はテレビ番組の作り手としては最低の人間ですね。
テレビのやらせ問題が一時期取り沙汰されたけれど、こういう意識で番組作りをするような
人間には、絶対制作に関わってほしくないです。視聴者も出演者も馬鹿にしすぎ。それで
出演料が一本2億って。ありえない~。
回答する人物たちの名前に必ず数字が入っていて、その数字が回答する順番通りなのも、
ラストへの伏線と云えなくもないのかな。これって多分偽名なんでしょうねぇ。本名だったら
都合良すぎるもの。それに気付かなかった司会者が間抜けだったとも云えるのかな。

とにかく、何気ない一文もほぼすべてが何らかの伏線。超絶技巧とはこのことかも。
ミステリ好きとしては、伏線回収の妙が隅から隅まで味わえて、非常に楽しめました。
臓器云々の設定部分は、いろいろ言いたいこともありましたけれど(非人道的だとか)。
あくまで、フィクションの中の物語、と思えば、十分満足出来る作品ではないでしょうか。




ところで、余談ですが、本日ワタクシ、またひとつ年を取りました・・・(全くめでたくないが)。
今日は相方が夜勤で家にいないので、昨日の夜、毎年行く立○のフレンチレストランで
お祝いしてくれました。美味しかったぁ。年に一度の贅沢(今年で4年目かな?)。
デザートでは店員さんから小さな花束とお皿にHAPPY BIRTHDAYの文字が。
相方からは蝶のモチーフのピアスをもらいました。
ありがたや~。
また一年、いい年でありますように(何歳になったかは聞かないように(笑))。

牛フィレ肉とフォアグラ。毎年食べてますが、お肉が柔らかくて最高。
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誕生日特別デザートプレート。スポンジの卵が濃くって美味でした^^
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