ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

読了本三冊。

こんばんは。旅行から帰って来て魂が抜けたみたいになっているワタクシです。
でも、楽しんだ分働かないとね・・・。
旅行中一番心配だったのは、めだかたちのこと。いろいろネットとかで調べて、
一週間くらいなら全然平気らしいとの情報は得ていたものの、やっぱり今まで一日
二回エサをあげていたのが6日間も何もあげられないのは不安が大きかったです。
帰ってまずいちばん最初にしたのは、めだか水槽を確認することでした。
結果、全員めっちゃ元気でした(現在水槽には2種類6匹のめだかたちが泳いでます)。
ほっとしました^^;


旅行中に読んだ一冊を記事にあげそこねていたので、今回は三冊一気にご紹介。
今日読み終えたのもあるんだけども。旅行の間に予約本が一気に回って来ちゃって、
ガンガン読まねば状態なのです・・・^^;
奇しくも、文庫ばかりになりました。旅先に持って行くのは、やっぱり文庫が
軽くていいですね(一冊は単行本だったけど^^;)。



日本推理作家協会=編「推理作家謎友録 日本推理作家協会70週年記念エッセイ」
日本推理作家協会70周年を記念して、会員たちからエッセイを募り、応募されたものを
一冊にまとめたもの。一応テーマは三種類ほどあり、どれを選んでも良かったようですが、
テーマとは関係なく、自分の思いを綴ったものもあったりして、バラエティに富んだ
内容にでした。目安は800字だったみたいですね。長いもの、短いもの、作家さんに
よっていろいろでしたが(長い人はそんなにいなかったけど)。
推理作家協会というので推理作家だけが入っているものかと思いきや、かなり
間口は広く、一般的に恋愛小説家やSF作家と呼ばれる方々や、書評家、装丁家、漫画家等、
様々なジャンルの方が入会されているようです。多くの作家さんが入会特典として、
『健康保険に入れる』ことをありがたがっていたのが面白かったです(国保らしい)。
こういう職業だと、確かに保険とか入りづらいんでしょうね^^;
あと、多くの方がエッセイで言及されていた、50周年記念の時の文士劇は、ぜひとも
観てみたいっ!めっちゃ面白そうですね。なんと、天下のNHKでテレビ放送もされた
とか。DVD化してほしい~~~(><)。いろんな作家さんが辻真先さん脚本の演劇
に出演されたそうなのですが。稽古風景だけでも錚々たるメンバーで楽しそう。京極さんも
出ていたそうですし。いろんな人がやりたい放題やったらしい。
ちなみに、60周年記念の時の立教大学でのイベント(『ミステリーカレッジ』)は私も
チケット取って参加させていただきました。
めちゃくちゃ楽しかったです。同時にいろんなイベントが大学内の各場所で行われて
いたので、参加出来なかったものもたくさんあって残念だったのだけれど。薬丸さんが
触れていた『乱歩賞作家のからさわぎ』は特によく覚えてます。司会役の東野(圭吾)先生の
ガリレオ風衣装がめっちゃ似合っててかっこよかったっけ。若手作家へのツッコミも
楽しかった。あの頃は薬丸さんもまだ新人作家のカテゴリーにいたんだなー。あれから
十年以上も経っているのかぁ。しみじみ。
冒頭で会長の今野敏さんが、70周年記念のイベントも大々的にやるつもり、みたいな
ことを書かれているけれど、もうやっちゃったんだろうなぁ(この本が出たのも70
周年も去年のことだと思うので)。行きたかったなー。
何十人ものエッセイが載っているので、誰がどのエッセイだったかとか細かく挙げると
キリがないので省略しますが、印象に残っているのは東野さんと道尾さんの。あと、女性作家
だけで構成された<アミの会>の会員作家さんのエッセイは楽しかったな。ま、総じて
好きな作家さんのエッセイは面白かったです。ただ、柳広司氏のエッセイのみ、ちょっと
政治色が強くて、協会の批判めいた内容になっているので、せっかく70周年を記念した
エッセイ集なのになーとちょっと残念な気持ちにはなりました。いろいろと言いたいことが
おありなんでしょうけれどね。京極さんや恩田(陸)さんのエッセイも読みたかったなー。
あと、辻村さんのも確か入ってなくて意外だった覚えが(もう手元に本がないので、もし
入ってたらすみません。他の作家さんと混同しているかも^^)。


友井羊「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 想いを伝えるシチュー」(宝島社文庫
シリーズ第三弾。安定の面白さ。そして、今回も読んでるだけで涎が出て来そうな
美味しそうなスープが次々と登場。確か前作ではスープ屋『しずく』のシェフ
麻野さんの亡くなった妻・静句さんのことが出て来たんですよね。二人の出会いとか。
静句さんがとても素敵な人だっただけに、亡くなられてしまったことがとても
残念でした。遺された人間たちの中でも、未だにその存在が大きいことが今回の
お話でよくわかりました。麻野さんはもちろん、接客担当の慎哉にとっても。
麻野さんの娘の露ちゃんにとっては3歳までの記憶なので曖昧ではあるのでしょうが。
それだけに、常連客で麻野さんに恋心を抱く理恵さんにとっては、なかなか
この恋を進展させるのは難しそう。今回、理恵が勇気を出して麻野さんを
調理器具の買い物に誘い出すのだけれど、二人きりで会っていても、デートの
雰囲気はゼロ。麻野さんは理恵の気持ちに気づいていそうな気もするけれど、
さり気なくかわしている感じがして、ちょっと可哀想だった。やはり、麻野さんの
中では、静句さんの存在がまだまだ忘れられないんだろうなぁ。
ただ、ラストのお話で、理恵の静句さんに対する気持ちを聞いたことで、
麻野さんの心境にも少し変化があった模様。これは、もしかして、次回作以降
二人の関係に変化が出て来るかも?
それにしても、他人からの思い出話を聞いただけで、会ったこともない静句
さんのことを好きになっちゃう理恵さんも、なかなか素敵な性格ですね。
最初は、静句さんへの彼女の気持ちって、女性ならではの嫉妬心なのかな、と
思っていたのだけど。彼女はそんな小さな人間じゃなかったんですねぇ。
静句さんに会えなかったことに対する悔しさだとは。もし、生前に静句さんと
理恵が出会っていたら、年の離れたいい友達になれたんじゃないのかな。
二人の女子トークを私も聞いてみたかったです。
今回出て来たスープはどれもとても食べてみたいけれど、特に気になった
のは、麻野さんが作るトムヤンクン!タイ料理までレパートリーに
入っているとは。食べてみたーい。あと、南ドイツ風のオニオングラタン
スープもめっちゃ美味しそうだった。白いオニオングラタンスープなんて
不思議な感じですけれど。
ミステリ的には、今回は先が読めるお話が多かったですね。1話目の
二十万の使い道、2話目のホームパーティで理恵がされてしまった嫌がらせ
の犯人、4話目の亡くなった父親が、家族の思い出を消し去ろうと
生活していた理由・・・だいたいオチの予想がついてしまいました。
まぁ、じゃがいもが紫外線に当てるとああいう風に変化するとは
知らなかったですけど。麻野さんによる、お料理に関する薀蓄はいろいろと
勉強になりました。スープって身体だけじゃなくて、心まであったかく
してくれるお料理ですよね。私もスープ屋しずくで癒やされたいなぁ。


ほしおさなえ活版印刷日月堂 庭のアルバム」(ポプラ文庫)
こちらもシリーズ第三弾。なんだか、毎回同じような時期にこの二つのシリーズ
(スープ屋しずくと三日月堂)を読んでいるような気がするんですが。こちらも、シリーズ
第三弾。川越の小さな活版印刷『三日月堂を舞台にした、心温まる連作集です
今回も、どのお話も心に沁みたなぁ・・・。
やっぱりこのシリーズは良い。一作ごとに、少しづつお話や人間関係が繋がって行く
ところもとても好み。毎回主人公は変わるのだけど、それぞれに素敵な人ばかりだし。
日月堂の店主・弓子さんとの関係もとても良い。今回は、特に三話目の女子高生
楓ちゃんと、最終話の盛岡の印刷所の青年、悠生、それぞれの弓子さんとの出会いと
関係がとても良かった。悠生の大叔父と弓子さんとの関係も良かったなー。
楓ちゃんにしても、悠生たちにしても、その出会いが弓子さんの印刷所の発展に繋がって行く
ところが良かった。活版印刷で本を作りたいという弓子さんの夢が叶いそうなのも嬉しかった。
活版印刷という古き良き技術を、現代に活用して行く道が見えて来たことは、弓子さんに
とっても嬉しかった筈です。そして、悠生との出会いは、今後恋愛関係にも発展しそうな感じ
・・・弓子さんが彼のことをどう思ったかはよくわからないけれど、少なくとも悠生の方には
その芽は確実に芽吹いてますよね。一話目に出て来た旅行雑誌『めぐりん』の編集者竹野も、
一話目の最後の方では弓子さんに好感持ってる雰囲気だったので、その後でまた登場して
来るのかな?と思ってたんですが、彼よりは悠生の方が弓子さんには合ってる感じが
するなぁ。竹野は、出て来た最初の方では他人と自分を比べて卑屈になっているし、
弓子さんの仕事に関しても収入や活版印刷の仕事でやっていけるのかばかりを気にしていて、
ちょっと失礼なヤツって印象でしたからねぇ(弓子さんの仕事に触れているうちに大分
考え方も変わって行って、最後の方で大分印象は持ち直しましたけど)。
三話目では、弓子さんの母親の若い頃のお話が読めたのも嬉しかったです。
素敵な人だったんだなぁ。
今回も、とても心温まる素敵なお話ばかりでした。やっぱりこのシリーズ大好きだ~。
活版印刷で刷った印刷物の実物も見てみたいな。お話の中に出て来た、活版印刷
イベントって、実際もあったりするのかな?行ってみたい。楓ちゃんが体験したみたいな
活版印刷体験とかもやってみたいし。栞とか作れたら素敵。活字の海に溺れてみたい~。
次回作も待ち遠しいな。