ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

二階堂黎人/「稀覯人の不思議」/光文社 カッパノベルス

質の高い本格ミステリを次々と世に送り出す二階堂黎人さんの「稀覯人の不思議」。

学生水乃サトルシリーズ第3弾。
手塚治虫愛好会の会長・星城明人が自宅の書庫で死体で発見された。現場の窓は内側から目張りがしてあり、扉には鍵がかかっていた。当初は自殺と見られたが、いくつかの不審な点が見つかり、殺人と断定された。現場では、被害者のコレクションである手塚治虫の貴重な古本が盗まれていた。手塚治虫愛好会のメンバーであるサトルは、事件の謎を解くべく、調査に乗り出すが・・・。

手塚治虫に関するこれでもかという位の薀蓄がいっぱい出て来て、マニアにはたまらない一冊かもしれません。私はそこまでのマニアではないのですが、手塚マンガは好きなので、なかなか楽しめました。ただ、密室の謎に目新しさはなく、犯人も途中で気付いてしまったので、謎解きものとしてはいまひとつって感じでした。
ただ、サトルがやたらに明るいキャラでハイテンションなので、作品自体に流れる雰囲気も明るめ。蘭子シリーズが堅苦しくて苦手な方でも、こっちのシリーズなら入りやすいのでは。実は社会人シリーズはすべて読んでいるのですが、学生サトルシリーズは今回初めて読みました。基本的な性格はあまり変わってませんが、やはり若くて行動が更に幼い感じがしますね。毎回このシリーズ読むと思うのですが、サトルがどうも京極夏彦氏の京極堂シリーズの榎さんとだぶるんですよねー。容姿とか躁っぽいとことか。榎さんの方がより変人ですけど(苦笑)。私だけかなぁ。