ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

ほしおさなえ「紙屋ふじさき記念館 麻の葉のカード」(角川文庫)

f:id:belarbre820:20200811203516j:plain

ほしおさんの新シリーズ。今度は東京日本橋の、和紙の記念館が舞台。紙や紙製品に

魅せられた女子大生と、和紙の記念館の館長を勤める気難しい青年が織りなす

ハートフルストーリー。

和紙の奥深い世界が垣間見られる作品で、活版印刷日月堂のシリーズとはまた

違った風情のある作品で素敵でした。日常で和紙を触る機会ってほとんどないけど、

やっぱり、実際見ると趣があって素敵だなぁと思います。和紙の製造工程とかを

知ると、本当に手間がかかって大変で、それだけ貴重で価値の高いものだという

ことがわかる。こういう日本の伝統的な技術は、廃れないで受け継いでいって

もらいたいなぁ。

紙の手触りは、私も大好き。本はやっぱり電子じゃなくて紙媒体で読むのが一番

だと思っているし。あの、紙のページをめくる感覚がたまらないんですよね。

辞書の薄い紙の質感とかも大好きだし(普段辞書引くことはもうほぼないけどもさ

^^;)。そういえば、三浦しをんさんの舟を編むで、辞書編纂をしている

主人公だか誰だかが、辞書の紙の手触りにやたらに拘っていましたよねぇ。プロ

だからこそ、紙の質感にとことんこだわるんだろうなぁと思いましたっけ。

寂れた和紙の記念館を、女子大生の百花や、彼女の友達たちのアイデアで少しづつ

生きかえらせて行く過程にワクワクしました。SNSなんかを使って拡散するって

いうのは、今どきですよね。今はそういうツールがあるから便利といえば便利

ですね。一度バズってしまえば、一気に多くの人に知らせることが出来るんです

から。手先が器用な百花が作るカードや貝のシートを利用した紙の小箱のアイデア

素敵でした。実物見てみたいなぁ。

引っ込み思案の百花と無愛想な一成。始めは全く噛み合わなかった二人が、記念館

の立て直しを通して少しづつ近づいて行くところがいいですね。少女マンガ的な

展開が大好物の私としては、今後の二人の関係が楽しみで仕方ありません。続刊

の発売も決定しているようなので、続きが読めるのが楽しみです。

主人公が訪れる紙こもの展に、三日月堂のものらしき活版印刷で作られた小物が

売られていたり、主人公の通っている大学には、菓子屋横丁月光荘シリーズの

主人公の恩師・木谷先生の授業があったり(同じ大学?)と、他のシリーズとの

リンクがちょこちょこ出て来るのも嬉しかったですね。

東川篤哉「君に読ませたいミステリがあるんだ」(実業之日本社)

f:id:belarbre820:20200811194529j:plain

東川さん最新刊。鯉ヶ窪学園が舞台ですが、既存のシリーズの登場人物はほぼ

出て来ません(一部重複しているキャラも出てたみたいですが、私は全然気づかな

かった・・・^^;;)。

 

入学したての春、間違えてうっかり部員ひとりの弱小文芸部に迷い込んでしまった

主人公の『僕』は、唯一の部員で部長の水咲アンナから、彼女が書いたミステリ

小説を読まされる。ツッコミ所満載の小説のため、僕は感想を聞かれて、素直に

その旨を述べた。すると、その後も数ヶ月ごとに同じシリーズのミステリ小説を

読まされる羽目になり――。

ヒロインが書いた瑕疵だらけのミステリ小説を、主人公が読んでツッコむという、

ちょっと面白い設定の作品集。確かに、ヒロインのアンナが書いた小説にはいちいち

ツッコミたくなる要素がたくさんあって、そういう読者の疑問を主人公の『僕』が

きちんと指摘してくれるので、溜飲が下がるところはありました。なぜか、

アンナはこのシリーズ小説を、主人公に数ヶ月の間を置いて一作づつ、トータル

一年かけてじっくり5作読ませて行く。出会った時には、すでにすべてを書き

終えていたらしいにも関わらず。なぜ彼女は一気に5作を読ませずに、一年もかけて

彼にシリーズを読破させたのか。そこがこのシリーズ最大のキモになっている訳

なのですが・・・この理由を知った時、主人公と同じくらい、ぶっ飛びましたよ。

え、えぇぇぇーーーー!???っていうか、いつから?どこを?どうして??と

ハテナの連続。だって、本当にこれが理由だとしたら、一作目を読ませた時点で

そうじゃなければ、彼女の思惑は成立しませんよね?ということは、主人公が

第二文芸部でアンナと初めて顔を合わせた時に、そうなったということ?でも、

あの出会いでそういう要素は全く感じられなかったように思うんですが・・・。

それとも、書かれていない前日譚がこれから書かれるとでもいうのだろうか・・・

(実はアンナは前から主人公と出会っていたとか)。しかも、それを知った主人公

の態度がまたひどい。いくら何でも、こんな反応はないよね・・・。私がアンナの

立場だったらショックで立ち直れないよ。まぁ、確かに、伝え方はもっと違う方法が

いくらでもあったとは思うけどさー。

ミステリの仕掛けとしては面白かったけど、ちょっと全体的に腑に落ちなさは残り

ました。アンナと『僕』の、アンナの創作小説をめぐる掛け合いは面白かった

ですけどね。少しづつ、『僕』がツッコミ所満載のアンナのミステリ小説の虜に

なりつつあるところが微笑ましかっただけに、あのラストはちょっと残念だった。

もうちょっと違う着地点もあったと思うんだけどなぁ。その容赦ないところが

東川さんらしいとも云えるのかな。

まぁ、なんだかんだで面白く読んだからいいや。東川作品には著しく甘い私なの

でした。多分、普通のミステリ好きが読んだら本投げるかもしれないな^^;

はは。

 

大崎梢「さよなら願い事」(光文社)

f:id:belarbre820:20200806185451j:plain

大崎さん新刊。四話からなる、花とおまじないにまつわる連作短編集・・・なのかな。

一応、三人の女の子が交代で主役を勤め、それぞれのお話が最後の四話目で繋がる

という構成になっています。確かに最後で全部が繋がるんですが・・・うーーん、

途中で登場人物がどんどん増えて行くので、人間関係整理するのが大変だった。

冒頭の小学生の琴美のお話まではまだ面白く読んでいたのだけれど、二話目と

三話目で話がどんどんとっ散らかって行く感じがして、途中で読んでいて疲れて

来てしまった。それぞれの繋がりも全く見えて来なかったしね。これ、ほんとに

最後に繋がるのかな?と疑問に思ったほどだったんですけど・・・そこはさすがに、

きちんときれいに繋がりました。冒頭に出て来た琴美ちゃんが、その後の話に

登場する30年前の事件の子どもなのかどうかが、この作品一番の謎だったと

思うので、そこを最後まで引っ張ったのは良かったと思います。時系列がどう

なっているのか、そこがポイントだったんですねぇ。一話ごとに話が全然完結

していないので、何か釈然としないまま次に読み進めて行く感じがして、どうも

いまひとつ乗り切れなかったです。最後に繋がるにしても、一作ごとにきちんと

オチを用意したほうが、連作短編としては面白くなったんじゃないかなぁ。

せっかく女の子らしいお花やおまじないといったモチーフをテーマにしているのに、

それが作品に生きているとも言い難いし。小学生、中学生、高校生の女の子が

主人公だからって、安易にその二つの題材を無理やりはめ込んだような扱いに

感じてしまった。あと、途中で意味深に出て来る占いのマチコおばあさん(

沙也香の祖母)も、思ったほど事件に深く関わっていた訳ではなくて、拍子抜け

だったし。こういうモチーフを持って来たなら、タイトルや表紙の通りに、大崎

さんらしい、ほのぼのとした日常の謎系のミステリとかで書いて欲しかったなぁ。

30年前の女児殺害事件や、政治絡みのホテル建設頓挫の問題といった重い内容

とこのモチーフが合ってないというか。なにか、最後まで噛み合わない印象の

お話で終わってしまった感じ。

最後はほっとする終わり方で良かったのですけどね。一話目で出て来た佐野君が

善人なのか悪人なのか、ずっと気になっていたので、そこは私が思った通りで

良かったです。

大崎さんだったら、やっぱり本とか出版社にまつわるお話を読みたいなぁ。

桂望実「結婚させる家」(光文社)

f:id:belarbre820:20200801200703j:plain

桂さん最新作。面白そうなタイトルだったので借りてみたのですが・・・うーん。

ちょっと、思ってたのと違っていたなぁ。婚活ものなのは間違いないのですが、

婚活小説としても、主人公の成長譚としても、どっちも中途半端な印象。一体

作者は何が一番書きたかったのかなぁと、ちょっと首を傾げてしまった。

主人公は、40歳以上限定の結婚情報サービス会社『ブルーパール』のカリスマ

相談員、桐生恭子、53歳独身。カップル成婚率NO.1の恭子は、更にブルーパール

の成婚率を上げる為、長期に売れ残っている大邸宅を借り上げて、会員同士で交際中

カップルを一週間お試しで住まわせて、結婚に対するイメージを作ってもらう

企画を打ち立てた。泊まりに来るのは、中高年ならではの悩みを抱えた、一筋縄

ではいかないカップルばかりなのだが――。

結婚前に同棲するべき、という意見をちらほら耳にするので、一つの家にお試しで

一緒に住んでみるというのは一見いいアイデアにも思えるのですが、まだ相手の

ことを好きでもない段階で、その家族も含めて一緒に生活するっていうのは、

私だったら絶対やりたくないなぁと思いました。この企画が変わっているところは、

家族ぐるみで一緒に住むところ。結婚後、相手の親と同居するかどうかも決めて

いない段階なのに、相手の両親やら親族と一緒に生活してみなければならないとは・・・なんか、ある意味地獄のような。まぁ、会員の年齢が年齢なので、相手の

親と同居するケースも多くなるからなのかもしれませんが。ただ、お試しで一緒に

住むのは両親だけではなく、人によっては兄弟姉妹や、バツがついている人の場合は

子どもだったりと、さまざまだったりもするのですが。

最初の方の二つのケースは体験したが故に真剣交際に発展して行くので、やってみて

良かったのでしょうが、三話目辺りから上手く行かないケースばかりになって行く。

恭子のアドバイスが的確になるにつれて、上手く行かなくなるケースが増えて行った

ような。恭子の良いところは、きちんとその人のことを思ってアドバイスしてあげる

ところだと思う。カップル達成率ばかりを考える人だったら、もっと上辺だけの

アドバイスをして、真剣交際に発展するよう働きかけると思うんですけど。

まぁ、最初の頃はそういうタイプだったみたいですが(退会後に別れるカップルが

多かったらしいので)。恭子自身も、この企画を通して、相談員として大事なことに

気づけたところは良かったと思います。ただ、途中からなぜかウォーキングに

はまって、カルチャースクールに入ったり、100キロのウォーキング大会に出場

すると言い出したりするのがよくわからなかったですけど・・・。53歳にして

将来の目標が出来るのはいいことではありますけどね。何か、恭子のキャラがぶれて

いて、いまいち掴みどころがないので、共感出来るのか出来ないのかよくわかりま

せんでした。お人好しなのは間違いないのでしょうけど(同じアパートの外国人に

捨て猫を押し付けられて、結局飼ってあげたりしちゃうし)。

それにしても、お試し同居に参加する婚活中の中高年たちのキャラ造形が酷すぎ。

男も女も、身勝手な考えの人ばっかりで、だからその年まで結婚出来ないんだよ!と

ツッコミたくなってばかりでした。自分に自信があるせいで相手から断られたら

逆ギレする男や、美人なんだから相手から選ばれて当たり前という高飛車な態度の

女もいたし(結局どちらも交際に発展せず終了)。結局、相手のことを知ろうとも

しないで、自分の理想ばかり押し付けるような人は結婚に向いてないってことなんで

しょうね。そういうことがわかっただけでも、彼らにとってこの同居生活に意味は

あったのかも。

ここで失敗した人たちが、今後いい人とめぐり会えるとはとても思えませんでした

けどね(苦笑)。

 

藤崎翔「あなたに会えて困った」(双葉社)

f:id:belarbre820:20200729194812j:plain

藤崎さん最新作。ついつい読んじゃう藤崎さん。今回もなかなかにトリッキーな

作品でしたね。空き巣で前科二犯の善人(よしと)は、二年の懲役を経て出所

したばかり。お金も帰る場所もない善人は、同じ空き巣仲間のスーさんを頼って

東中野にやって来た。スーさんのボロいアパートにまだスーさんは住んでいて、

しばらくいてもいいと言ってくれた。その上、いい『物件』まで紹介してくれた。

スーさん自身はしばらく旅行に行くから留守にするので、その物件を譲って

くれるという。とにかく生活するお金がほしい善人は、その物件に忍び込むことに。

忍び込んだ物件はかなりの大豪邸。しかもそこは幼馴染で、善人の初恋の相手、

マリアの家だった。後日、偶然を装って再びマリアの家に近づくと、二人は再会し、

旧交を温め合う仲に。しかしマリアは結婚していて、しかも相手は同じく幼馴染の

タケシだったのだ――。

中盤までは何てことのない、初恋の人との再会の物語で、過去の出来事と現在が

交互に語られます。ここがちょっと長いので中だるみする感じは否めませんが、

終盤のドンデン返しで、一気に物語が反転します。なるほど、そういうからくり

だったのかー!って感じ。マリアの言動がちょっと嘘くさい感じはしたんですよねぇ。

どこかに、何か仕掛けがあるんじゃないかとは思っていたのですけど。私は完全に

騙されていたなぁ。まぁ、オーソドックといえば、これ以上ないくらいオーソドックス

な騙しの手法ではあるので、仕掛けに気づく人はすぐ気づいてしまうのかも。前に

戻って読み返してみると、たしかに微妙な言い回しを使って巧妙に書かれているのが

わかります。単純な人なら(私です)痛快に騙されるのではないかな。なんだかんだで

藤崎さんの構成力でいつも騙されてしまう私・・・。

ラスト、思わぬ感動もありましたし。まぁ、こんな回りくどいやり方しなくても、

他にいくらでも方法があったんじゃないかとは思いましたけど・・・(苦笑)。

文章力があるとはあんまり思わないのだけど(すみません・・・)、ちょっと

おマヌケな世界観が結構好きで、ついつい新刊が出ると読んでしまう作家さんに

なりつつあります(ちょっと東川さんに対する好意と似ているかも)。

次はどんな作品で驚かせてくれるのかな。楽しみにしておこう。

 

加藤実秋「メゾン・ド・ポリス5 退職刑事と迷宮入り事件」(角川文庫)

f:id:belarbre820:20200727205418j:plain

シリーズ第5弾。今回は、迫田さんが警官時代に関わった未解決殺人事件を軸に、

4つの事件が描かれます。ストーカー事件、ブランドバック盗難事件、フルート

消失事件、金属盗難事件。それぞれの事件が、迫田さんが関わった医師殺害事件

に繋がって行く。今回はなかなかボリュームありました。途中、前に出て来た

登場人物がちょこちょこ出て来るんで、これ誰だっけ?を何度か繰り返す羽目に

なりましたけど・・・(私の記憶力ヤバい^^;)。

そして、伊達さんの過去も出て来ます。そっちの方はなんだか思ったよりもあっさり

した終わり方でしたけど。でも、シェアハウスを始めるきっかけの出来事が知れた

のは良かったです。あと、肝心の医師殺害事件の真相の方もあれ?って感じの

結末。そっちの犯人よりも、当時重要参考人だった児玉美月とその息子の物語の

方に重点が置かれてる感じでした。それはそれで意外な真相が隠されていたので

いいんですけどね。児玉親子には最初からあんまり好感持てなかった(息子の方は

終盤にならないと登場しないけど)ので、あの真相にはいろいろ腑に落ちるものが

ありましたね。母親はただただ息子を想っていただけなんでしょうけどね。

終盤、お約束の惣一郎のアイロンがけ推理が読めたのも嬉しかったですね。そして、

途中に出て来た着ぐるみ姿の惣一郎!き、貴重~~~。そう、私の脳内では西島秀俊

さんが着ぐるみに入ってダンスしている姿が浮かんでいたのでした。ああ、映像化

して欲しい。

ドラマ、パート2やってくれないかな。

朝井リョウ「風と共にゆとりぬ」(文春文庫)

f:id:belarbre820:20200727195422j:plain

ゆきあやさんが絶賛してらした朝井さんのエッセイ。これ、エッセイとしては

第二弾になるんですね。のっけから、前作のネタをぶっ込んで来ているので、

はい??となりました・・・。眼科医さんと衝突って、一体何があったんですか。

これはもう、前作『時をかけるゆとり』を読むしかありませんね。衝突ってことは

結構ハードな何かがあったんでしょうけど、本書での眼科医さんとの再会エピソード

は、なんだかほのぼのした感じでした。朝井さんがビクビクするほど、相手は朝井

さんに悪い感情を持っていなかったということで。

朝井さんの面白いところは、基本めちゃくちゃネガティブなのに、結婚式の余興で

思いっきり本気のダンスを披露したり、会社員時代の同期の何気ない一言を取り

あげて、仲間を巻き込んでまでバカバカしいいたずらを仕掛けようとしたり、

バレーボールがやりたいが為に、社会人バレーボールのチームにいきなり参加したり

と、好きなものや、やりたいと思ったことに対しては、羞恥心そっちのけで、

やたらにアクティブになるところ。バカバカしいことに本気で取り組むところが

いいですよね。こういう友達いたら楽しいだろうなーと思う。それに付き合って

くれる同僚や友達がいるのも羨ましいです。

取り上げたい面白エピソードだらけなんですが、個人的には家族とのエピソードが

好きかなー。特にハワイに家族旅行に行った時の話。ハワイにいるというのに、

朝井家のみなさんのテンションの低いこと低いこと。なんでハワイなんか行った

んだーーー!っていうツッコミをいちいち入れたくなりました。島内観光ツアーで、

予定より大幅に早く帰って来てしまう朝井家。予定時間まで観光を楽しむという

ことが出来ない人たち・・・正直、一緒に旅行には行きたくないかも(笑)。でも、

朝井家のメンバーみんなそうだから、特に誰も不満も漏らさない。だから、なんで

ハワイに行ったんだーーーっ。国内旅行で十分だったのでは・・・。でも、お母さん

が唯一ハワイでやりたかったことが、歯磨き粉を買うことっていうのにズッコケ

ました。しかも、『ものすごく前向きな感じの商品名』っていう、漠然とした情報

だけで、その目的の歯磨き粉を探し回った挙げ句、はっきりした名前がわからない

為、結局探せず仕舞いになってしまったという・・・悲しい。唯一の目的も果たせず。

結局、日本に帰って来た朝井さんが、○ンキでそれに該当する歯磨き粉を見かける

という切ないオチが。名前を知って、確かにものすごく前向きな商品名だな、と

思いました(笑)。

まぁ、他にもいろいろ抱腹絶倒エピソードが披露されているのですが、そこは割愛。

一番下品で笑えたのは、やっぱり最後のジロウのエピソードでしょうね・・・。

ジロウの漢字はご自由に思い浮かべください。朝井さんの必死さがひしひしと

伝わって来ました。うん、これは絶対に体験したくないな。若いのに、大変な思い

したんですね、朝井さん・・・。

 

とても面白かったです。ただ、エッセイの割に改行が少ないせいか、若干読みにくさ

を感じることも。題材にもよるんですけどね。思ったよりも読むのに時間もかかり

ましたし。でも、自虐ネタ満載の文章は好きですし、朝井さんの人柄の良さが

滲み出ているエピソードの数々に、ついつい吹き出してしまうこともたくさん。

眼科医の先生との衝突エピソードの詳細が知りたいので、前作もそのうち読んで

みようと思います。