ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

喜国雅彦/「本棚探偵の冒険」/双葉社刊

漫画家・喜国雅彦さんの古本収集に纏わるエッセイ集「本棚探偵の冒険」。

あるきっかけから、古本を収集するようになった筆者の汗と涙と笑いの記録。

本棚探偵といっても、別に探偵家業をしている訳ではありませんが、欲しい古本にかける
執念と時間とお金は、探偵が地道に捜査を行う様と似て非なるものという気がしないでもないです。
(なんだ、その遠まわしな言い方)
もう、とにかく、古本に関するマニアックなエピソードがこれでもかと出てきて、読んでいて
にやにやしっぱなしでした。面白かった!
本を収集する為に本棚を買う人はたくさんいますが、喜国さんと言う人は本棚を作ったからそれに
合う本を買う、という意味不明な行動をさも当然のごとく行うのですから驚きです。

どのエピソードも‘古書収集バカ’丸出しで本当に可笑しいのですが、特に面白かった
のは「ポケミスラソン」。TOKIOのテレビ番組「鉄腕DASH」からヒントを得て、
「一日にどれだけの早川ポケットミステリを都内の古本屋から買えるのか」をシュミレーション
する、というもの(ちなみに全部合わせて1500冊以上ある)。実際買う訳ではなく、
一軒の古本屋で置いてあったポケミスの番号を塗りつぶして行くだけなのですが、それぞれに
重複してたりして、なかなか思うように塗りつぶせない。そして、一軒回るごとに鞄の中には
ポケミスとは関係なく、思わず買ってしまった古本が増えて行く・・・と、気力・体力共に本家
のDASH並のハードさ。しかし、単なる思い付きでよくこんなことするよなー、と呆れました。
だってTOKIOは番組だからやってる訳で・・・喜国さんの場合は雑誌に載せるエッセイの
ネタの為だけという・・・。しかし、面白いから読んでる方は楽しい。こんなバカなことを
考えつく喜国さんが好き(笑)。ラストは劇的な結末が待ち受けていて、それもある意味
すごいと思いました。

あとは、買うと高い函付き本の函とか市場に出回っていない探偵小説の豆本とか、いちいち
自分で作ってしまうから、それもすごい。器用というか、なんというか・・・。

私にはこの手の趣味はないけど、本が好きなら絶対楽しめる一冊です。いちいち笑えます。
喜国さんが、他人の本棚を見るのは無上の喜びのようなことを書いていますが、本当にそうですね。
最近、他のミステリ系ブログでは本棚バトンというのが流行っているようで、いろんな方の
本棚の写真が見れるのはとても楽しいです。その人の性格や人生までも反映してると言っても
過言ではないと思います。
私は整理整頓が非常に苦手で、うちの本棚は天地がひっくりかえっても人様にお見せできるような
ものではないですが・・・。図書館派なので買う本も少ないですしね。本棚の中は漫画ばっかり
です(苦笑)。喜国さんや京極さんのように完璧な整理整頓が出来る人が羨ましいですね。

本書の後に続編(?)も刊行されているので、近日中に読むつもりです。