ミステリ読書録

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平山夢明「八月のくず 平山夢明短編集」(光文社)

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久しぶりの平山さん。新作出ても、あんまり図書館入れてくれないから、ポロポロ

読み逃しがあるんですよねぇ。ほんとは、全部読みたいんだけれども。これは

単行本だからなのか、図書館入荷してくれて良かったよ。

いやー、初期作品を彷彿とさせるような、めくるめく平山ワールドでしたね。エログロ

鬼畜、残酷悲惨・・・とことん救いのない物語。読んでて、気持ち悪いのなんのって。

こんな時代に、よくこんなスプラッタ全開の作品集が出版できるよなぁ。もし、

現実に殺人事件が起きて、犯人がコレ読んでたら、間違いなく発禁書扱いになり

そうですよ・・・^^;;こういう作品が、普通に本屋に並んでいて、一般人

が普通に読めるんだから、日本ってやっぱり平和な国なんだなとしみじみ

思えてしまうわ。ありがたや。

しかし、この鬼畜な物語がどうしようもなく魅力的に思えてしまうところが、平山

さんの凄さ。これを魅力的だと思えてしまう自分の感性もどうなのかなと思ったりも

しますけどね・・・。多分、どうかしてると思うよ・・・。

読めば読むほど鬼畜っぷりが増して行ったような。残虐な描写に時々気が遠く

なりかけましたが、オチが読みたくてついつい読み進めてしまう。そして、ラスト

にどーんと落とされ、撃沈、の繰り返し。その、とことんまで救いがないのが

平山さんらしい。

一番しんどかったのは、『箸魔』だな~~。黒さも救いのなさもピカ一だったけど、

食べるシーンがね。もう、生理的嫌悪でぞわぞわしっぱなし。うう、気持ちワルイ。

平山さん読んだ後で食事するのはかなりキツイけど、これ読んでた時はほんとに

ヤバかった。吐き気が・・・。

『あるグレート・マザーの告白』サイコパスっぷりがなかなかでしたね。こんな

母親、ヤバすぎるでしょ・・・。

『祈り』の、娘を失った母親の狂いっぷりもすごかったですし。部屋の中に事故車

を持ってくるとか、ありえないですよね・・・。その母親の狂気を植え付けた

ナカノのサイコパスっぷりにも反吐が出ましたけど。

個人的には『餌江。は怪談』の鬼畜なんだけど、ちょっとコミカルな感じが

面白かった。餌江。のラストには意表をつかれたし。父親踏み台にして、ちゃっかり

幸せになってるとか、どんだけしぶといのやら(笑)

『いつか聴こえなくなる唄』の、ノックスの少女とB・ドクの切ない感じも悪くない。

ラストで全部ひっくり返される辺りはお約束って感じだったけど。

まぁ、バラエティに富んだ作品集で、飽きずに読めました。どれもゲスでクズ全開な

物語ばかりでしたけどね・・・(褒めてますよ!w)。

鬼才平山ワールド全開で、大変堪能致しました。お腹いっぱい。うへぇ。