これは自分がなぜ予約したのかよく覚えてないのですが、多分ブランチ辺りで
紹介されてて興味持ったからだと思います。多分、はじめましての作家さん。
突然、何の身に覚えもない強盗殺人容疑で逮捕されてしまった主人公、桐谷雅樹。
無実を主張するが、警察で見せられた防犯カメラに写っているのは、紛れもなく
自分と同じ顔をした男だった。しかも、犯行現場で採取されたDNAは雅樹のものと
一致しているという。いくつもの証拠を見せられ、雅樹は誰かにはめられたのだと
主張するが、認めてもらえず、雅樹自身が自分のことを信じられなくなりそうに
なってしまう。しかし、そんな矢先、偶然雅樹が日頃通っていたカフェに犯行当日
も訪れていたことが判明し、アリバイが証明された。晴れて自由の身となった
雅樹だったが、両親が隠していたある事実を知ってしまい、更なる受難が降り
かかることに――。
絵に書いたような順調な人生を歩んでいた男が、ある日突然身に覚えのない重犯罪
の犯人として逮捕されたことから、日常が激変して行く話。
タイトルで完全にネタバレしてますよね、コレ。あと、表紙もそうだし。まぁ、
作者としても、そこは想定内ではあるんでしょうけど。だいたい、同じ顔で
同じDNA型の男が犯人って言われたら、考えられるのアレしかないですもんねぇ。
本格ミステリだと禁じ手の一つだと思いますけど、別に本格ミステリって作品じゃ
ないですしね。
前半は理不尽すぎる展開ばかりが続くので、ちょっとイヤ~な気持ちになりつつ
読み進めて行ったのですが、だんだん物語は意外な方向へ。主人公の雅樹があまり
にもお人好し過ぎないか?また騙されてるんじゃないのか?と思いながら読んで
ました^^;
雅樹とジェイクの心が少しづつ通じ合って行くところが良かったですね。ただ、
ジェイクは得体の知れないところがあるので、ずっと裏があるのでは、と疑って
かかってましたけどね。
終盤は二転三転し過ぎて、さすがにちょっと辟易したところもありました。で、
結局ジェイクはいいヤツなの?悪いヤツなの?と、最後までハラハラさせられました。
強盗殺人で奪った二千万の行方に関しては、多分途中に出て来たアレが伏線になる
んだろうな、と予測はしていたので、驚きはなかったです。でも、殺人はダメだ
けど、こういう使われ方なら納得は出来るかな、と思いました。
ラストの後日談にはほっこりしたけど、本編がハードな内容だっただけに、あまり
にも平和なシーン過ぎて、なんか若干とってつけたような不自然さを感じて、
違和感がありました。このシーンがあるから、読後感は良かったのですが・・・。
本編との落差がありすぎてね・・・。
あと、恋人の奈美がいい子過ぎて、こんな女性、本当に存在するのか!?と思い
ました^^;どうも、全体的に人物造形にリアリティを感じなかったんですよね。
まぁ、こんなにいい子は他にいないと思うので、雅樹には彼女を幸せにしてあげて
ほしいですけどね。
面白かったのは面白かったんだけど、何となく腑に落ちないものも感じるような
ストーリー展開だったような気も。良く出来ているといえばそうなのですけど、
ちょっといろいろ盛り込み過ぎたというか。
どうも、やっぱりこのミス系の作家とは根本的に合わないようなところがあるん
だよなぁ(辻堂さんはこのミス大賞優秀賞受賞作家だそう)。