ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

加藤実秋/「インディゴの夜 ホワイトクロウ」/東京創元社刊

加藤実秋さんの「インディゴの夜 ホワイトクロウ」。

個性溢れるホストたちが集まるclub indigoが開店三周年を向かえ、リニューアルオープンする
ことになった。内装を依頼したのは最近人気を博している有名インテリアデザイナー。改装工事
の間、店の営業はなぎさママの口利きで休業中のタイレストランの店舗を借り受けることに。
その一方で、店のホストたち、ジョン太、アレックス、犬マンはそれぞれにトラブルに見舞われて
いた――インディゴシリーズ第三弾。


シリーズ三作目です。前作の記事はブログ開設二日目に書いたのでした。レビューが4行しか
なくて苦笑するしかないって感じですが、読み返すと懐かしい。まさかこんなにブログが続く
とはなぁ。

とそれはさておき、本書。渋谷のホストクラブを舞台に繰り広げられるホストミステリーですが、
今回はシリーズの主役・晶の出番がほとんどありません。個性的なホスト一人一人に焦点を当てた
サイドストーリー集みたいな感じです。しかも、ホストクラブを飛び出して、プライベートで事件に
巻き込まれるので、夜の雰囲気がほとんどない^^;それぞれの事件もほとんど個人的に解決
しちゃうので、club indigo自体の存在感が薄かったような(そもそも借店舗だし^^;)。まぁ、
ちょこちょこ憂夜さんが手を貸したりはしてるのですが。晶視点じゃなくなると、彼女の存在感
ってこんなに薄れるものなのか、と思いました^^;相変わらず憂夜さんは得体が知れません
でした。妙に存在感があってミステリアスな彼のキャラは好きなのですが、唯一肩パットだけは
許せません^^;普通のスーツでいいじゃんか・・・。

今回、ジョン太、アレックス、犬マンがそれぞれ主役になるのですが、アレックスはともかく、
ジョン太と犬マンの印象がどうも被ってしまって、読んでいてどっちがどっちだかわからなく
なってしまいました。そもそもこのネーミングセンスもどうかと思うんですがね・・・。ホスト
にしては個性的ってのは確かかもしれないのですが、それぞれが個性的だとかえって没個性に
なるんですかね。私のイメージ不足が原因とも言うのでしょうけど^^;

犬マンの事件(『シン・アイス』)ではこのシリーズにしては珍しく(初めて?)殺人事件を
扱っていて、ミステリ色が強かったように思います。真相は想像通りって感じでしたが^^;
犬マンとコンビを組むホームレスのタクミ君は風貌と口調と身なりがどうも一致しなくて、
イメージしづらいキャラでした。彼が警察を避ける理由である『人に知られたくない過去』って
結局何だったんでしょうか。窃盗でもしてたのかな。

ラストの『ホワイトクロウ』に繋がるように、それぞれの作品にちょこちょこ伏線が張って
あるところはなかなかニクイ。ミステリとしてはそれほど驚きなんかが得られる作品では
ないのですが、今回はきちんと連作になっていて良かったです。各脇役キャラが総出演した
ところも嬉しい。個人的にはアレックスと同じジムのポンサックのキャラにウケました(笑)。
私の脳内では完全にネプチューンの名倉さんが浮かんでいたのだけれど(タイ人風^^;)。
でも、実はこのシリーズの中で一番好きなキャラは43万円(=チョコレートビースト)かも(笑)。
晶とのバトルが笑えて好き。

せっかくの新装開店に少々土がついてしまった感のあるclub indigoではありますが、新しくなった
店舗でもホストたちはきっと関係なく大暴れしてくれるんでしょうね。
次も楽しみです。