篠田真由美さんの「アルカディアの魔女 北斗学園七不思議 」。
新学期目前の三月。アキ、ハル、タモツは新しい部屋に移る為、掃除や荷物の移動など、引っ越し
準備に忙しかった。そんな中、ある日突然タモツが学園を辞めると言いだした。理由を言わない
タモツの態度に驚くアキとハルだったが、そんな二人はクラス委員の森下から学園に流れる奇妙な
噂を聞かされる。『旧ブロック』の森には妖精が棲んでいて、しばしば夜中に宴会を開くのだと
言う。そして、生徒たちの中には何人もその宴に参加したという者がいて、皆、一様にそこで
美しい妖精の女王に出会い、夢のように楽しい経験をしたのだと言うのだ。そして、宴に行ったという
女生徒の一人は、謎めいた暗号文を持っていた。暗号文が宴への招待状なのか――一方、アキは
たび重なる偶然の末、学園の森の中で草花が咲き誇る不思議な温室に行きつくのだが――すべての
からくりの背後には学園を取り巻く陰謀の陰が――シリーズ第三弾。ミステリYA!シリーズ。
北斗学園シリーズ第三弾。知らない間に出ていたのですね。ネットで発売を知った直後に隣町
図書館の開架で見かけたのでラッキーでした。
相変わらず、主人公が中学生だというのに、とんでもない展開が続いて驚かされます。こんな
学校やだよー^^;事件が大がかりなわりに、主役三人、とくにアキはのほほんとしたキャラ
なので、ちょっと違和感があるんですよね。こんなごくごく普通の男子中学生が、学園に
蔓延る大きな陰謀の渦に巻き込まれて行くというのはちょっと解せない所はあります。まぁ、
それを言ってしまうと元も子もない訳なんですけども^^;出て来る登場人物たちも学生なのに
そうは思えない大人びた人物たちばかりだし。
しかも、今回は極めつけが秘密の温室で栽培しているアレ。おいおい、学生(それも中・高校生)
が○○パーティかい!と思わず大きくツッコミを入れたくなりました・・・いくらなんでも、
それは行きすぎじゃないかい、オイ。でも、今時の高校生ならそれ位やりかねないのかなぁ。
怖いなぁ・・・。背後にあるのははるか昔に結成されたアルテミス・クラブなるいかにも秘密めいた
妖しげな魔女クラブ・・・。篠田さんらしい伝奇要素も盛り込まれ、一体どこまで風呂敷を広げる
つもりなんだ?と少々先行き不安になりつつ読み進めました。今回、全体的にテンポが遅くて、
ちょっとイライラするところもありました。三人の友情の決裂と和解のくだりも、弱冠とって
つけたような印象があって、巧くはまってる感じがしませんでした。うーん。もうちょっと
全体的にライトでもいいんじゃないかなぁと思うんですけどね、このシリーズ。巻が進むごとに
肝心の七不思議の件がどうでもいいような扱いになっちゃってるのも、なんだかねぇ。一巻が一番
YAっぽさが出ていて良かったような気がしないでもないけど・・・^^;
そして、最大の不満はJの出番が少なすぎ!まぁ、ほとんど唯一の登場シーン(前半に遠目から
見た姿はちらっと出て来るけど)が、馬上ってのがさすがというか、なんというか。颯爽と
馬に乗ってアキのピンチに現れる所はかっこいい~の一言。アキがなんでそこまで彼のことを
毛嫌いするのかよくわからないのですが。でも、なんとなくハルが言ってる、嫌いっていうのは
裏返し・・・ってのが正しいような気もしますけどね。どうも、BL方向に持って行こうとしている
ような気がしないでもないです。篠田さんだしねぇ・・・(深読みしすぎ!)。
あ、あと、お化け猫のクラウスの出番が少なかったのも残念。でも、その代わりにとーっても
キュートな『ハテナ』と『ビックリ』の子猫ちゃんズに癒されました^^頭にハテナマーク(?)と
ビックリマーク(!)の模様がついていることからつけられた名前にもほのぼの^^
そして、次回はもっとJと三人の絡みを増やしてほしいなぁ。ほんと、このシリーズ、どこまで
話が大きくなって行くのかさっぱり先が読めません^^;個人的には当初の、学園の七不思議を追う
シンプルな形に戻って欲しいです・・・って、今更無理か^^;