ミステリ読書録

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貴志祐介/「ダークゾーン」/祥伝社刊

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貴志祐介さんの「ダークゾーン」。

情報科学部学生で日本将棋連盟奨励会に属するプロ棋士の卵である塚田は闇の中で覚醒した。十七人
の仲間とともに。場所も状況もわからぬうちに始まった闘い。人間が異形と化した駒、“敵駒として
生き返る戦士”などの奇妙な戦術条件、昇格による強力化――闇の中、廃墟の島で続く、七番勝負と
思われる戦いは将棋にも似ていた。現実世界との連関が見えぬまま、赤軍を率いる塚田は、五分で
迎えた第五局を知略の応酬の末に失い、全駒が昇格する狂瀾のステージと化した第六局は、長期戦
の末、引き分けとなった……(あらすじ抜粋)。



久しぶりの更新なんですが・・・スミマセン、辛口評価となっております。未読の方、貴志ファン
の方、以下の記事はスルーした方が良いかと存じます。あううー。今年初の黒べるこ降臨・・・(涙)。














どうもどうも。いやー、時間かかりました。苦戦しました。で、スミマセン、貴志さんで、
まさか、まさかの、黒べる作品でございました・・・。貴志作品で挫折はしたくないよなぁと
意地で最後まで読み通しましたが・・・一番なったら嫌だなぁってオチだったんで・・・もう、
どうにも。多分ね、これ、好きな人はすごーく好きだと思うし、はまって読めると思うんですよ。
でも、個人的に食いつけない題材が重なっていたものだから、ほんと、読んでて面白くないし、
苦痛以外のなにものでもなかったです。あんまり好きじゃなかった『青の炎』はまだ、リーダビリティ
はあったし、読むのに苦労したとかはなかったから、貴志作品では本書がダントツのワーストかも。
『クリムゾンの迷宮』と似ている、と言われていたので、結構楽しみにしてたんですがね。確かに
似てると言われれば似てるんですけど・・・題材によって、ここまで読みにくくなるもんかね、と
思いました。題材って何よ、と気になる方もいらっしゃると思うので申し上げますと(あらすじで
わかるか^^;)、将棋です。主人公がプロ棋士を目指す青年なんですね。で、その青年が、なぜか
気がついたらワケのわからない空間で、将棋でいうところの『王将』の身分になっていて、身近な
人物たちが他の駒となっていて、それらの駒を動かして、相手チームと七番勝負の対局をする、
という、なんともかんとも、荒唐無稽な設定。対局といっても、本気の殺し合いで、将棋のルール
はあまり関係なかったりもするのだけど、本人が棋士の卵なので、要所要所で将棋の薀蓄が出て
来たりするし、とにかく延々と繰り返される戦闘のシーンを読まされるのが苦痛で仕方なかった
です。私、ゲームとかもやらない人間だし、それを紙面で読んでも全く面白いと思えないんですよ。
これは、以前に読んだ日本ファンタジーノベル大賞弘也英明さんの厭犬伝とか、三崎亜記
さんのコロヨシ!なんかでもそうだったんですが、単調な戦闘シーンを延々読まされる作品って
どうしても情景が頭に思い描けなくて読んでいてイライラして来てしまうのです。自分の興味のある
競技だったらまだしも、そうじゃなければ余計に面白さがわからない。『厭犬伝』のベースは相撲
でしたし、『コロヨシ!』のベースは掃除でしたね。そこに、競技者たちの内面心理に切り込んだ
心理戦なんかが絡んでくるともう少し印象も変わると思うのですが、単純に戦うシーンのみだと
もうダメですね。あー、つまんない、早くこの対戦シーン終わらなかな、と思いながら惰性でページ
をめくる羽目に・・・。今回も、まさにその繰り返し。しかも、その対局が七回(正確には八回
ですが^^;)続く訳でして・・・もー、途中で何度【挫折】の二文字が頭をよぎったことか。
三局目辺りで気が遠くなりかけ始めました^^;ただ、一局終わる度に挿入される主人公の現実
世界での記憶の断片を描いた『断片』部分は読みやすかったし、そちらの記憶の結末が知りたい
という思いもあったから読み進めるモチベーションが保てたところがありました。
・・・が、その現実世界での結末も正直全く意外性がなく、拍子抜け。もっと最後に大きな
カタストロフがあると信じて読み通したのに・・・。この結末は誰でも予想がつくでしょう。
ある人物の死に、何かミステリ的な真相が隠されているとかなのかな、と思っていたのになぁ。
貴志さんにミステリ期待する方が悪かったのかもしれませんけど・・・。
太字がやたらに乱用されてる文章もちょっと鬱陶しかったなぁ。誤字脱字っぽいのもちらほら
見受けられたので、校正もちょっと甘いかな、と感じました(これは編集側の問題でしょうけど)。

しかし、それにも増して最大の問題は、ラストのオチ。『ダークゾーン』自体の真相。もう、こういう
オチにする位なら、冒頭で登場人物たちが考える存在理由の方がよっぽど良かったですよ。
第三の空間に実際存在したんだって言い切っちゃうとかさ。誰かが作った電脳シュミレーションゲーム
だとかね。とにかく、このオチだけは嫌だったのに、まさかの○オチとは・・・がっくり。少し前に
読んだ作品も同じオチでガッカリさせられたばかりだったので、またかよ、って感じでした。

対局のルールもなんだかよくわからなかったしなぁ。途中でポイント制とかも出て来て、駒の
昇格とかまで出て来ると、もう頭パニック状態。面白いとか苦手以前に、何書いてあるのか
わからん、ってレベルで、ほんと、文章読んでもさっぱり頭に入って来なかったです。
それに、昇格した後のそれぞれの駒のビジュアルが気持ち悪くて。まぁ、この辺は貴志さんの
真骨頂って所でもあるのですけれど。ただ、昇格後のキャラクターに一貫性がなかったようにも
感じたんですけどね。これは諸悪の根源である主人公のせいですかねぇ(自分の知ってる既存
キャラを適当に出して来たっていうね)。

まぁ、とにかく、端的には『私には合わなかった』というのが一番素直な感想でしょうかね。
スミマセン・・・。













うーむ。まさか、貴志作品でここまで読むのに苦戦するとは思わなかった・・・。『悪の教典』の
時のあのぐいぐいと読ませるリーダビリティは一体どこへ・・・って感じでした。
ただ、将棋や戦闘ゲームが好きな人にはものすごくハマる作品だと思うし、いろんな不気味
キャラクター満載なので、貴志さんらしいところもあって、ファンなら楽しめる・・・筈かな?
あ、あれ、おかしい。ファンな筈なのにーーー^^;;;
はぁ。なんか疲れちゃったな。何日もかかって頑張って読んだのになー・・・。しくしく。