奇妙な挿話と鏡のモチーフに彩られた「阿久仁村遺聞」。地図から消された村の来歴と、古書に
秘められた暗号を解き明かすとき、邪馬台国から明治、そして現代まで繋がる「もうひとつの歴史」
が浮上する! 異端の民俗学者・蓮丈那智、最大の事件。著者急逝のため連載中絶となった幻の
長編ミステリーが、遺志を継いで遂に完成(紹介文抜粋)。
秘められた暗号を解き明かすとき、邪馬台国から明治、そして現代まで繋がる「もうひとつの歴史」
が浮上する! 異端の民俗学者・蓮丈那智、最大の事件。著者急逝のため連載中絶となった幻の
長編ミステリーが、遺志を継いで遂に完成(紹介文抜粋)。
蓮丈那智シリーズ最初で最後の長編。連載半ばで急逝された北森さんの遺志を継ぎ、公私共に
パートナーだったという新人作家の浅野里沙子さんが、氏の制作ノートを元に続きを考え、
完成させたそうです。私が北森さんの作品を初めて読んだのも、アンソロジーに収録された
蓮丈シリーズでした。民俗学とミステリーを絶妙に取り混ぜた作風に一読で惹かれて以来、
氏の作品を読み続けて来ました。もう二度と蓮丈シリーズが読めないと思っていたので、今回の
刊行は本当に嬉しかったです。途中から別の人が書いたとはいえ、シリーズの新作には間違いない
訳ですから。遺志を継いで作品を完成させて下さった浅野さんには、ファンとして感謝の言葉しか
ありません。人気作家の人気シリーズの新作を新人作家が書き継ぐということが、どれほど
プレッシャーのかかることか。それでも、この物語を完成した形で世に出したいという強い
思いで名乗りを上げて下さったこと、ただただ頭が下がる思いです。
パートナーだったという新人作家の浅野里沙子さんが、氏の制作ノートを元に続きを考え、
完成させたそうです。私が北森さんの作品を初めて読んだのも、アンソロジーに収録された
蓮丈シリーズでした。民俗学とミステリーを絶妙に取り混ぜた作風に一読で惹かれて以来、
氏の作品を読み続けて来ました。もう二度と蓮丈シリーズが読めないと思っていたので、今回の
刊行は本当に嬉しかったです。途中から別の人が書いたとはいえ、シリーズの新作には間違いない
訳ですから。遺志を継いで作品を完成させて下さった浅野さんには、ファンとして感謝の言葉しか
ありません。人気作家の人気シリーズの新作を新人作家が書き継ぐということが、どれほど
プレッシャーのかかることか。それでも、この物語を完成した形で世に出したいという強い
思いで名乗りを上げて下さったこと、ただただ頭が下がる思いです。
読んでいて、強く感じたことは、北森さんはこの作品を作家人生の集大成となる作品として
取り組んでいたのではないか、ということ。題材自体も民俗学の世界では諸説取り上げられ
議論される『邪馬台国』というスケールの大きなものですし、北森さんの人気シリーズのキャラ
はのきなみ総出演だし、それぞれの過去の事件ともリンクがあって、過去作品がこの作品の
壮大な伏線だったとさえ感じられる存在になっています。残念ながら、それぞれの作品を読んだ
のがあまりに昔なので、ほとんど覚えてなかったのが痛かったですが^^;
特に、冬狐堂の陶子さんや雅蘭堂の越名さんといった、那智先生と縁の深い(業の深い?^^;)
他シリーズキャラの二人は、それぞれのシリーズの新作と見做してもいいのでは、という位
重要な人物として登場します。ただ、越名さんに関しては、ファンにとってはかなりショックな
展開もありましたが・・・途中で、あの越名さんが、そんなーーー!!っていう衝撃に打ちのめされ
ました(T_T)。
取り組んでいたのではないか、ということ。題材自体も民俗学の世界では諸説取り上げられ
議論される『邪馬台国』というスケールの大きなものですし、北森さんの人気シリーズのキャラ
はのきなみ総出演だし、それぞれの過去の事件ともリンクがあって、過去作品がこの作品の
壮大な伏線だったとさえ感じられる存在になっています。残念ながら、それぞれの作品を読んだ
のがあまりに昔なので、ほとんど覚えてなかったのが痛かったですが^^;
特に、冬狐堂の陶子さんや雅蘭堂の越名さんといった、那智先生と縁の深い(業の深い?^^;)
他シリーズキャラの二人は、それぞれのシリーズの新作と見做してもいいのでは、という位
重要な人物として登場します。ただ、越名さんに関しては、ファンにとってはかなりショックな
展開もありましたが・・・途中で、あの越名さんが、そんなーーー!!っていう衝撃に打ちのめされ
ました(T_T)。
今回の題材は先に述べたように邪馬台国。結末部分では、邪馬台国とは何だったのか、という
壮大な謎に対する意外な考察も出て来ます。
もう一つ、作品の核になっているのは、『阿久仁村遺聞』という、ある村に伝わる伝承を
収めた古書の存在。地図上から完全に消されたこの村に隠された秘密を、この古書から解読
して行くうちに、大いなる陰謀が浮上して来る・・・というのが大筋。この阿久仁村遺聞の
解読過程はとても面白かったです。解読したのが三國ってところにちょっとビックリしましたが。
今まで、彼はあくまでも那智先生の助手という存在であり、聡明な那智先生のキャラに隠れてあまり
目立った活躍がなかった彼ですが、今回は一民俗学者としての成長を伺わせる鋭い考察で、那智
先生に認められるシーンが何度かありました。知らない間にもう一人の助手の由美子に仄かな
恋心(?)を抱いていたのはちょっと嫌でしたが・・・那智先生に対して恋愛感情はないと
はっきり断言しているのもちょっと悲しかった。憧れの存在なのかと思っていたのに。二人
の関係は、どこまで行っても師弟関係なんだなぁ。
ただ、学者としての成長も伺えた三國でしたが、今回かなり身体的に悲惨な目にも遭うので、
ちょっと気の毒になりました。相変わらず、那智先生からは散々な扱いを受けてましたしね^^;
壮大な謎に対する意外な考察も出て来ます。
もう一つ、作品の核になっているのは、『阿久仁村遺聞』という、ある村に伝わる伝承を
収めた古書の存在。地図上から完全に消されたこの村に隠された秘密を、この古書から解読
して行くうちに、大いなる陰謀が浮上して来る・・・というのが大筋。この阿久仁村遺聞の
解読過程はとても面白かったです。解読したのが三國ってところにちょっとビックリしましたが。
今まで、彼はあくまでも那智先生の助手という存在であり、聡明な那智先生のキャラに隠れてあまり
目立った活躍がなかった彼ですが、今回は一民俗学者としての成長を伺わせる鋭い考察で、那智
先生に認められるシーンが何度かありました。知らない間にもう一人の助手の由美子に仄かな
恋心(?)を抱いていたのはちょっと嫌でしたが・・・那智先生に対して恋愛感情はないと
はっきり断言しているのもちょっと悲しかった。憧れの存在なのかと思っていたのに。二人
の関係は、どこまで行っても師弟関係なんだなぁ。
ただ、学者としての成長も伺えた三國でしたが、今回かなり身体的に悲惨な目にも遭うので、
ちょっと気の毒になりました。相変わらず、那智先生からは散々な扱いを受けてましたしね^^;
阿久仁村遺聞を紐解くことが、間接的に邪馬台国とも繋がって行き、その根底には黒い歴史が
隠されていることがわかって行きます。だんだんと物語のスケールが大きくなって行くので、
収拾つけるのは相当大変だったことと思います。そういう意味で、苦労されたんだろうなー
とは思うのですが、ちょっと終盤は小説としての面白さよりも、学術的な考察の方が優先
されていて、歴史書を読んでいるような印象を受けてしまいました。もう少し、ミステリー
としての面白さがあって欲しかったな、というのが正直な感想かな。ただ、歴史的な考察の
部分も十分感心したし、面白かったんですけどね。
たたら製鉄が出て来たり、出雲大社が出て来たりと、高田崇史さんの作品読んでる気分に
なりましたけどね^^;
隠されていることがわかって行きます。だんだんと物語のスケールが大きくなって行くので、
収拾つけるのは相当大変だったことと思います。そういう意味で、苦労されたんだろうなー
とは思うのですが、ちょっと終盤は小説としての面白さよりも、学術的な考察の方が優先
されていて、歴史書を読んでいるような印象を受けてしまいました。もう少し、ミステリー
としての面白さがあって欲しかったな、というのが正直な感想かな。ただ、歴史的な考察の
部分も十分感心したし、面白かったんですけどね。
たたら製鉄が出て来たり、出雲大社が出て来たりと、高田崇史さんの作品読んでる気分に
なりましたけどね^^;
何にせよ、大好きな那智シリーズの新作が読めたことは純粋にとても嬉しかったです。
北森さんの遺志を汲んで、続きを書き継いで下さった浅野さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
浅野さんは、北森さんと結婚の約束もされていたそうです。幸せの直前で・・・と思うと、
やりきれない気持ちになってしまいますね・・・。
でも、北森さんは志半ばでの急逝を酷く悔やんでいたでしょうから、この作品を完成
してくれたこと、天国できっととても喜んでいるでしょう。
私も、読めて幸せでした。
北森さんの遺志を汲んで、続きを書き継いで下さった浅野さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
浅野さんは、北森さんと結婚の約束もされていたそうです。幸せの直前で・・・と思うと、
やりきれない気持ちになってしまいますね・・・。
でも、北森さんは志半ばでの急逝を酷く悔やんでいたでしょうから、この作品を完成
してくれたこと、天国できっととても喜んでいるでしょう。
私も、読めて幸せでした。