ミステリ読書録

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森晶麿/「花酔いロジック 坂月蝶子の恋と酔察」/角川書店刊

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森晶麿さんの「花酔いロジック 坂月蝶子の恋と酔察」。

<スイ研>こと酔理研究会で、神酒島先輩とともに数多の謎に遭遇してきた蝶子。大学生活も
二年目、<スイ研>には新たなメンバーが加入。思わぬライバルの登場に、神酒島先輩との関係にも
ついに変化が……!?(紹介文抜粋)


お酒による『酔い』をひたすら研究・追求する『酔理研究会』こと『スイ研』部員の大学生・
坂月蝶子が活躍するシリーズ第二弾。
蝶子は二年に進級し、彼女をスイ研に引き入れた張本人の神酒島先輩は幹事長職を引退、
あまり部に顔を出さなくなってしまいます。それもその筈、神酒島先輩は、夢である映画製作
に本格的に乗り出していたからなのでした。
先輩の夢を応援したい気持ちはあるものの、会えないことに寂しさを募らせる蝶子。そんな
スイ研に、新入部員の榊凛子という女の子が入部して来ます。どうやら彼女、神酒島先輩に
憧れて入部した模様。思いがけぬライバル出現に、蝶子の心はますます揺れ動くことに・・・。

相変わらず軽いノリで楽しく読めました。前作があまりにも酷かったもので、若干森作品
へのテンションが下がり気味だったのですが(^^;)、本書で持ち直しました(笑)。
ミステリ的にも、いつもよりは強引さが控えめだったような(だいたい、いつもツッコミ所が
多々あったりするんで・・・^^;)。
何より、蝶子のライバル出現&蝶子に思いを寄せる予備校時代の同級生登場により、蝶子と
神酒島先輩の関係が大分進歩したしたところが大きかった。キュンキュンしちゃうシーンが
いくつもあって、終始ニヤニヤしながら読んでました(笑)。蝶子もやっと自分の気持ちに
素直になれて来たし、神酒島先輩も思わぬ行動に出て積極的なところを見せてくれたし。
見どころ満載でした(違う意味でw)。

新キャラの凛子ちゃんとフラスコ君、なかなかいい味を出していますね。フラスコ君は
いまいち正体が掴めないところもありますが。実は予備校子時代に告白されたことがあると
蝶子が話した時、もしかしてそれって神酒島先輩だったのでは・・・と思ったりもしたん
ですが、よく考えたら年齢的にありえないですよね(苦笑)。
それにしても、フラスコって一体どこから来てるんですかね。自分のことをフラスコと
呼べと無理強いするのも、変なやつだなーと思うけれど。本名何て言うんですかねぇ。
仮装のどさくさに紛れて、蝶子に手を出すとは不届き者めー!それを知った神酒島先輩が、
消毒と称して蝶子にした行動にドキドキしちゃいました。直後、その正体を知ってちょっと
ガッカリでしたが(苦笑)。
あと、神酒島先輩のラブホテルにまつわる注釈にいちいち反応する蝶子が可愛かったです。
男女の秘め事の為に宿代は払わない派なのね・・・(苦笑)。宿代を払わないというより、
そういう場所を利用しないってだけだとは思うけれどね。

証子先輩と三鳥先輩の結末は意外でした。でも、三鳥先輩のあの言動じゃ、当然の帰結
という気もしますが。私が証子先輩の立場でも、同じ結論を出すと思うな。三鳥先輩
みたいな性格って、一生治らないと思うもの。よくいままで付き合って来ましたよねぇ。
でも、こういう男性を好きになる女性っているのよね。自分が幸せになれないってわかってる
だろうに。いつかは変わってくれる、わかってもらえると思っているのかな。
私には理解出来ませんけど。

蝶子のモラトリアム期間もあとすこし。結局、蝶子の出す答えは決まっているような気も
するけれど、あと二年と少し、スイ研で酔いを追求しながら、自分の道を探すのでしょうね。

今回でぐっと二人の距離が近づいたので、次作がまた楽しみになりました。