ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

あ行の作家

青山美智子「木曜日にはココアを」(宝島社)

最近お気に入りの青山さん。本書は度々新聞で取り上げられていて、話題になって いた作品で、気になってました。前の作品で脇役だった登場人物が次の作品の 主役になるという、主役のリレー形式で綴られる連作短編集。最後の一作が冒頭の 一作に繋がるという…

朱野帰子「わたし、定時で帰ります。ライジング」(新潮社)

シリーズ第三弾。図らずも管理職に就いてしまった結衣は、生活の為にわざと残業する 部下に悩まされる。残業をしなければ生活が出来ないと訴える部下の気持ちも汲んで あげたい結衣は、残業せずに業務を遂行したら給料を上げるよう、会社に訴えかける ことを…

大倉崇裕「冬華」(祥伝社)

大倉さんの山岳ミステリー最新作。以前に出て来た便利屋の倉持と、元自衛隊 特殊部隊の深江のコンビが活躍するシリーズ。ただ、今回は深江の出番は極端に 少ないです。というのも、前作の終わりで倉持に誘われて便利屋稼業を一緒に やることになり、倉持と一…

秋川滝美「居酒屋ぼったくり おかわり!2」(アルファポリス)

居酒屋ぼったくりのスピンオフ第二弾。前半は美音と馨の両親が今のぼったくり の前身となるお店を今の場所に開店する時のお話や、彼らが不慮の事故で亡くなり、 美音と馨がそのお店を引き継ぐかどうか悩み、常連客に判定してもらうお話、 要の学生時代の友人…

太田忠司「和菓子迷宮をぐるぐると」(ポプラ社)

久しぶりの太田さん最新刊。面白いタイトルに興味を引かれたので借りてみました。 理由あってあんこが苦手だった超理系男子の大学生が、ある日突然和菓子の美味しさ を知って衝撃を受け、和菓子職人を目指すお話。 いやー、これ好きだー。和菓子をテーマにし…

伊吹有喜「犬がいた季節」(双葉社)

本屋大賞第三位に輝いた作品。伊吹さんの作品は以前一冊だけ読んだことがあって (調べたところ『四十九日のレシピ』という作品でした)、その時好印象だったの だけれど、なんとなくその後手に取ることなく今に至ってしまってました。今回、 巷の評価が良さ…

碧野圭「書店員と二つの罪」(PHP研究所)

『書店ガール』の碧野さん最新作。タイトルから今回も書店ものだと喜んでいたの だけれど、『書店ガール』シリーズとは全く雰囲気が変わって、猟奇殺人事件 を扱った重めのミステリー。碧野さんがこういう作品を書かれるとは、かなり 意表をつかれた思いがし…

青山美智子「ただいま神様当番」(宝島社)

少し前に読んだ『お探し物は図書室まで』がとても良かったので、出版当時 評判良さそうだったこちらも借りてみました。 うん、うん。良かった。めっちゃ癒やされ系のお話でしたね~。ある日突然腕に 『神様当番』という文字が記され、神様のお願いを叶えてあ…

顎木あくみ「わたしの幸せな結婚」(富士見L文庫)

スマホのコミックアプリの広告でこの漫画版の画像が出ていて、面白そうだと 思っていたところ、小説版が図書館に入荷されたので借りてみました。 小説が先なのか漫画が先なのかはよくわからないのですが。よく行くコミック レンタルショップで漫画版が置いて…

歌野晶午「誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート」(角川文庫)

久しぶりにひとみちゃんの新作だ!と喜び勇んで借りたのだけど、読み始めて なんとなく嫌な予感がして、奥付みたら、昔に読んだ『コモリと子守』の文庫 バージョンであることが判明。タイトル変えすぎだよ!^^;普段だったらこの 時点で読むのを辞めるので…

遠藤彩見「みんなで一人旅」(集英社文庫)

コロナ禍で旅行に行けない今、ついつい旅にまつわる作品に手が出てしまいます。 まぁ、この手の本読むと、もっと旅行に行きたい熱が高まって困ってしまうところも あるのだけれど(苦笑)。先日読んだ秋川滝美さんの『ひとり旅日和』や、加藤 シゲアキ氏のエ…

奥田英朗「コロナと潜水服」(光文社)

奥田さんの最新短編集。やー、これはいい短編集でしたね。この手の、何気ない 日常を描いた奥田さんの短編集はホントに面白い。タイトルから、コロナ禍の 日本を舞台にした作品だとは思ってたんですが、そのテーマで書かれたものは 表題作のみでした。まぁ、…

秋川滝美「ひとり旅日和 縁結び!」(角川書店)

人見知りで引っ込み思案の主人公・日和が、ひとり旅に目覚めていろいろな場所に 旅に出ることで、成長していくシリーズ、第二弾。 前作の始めと終わりを比較した時も、主人公の日和は随分成長したなぁと思って いましたが、今回は更に旅がステップアップして…

乾くるみ「カラット探偵事務所の事件簿3」(PHP文芸文庫)

とっても久しぶりのカラット探偵事務所シリーズ第三弾。前作から8年が経っての 続編刊行。当然ながら、前二作のことなどきれいさーーーっぱり忘れていました とも。主役二人のキャラすら全く覚えていなかったという・・・どういうこと?^^; とはいえ、今…

恩田陸「日曜日は青い蜥蜴」(筑摩書房)

恩田さん久々のエッセイ集。今回は、ほとんどが本に関して書かれたものを まとめたもの。このタイトル、なんとなく覚えがあるなぁと思ってたら、 『土曜日は灰色の馬』のタイトル構成を踏襲したものだそうで(あとがきで判明)。 曜日+動物で、今後出るエッ…

相沢沙呼「教室に並んだ背表紙」(集英社)

『Medium』で一躍人気作家に躍り出た感のある相沢さんの最新作。本書は 中学校の図書室を舞台に繰り広げられる、青春ミステリー。学校の中で行き場を 失った少女たちが、優しい司書のいる図書室で過ごす中で、自分の居場所を見つけて 行く優しい読み心…

青山美智子「お探し物は図書室まで」(ポプラ社)

王様のブランチで紹介されていた本。図書室が舞台ってだけでも読みたくなる のだけれど、内容もとても面白そうだったので予約してみました。はじめましての 作家さんだったのだけど、この方、話題になっていた『木曜日にはココアを』の 作家さんなのですね。…

内田英治「ミッドナイトスワン」(文春文庫)

映画のレビューを読んでいたら、原作小説も絶対読んだほうが良い、というコメント が多数あったので、借りてみました。確かに、映画では描き切れなかった細かい 部分や、登場人物の微妙な心情の機微など、かなり詳しく描かれていて、相互補完 の関係になって…

大崎梢「もしかしてひょっとして」(光文社)

大崎さん新刊。タイトル通り、「もしかして、ひょっとして」と思える出来事を 主人公たちが振り返り、真実に迫る話ばかりを集めた短編集。五作目に収録されて いる『かもしれない』だけアンソロジーで既読でした。各作品にリンクは全く ないですが、どのお話…

大山誠一郎「ワトソン力」(光文社)

なぜか、そばにいる人間に飛躍的な探偵能力を与えてしまう能力を持つ警視庁 捜査一課の和戸。彼は密かに自分のその能力を『ワトソン力』と呼んでいた。 和戸の行く先々ではなぜか難事件が起き、その度にその場に居合わせた人物が、 彼のワトソン力を借りて事…

綾辻行人「シークレット 綾辻行人ミステリ対談集 in 京都」(光文社)

綾辻さんゆかりの後輩作家さんを京都に招いて、それぞれの作品や創作活動に ついて語り明かすミステリ対談集。2014年の第一回詠坂さんから2019年 の道尾さんの最終回まで、約5年間をかけて雑誌に連載されたものに、単行本 スペシャル対談として、辻…

歌田年「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」(宝島社)

第18回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作。個人的に、このミス大賞 系の作品とは相性が悪いので、最近ではほとんど読むことはないのだけれど、 これは設定が面白そうだったので読んでみたいと思って予約してありました。結構 話題になっていたの…

芦沢央「汚れた手をそこで拭かない」(文藝春秋)

最近気になる芦沢さんの最新作。この方、割とコンスタントに新作が出ている みたいで、なかなか追いつけない^^;これは図書館の新刊情報に出て面白そう だったので借りてみました。 お金に纏わるブラックよりの短編集。小さな綻びが最後に効いてくるタイプ…

綾辻行人「Another 2001」(KADOKAWA)

シリーズ第三弾。800ページ超えで、京極さん並のお弁当箱本。重いので、職場 には持って行かず自宅のみで読んでました。間に旅行なんかも挟んでいたので、 結局一週間以上かかったなぁ。いや、読みやすいからページはどんどん進んで 行くのだけれどね。な…

井上真偽「ムシカ 鎮虫譜」(実業之日本社)

久々に井上さんの作品が図書館入荷してくれました。なかなか読みたくても 図書館入れてくれないのよね。これは単行本の新刊だったら入りやすかったのかも。 無人島に降り立った5人の音楽大学生たちが、様々な虫に襲いかかられて行く サバイバル小説。その途…

池井戸潤「半沢直樹 アルルカンと道化師」(講談社)

ドラマ終了の興奮冷めやらぬままに、新作がタイミングよく回って来たので 良かったです。とはいえ、本書は時系列でいうと、シリーズ第一作よりも前の お話なのですが。まだ若かりし半沢が、大阪西支店に赴任したばかりの頃に 起こった出来事が描かれています…

芦沢央「僕の神さま」(角川書店)

読んだり読まなかったりの芦沢さん。これはなんとなく食指が動いたので、 借りてみました。主人公が小学生だから、ジュヴナイルと云ってもいい作品です。 タイトルといい、キャラクターといい、麻耶雄嵩氏の神様シリーズを彷彿とさせる 作品でしたね。こちら…

一木けい「全部ゆるせたらいいのに」(新潮社)

『1ミリの後悔もない、はずがない』から結構気になっている作家さん。新刊が 出たので借りてみました。 今回は、アルコール依存症がテーマ。主人公の千映は、アルコール中毒の父親に 小さい頃から酷い目に遭わされて来ている為、夫が毎晩飲んで帰って来るこ…

恩田陸「スキマワラシ」(集英社)

恩田さん最新作。ある一定のモノに触れると、そのモノが記憶している過去が見える 不思議な力を持つ散多と、古物商を営む兄の太郎。二人は、理由あって古いタイルを 探していた。それは、事故で亡くなった建築家の両親にまつわるものだった。 そんな中、二人…

青柳碧人「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」(双葉社)

『むかしむかしあるところに、死体がありました。』に続く、童話をモチーフに した短編集。前作はそれぞれの作品に関連性はなかったですが、今回はヒロインに 赤ずきんを据えた連作短編集の体裁になっています。赤ずきんが他の童話の登場 人物とコラボする形…