ミステリ読書録

ミステリ・エンタメ中心の読書録です。

は行の作家

東川篤哉「居酒屋「一服亭」の四季」(講談社)

『純喫茶「一服堂」の四季』の姉妹編という感じ。最初タイトル見た時、ものすごい 既視感があって、あれ?と思ったのだけれど、探偵役の名前見て思い出しました。 でも、あの作品のラストって・・・と思っていたら、『二代目』安楽ヨリ子さん となっていまし…

本多孝好「アフター・サイレンス」(集英社)

久しぶりの本多作品。タイトルから内容が想像しにくかったですが(これは氏の 作品では珍しくないけど)、とても良かったです。警察内にある、犯罪被害者 やその家族のアフターケアを専門に請け負う、心理カウンセラーの高階唯子の 活躍を描いた連作集です。…

東野圭吾「透明な螺旋」(文藝春秋)

東野さん最新作。ガリレオシリーズ最新作にして、第十弾になるようです。シリーズ の中では、ちょっと異色の一作と云えるのじゃないでしょうか。まず、いつもの ような物理や科学を使ったトリックが出て来ない。どちらかといえば、人間 心理の方に寄せた物語…

畠中恵「もういちど」(新潮社)

東京バンドワゴンシリーズ同様、年に一度のお楽しみシリーズ。シリーズ第20弾 だそうで。もうそんなになるんですねぇ。これだけ出ていると、さすがにネタ切れ してきそうだなぁと思っているのですが、毎回、こうきたか!という、いい意味で 意表をつかれた…

東川篤哉「野球が好きすぎて」(実業之日本社)

東川さん最新作。タイトル通り、今回は野球に特化したミステリー。野球好きの 東川さんらしい作品集だと思います。正直、私個人は野球ってあんまり興味が ないので、作中のマニアックな野球うんちくには少々辟易したところはありました。 まぁ、野球興味ない…

ほしおさなえ「言葉の園のお菓子番 見えない花」(だいわ文庫)

ほしおさん最新作。今回もとっても素敵な物語だった。最近のほしおさんの作品は どれも外れがないなぁ。連句という、日本ならではの文化をとても大事に伝えて くれる作品だった。最近はテレビの影響から俳句ブームで、俳句は世間の人にも 馴染み深いものにな…

古内一絵「最高のアフタヌーティーの作り方」(中央公論新社)

マカン・マランシリーズの古内さんの新刊。老舗の桜山ホテルに勤める遠山涼音は、 入社七年目にして、ようやく念願だったアフタヌーンティーチームに異動することが 出来た。桜山ホテルのアフターヌーンティーの開発を手掛けることが夢だった涼音は、 早速張…

東野圭吾「白鳥とコウモリ」(幻冬舎)

東野さん最新長編ミステリ。若干予約に乗り遅れたので回って来るのに時間かかり ました。東野さんの作品は発売日に予約しても絶対一番手にはなれないもんなー。 今回は発売日予約出来なかったから仕方がない。 久しぶりに総ページ数が500超え。なかなかの…

ほしおさなえ「紙屋ふじさき記念館 カラーインクと万年筆」(角川文庫)

シリーズ第三弾。和紙の奥深さを感じさせてくれるこのシリーズ、今回も新たな 和紙の魅力満載で素敵でした。今回は、主人公百花が、母親の実家・長野県の 飯田市を訪れるお話からスタート。百花は、飯田は水引の産地で、百花の祖母・ てるは、若い頃水引を作…

東川篤哉「新謎解きはディナーのあとで」(小学館)

久しぶりのシリーズ最新刊。もう続編出ないかと思っていたので、嬉しいです。 読み始めて、そういえば前作の最後で風祭警部って異動したんだっけ、と思い出し ました。それがあったから、もう続編出ないと思ったような覚えも。しかし、随分と あっさり国立署…

濱岡実「ひまわり探偵局でお茶をⅡ 夏の足音」(文芸社)

先日に続けて新刊第二弾。こちらは二作が収録されています。後半の方は語り手が 中学二年の小高真鳥ちゃん。初期作品に出て来たキャラクターですが、なんとなく 名前を覚えている程度でした・・・^^;一作目冒頭から登場してますけどね。 一作目は通常スタ…

濱岡実「ひまわり探偵局でお茶をⅠ 春の記憶」(文芸社)

とっても久しぶりのひまわり探偵局シリーズ。二冊同時刊行だったそうで、もう一冊 あるみたいです。実は、図書館の新刊案内で見かけた時、昔に出た作品の新装版 なんじゃないかと疑っていました。文庫ではなさそうだけど、どうなんだろうと。 まぁとりあえず…

東野圭吾作家生活35周年実行委員会編「東野圭吾公式ガイド 作家生活35周年ver.」(講談社文庫)

たまたま東野さんの新刊と一緒に回って来た、東野さんの作家生活35周年を記念 して刊行された公式ガイド集。 今まで出版されたすべての作品の自作解説が入っていたり、読者による東野作品 人気ベスト10なんかも収録されています。東野さんの作品をまるっ…

東野圭吾「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」(光文社)

東野さんの最新作。コロナ禍の日本の地方都市で起きる殺人事件が題材となって いて、しっかり今の世相を反映させている感じ。小説家も今の時代に合わせて 作品を書いていかないといけない、というメッセージにも思えました。既存の シリーズ(加賀シリーズ、…

ほしおさなえ「菓子屋横丁月光荘(3) 文鳥の宿」(ハルキ文庫)

川越の街を舞台に、家の声が聞こえる青年・守人の成長を描いたシリーズ第三弾。 前作で出て来た、二軒屋が再び登場。同じ造りで二軒隣り合っていた家の片方が 焼けてしまって、一軒屋になってしまった二軒屋の片割れだったが、昭和の生活 を紹介する資料館と…

古内一絵「お誕生会クロニクル」(光文社)

マカン・マランシリーズが大好きだった古内さんの新作。お誕生会にまつわる 七編の短編集。各作品の主人公は違いますが、微妙に人物関係がリンクしています。 どんな人にも誕生会の思い出があって、それぞれに共感出来たり、反感を覚えたり、 いろいろと考え…

ほしおさなえ「紙屋ふじさき記念館 物語ペーパー」(角川文庫)

日本橋にある、和紙に関する記念館『ふじさき記念館』でアルバイトすることに なった女子大生の百花を主人公に、和紙に関わる出来事を描いたシリーズ第二弾。 今回も和紙の奥深さを存分に感じられる三話が収録されています。今回百花は、 和紙の故郷・美濃市…

東川篤哉「谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題」(角川書店)

東川さん最新作。なんか、次から次へと新しいシリーズを立ち上げているような。 それとも、シリーズ化するつもりはないのかしらん。今回は、下町の谷中を中心 にした、谷根千(谷中・根津・千駄木エリアをこう言うらしい。東京出身だが 知らんかった^^;)…

畠中恵「いちねんかん」(新潮社)

年に一度のしゃばけシリーズ最新刊。もう第19弾だそうな。ってことは、19年 以上連載してるってことになるのかな。すごい~。もうライフワーク状態なんで しょうね。こうやってのんびり続けて行って頂きたいなぁ。 前作で大病を患った若旦那(一太郎)の…

ほしおさなえ「紙屋ふじさき記念館 麻の葉のカード」(角川文庫)

ほしおさんの新シリーズ。今度は東京日本橋の、和紙の記念館が舞台。紙や紙製品に 魅せられた女子大生と、和紙の記念館の館長を勤める気難しい青年が織りなす ハートフルストーリー。 和紙の奥深い世界が垣間見られる作品で、活版印刷三日月堂のシリーズとは…

東川篤哉「君に読ませたいミステリがあるんだ」(実業之日本社)

東川さん最新刊。鯉ヶ窪学園が舞台ですが、既存のシリーズの登場人物はほぼ 出て来ません(一部重複しているキャラも出てたみたいですが、私は全然気づかな かった・・・^^;;)。 入学したての春、間違えてうっかり部員ひとりの弱小文芸部に迷い込んでし…

藤崎翔「あなたに会えて困った」(双葉社)

藤崎さん最新作。ついつい読んじゃう藤崎さん。今回もなかなかにトリッキーな 作品でしたね。空き巣で前科二犯の善人(よしと)は、二年の懲役を経て出所 したばかり。お金も帰る場所もない善人は、同じ空き巣仲間のスーさんを頼って 東中野にやって来た。ス…

早坂吝「殺人犯対殺人鬼」(光文社)

早坂さん新作。ソフトカバーの単行本だからか、珍しく早々に図書館入荷してくれ ました。途中まで、割とオーソドックスな孤島のクローズド・サークルものだなと 思って読んでいたのですけども・・・早坂さんがそんな普通のミステリ書く訳 なかったのですよね…

東野圭吾「クスノキの番人」(実業之日本社)

東野さん最新刊。図書館再開前に予約の本の受け取り期間を設けてもらえたので、 早めに取りに行くことが出来ました。現在は一部のサービスを覗いて開館して くれていますが。やっと予約も出来るようになったので、予約受付開始日には、 閉館中に出来なかった…

早坂吝「双蛇密室」(講談社文庫)

読み逃していたらいちシリーズ第四弾。図書館にあったのが文庫バージョン だったので、こっちで読みました。 今回は、らいちの援交客である藍川刑事の過去にまつわる二つの密室事件を、 彼女が解き明かします。藍川刑事は、幼い頃から事あるごとに二匹の蛇の…

ほしおさなえ「活版印刷三日月堂 小さな折り紙」(ポプラ文庫)

シリーズ第六弾。前作から日を待たずに読めて良かったです。前作が前日譚 だとしたら、こちらは後日譚。三日月堂のそれからが描かれます。今回も どのお話も良かったなぁ・・・。たまに、この主人公、どこで出て来た人 だっけ?ってひともいたけど・・・(一…

ほしおさなえ「活版印刷三日月堂 空色の冊子」(ポプラ文庫)

シリーズ第5弾。前作が最終巻みたいな終わり方だったので、もう続きないの かな?と心配していたので嬉しいです。すでに6巻も出ていますし(予約中)。 ただ、本書はシリーズに出て来る様々な人物たちの過去を描いたスピンオフ。 この三日月堂の本編に繋が…

東川篤哉「魔法使いと最後の事件」(文藝春秋)

魔法使いマリィシリーズ(というらしい)第四弾にして最終巻(らしい)。 前作はラストでマリィが聡介の前から姿を消してしまい、どうなっちゃうの!? ってところで終わってたんですが、本書の一話目であっさり再登場。まぁ、 そうじゃなきゃ話も続かないわ…

深水黎一郎「犯人選挙」(講談社)

深水さん最新作。毎度面白い趣向のミステリーを提供してくれる深水さん。 今回もまた、驚きの構成の作品で、大いに面食らわされました。第一部は、 築30年の『大泰荘』で共同生活を行う男女八人のうち、一人が殺害されて、 誰が犯人なのか?を住民同士で推…

古内一絵「アネモネの姉妹 リコリスの兄弟」(キノブックス)

マカンマランシリーズが大のお気に入りになった古内さんの新作。マカンマラン シリーズは、優しく心温まるお話ばかりだったけれど、こちらはひんやりとした 悪意が散りばめられていて、胸をえぐられるようなお話が多かった。花言葉が モチーフになったお話ば…